千早茜さんと言う作家の小説『透明な夜の香り』を読みました。
昨年、「しろがねの葉」という作品で直木賞を受賞された方ですが、僕は1冊も読んだことのない作家でした。
一度、この方の作品を読んでみたいと思って選んだのが、この『透明な夜の香り』で、2021年に第6回渡辺淳一文学賞を受賞された作品です。表紙のデザインもカッコいい
「小説すばる」2018年7月号~2019年2月号で「朔の香り」という題名で初出、2020年4月の単行本化で「透明な夜の香り」と改題され、2023年4月に文庫本化されています。
*表紙の画像はネットからお借りしました。
千早茜さんの長編小説『透明な夜の香り』が発売されました。
人の秘密を「香り」に変える、天才調香師の物語です。
子どもの頃に嗅いだ学校の匂い、友達が付けていた香水、好きだった人の香り…、どうしても忘れられない、記憶に残る「香り」がある人も多いのではないでしょうか。
本作では、そんな忘れがたい「香り」を、依頼人のオーダーに合わせて制作する調香師が登場します。調香師の小川朔(おがわ・さく)は、人並み外れた嗅覚を持ち、鼻で、相手の行動パターンや健康状態を一瞬にして嗅ぎ分ける天才。
森に囲まれた洋館でひっそりと香りのサロンを開いている彼のもとに、元・書店員の一香が家事手伝いのバイトとしてやってくるところから物語はスタートします。
静謐な文体と、繊細な情景描写で描かれる『透明な夜の香り』、ぜひお楽しみください。
また、集英社のHPや本書の裏表紙では、以下のように紹介されています。
香りは、永遠に記憶される。きみの命が終わるまで。
新・直木賞作家が紡ぎだす、秘密の香り。
「言葉の意味を越えて、嗅覚が際立つという稀有な体験をさせてくれる小説である。」小川洋子(解説より)
元・書店員の一香は、古い洋館の家事手伝いのアルバイトを始める。そこでは調香師の小川朔が、幼馴染の探偵・新城とともに、客の望む「香り」を作っていた。どんな香りでも作り出せる朔のもとには、風変わりな依頼が次々と届けられる。一香は、人並み外れた嗅覚を持つ朔が、それゆえに深い孤独を抱えていることに気が付き──。香りにまつわる新たな知覚の扉が開く、ドラマティックな長編小説。
上述の通り、人並み外れた嗅覚を持ち、鼻で、相手の行動パターンや健康状態を一瞬にして嗅ぎ分ける天才調香師が、依頼人の忘れがたい「香り」をオーダーに合わせて制作したりする一風変わった物語を元・書店店員で主人公の小川朔の住む古い洋館の家事手伝いのアルバイトを始めた一香の視線で描かれています。
詳細を記載するのは避けますが、依頼人だけでなく、小川朔の孤独の理由や一香の過去が香りを通じて掘り起こされたりと言ったストーリー展開があって、確かにドラマチック
やはり、ちょっと変わった題材を扱った小説「博士が愛した数式」(★)の著者、小川洋子さんが解説で「言葉の意味を越えて、嗅覚が際立つという稀有な体験をさせてくれる小説である。」と記載されているように、読み進めると文字を通じて、場面の香りを想像するような不思議な感覚の作品。
今迄、読んだことの無い作風で面白かったし、読み終えた後、余韻に浸れる小説でした
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