千早茜さんの小説『さんかく』を読みました。

以前、千早さんの『透明な夜の香り』()を読んで面白かったので、もっと彼女の作品を読んでみたいと思ったのです。

本当は直木賞を受賞された『しろがねの葉』や『透明な夜の香り』のシリーズ作品『赤い月の香り』を読みたいのですが、文庫本化されるまで待つことにしています。

で、他の作品で文庫本化されたものを検索し、ちょっと面白そうと思って選んだ次第です。

2019年11月に刊行、昨年11月に文庫本化されています。

*表紙の画像はネットからお借りしました

 
出版元の祥伝社のHPや文庫本の帯と裏表紙に、この作品は以下の様に紹介されています。

おいしいね」を分かち合える、そんな人に出会ってしまった――

直木賞作家が描く、三角関係未満の揺れる女、男、女の物語。

 

「入念な下ごしらえがなされた滋味深いおばんざいをいただいた。そんな後味の残る小説だ」阿川佐和子

 

恋はもういらないというデザイナーの夕香。かつて夕香の職場でバイトをしていた正和。恋人の正和よりも研究一筋の、大学院生の華。偶然再会した夕香と正和はたびたび食事を共にするうちに、夕香の暮らす京町家で同居することに。理由は食の趣味が合うから。ただそれだけ。なのに、正和は華にどうしても打ち明けられなくて……。

揺れ動く、三角関係未満の女、男、女の物語。

 

紹介文に記載されている通り、三角関係未満の3人が京都を舞台に描かれています。

3人が一人づつ、一人称で短い各章の主役となって、交替に登場する構成。

そして、その各章には表紙にイラストされている「いちごパフェ」始め、塩むすびや、鯖寿司、フライドチキン、蒸しトウモロコシ等々食べ物が出てきます。

強烈にドラマチックな物語ではないのに、なんとなく、面白かったなぁと思える、ちょっと変わった作品と僕は思いましたニコニコ

 

阿川佐和子さんが巻末の解説で、雑誌のインタビューで千早さんと対談された内容が紹介されています。

「たぶん人間は、けっこう視覚重視で生きているつもりなんですよ。だから小説って見えているものばかり書いているんですけど、風や湿度、肌触りや匂いなどは、視覚では判断できない。私、感じている世界そのものを文字の中に全部入れて立体物として描きたいんです。」と千早さんがおっしゃったとのことびっくり

 

確かに、この作品も、以前読んだ『透明な夜の香り』も視覚以外の五感を文字で描こうとされているように思えます。

益々、興味深くなったので『しろがねの葉』や『透明な夜の香り』も今後、読むつもりです。