一昨日4/29に聴きに行った関西フィルハーモニー管弦楽団 第345回定期演奏会のことを書きます。

指揮は同楽団首席指揮者の藤岡幸夫さん、プログラムは前半が木嶋真優さんをソリストに迎え、林そよかさんという方が作曲されたヴァイオリン協奏曲、メインプロがマーラーの交響曲第1番「巨人」でした。

  出演

指揮:藤岡幸夫(関西フィル首席指揮者)

ヴァイオリン:木嶋真優

管弦楽:関西フィルハーモニー管弦楽団

コンサートミストレス:木村悦子

  プログラム

前半

林 そよか:ヴァイオリン協奏曲【新作初演】

 第1楽章 Con fuoco

 第2楽章 Moderato

 第3楽章 Vivace,Brillante

後半

マーラー:交響曲第1番 ニ長調 「巨人」

 第1楽章 ゆっくりと、引きずるように、自然音のように - 常にとても落ち着いて
 第2楽章 力強い動きをもって、しかし速すぎずに
 第3楽章 厳粛に悠然と、引きずらずに
 第4楽章 嵐のように速く

 

前プロの作曲者、林そよかさんを僕はお名前も存じ上げませんでした。

プログラムノートで以下のように紹介されているので、転載させて頂きます。

 東京藝術大学音楽学部作曲科卒業、同大学院音楽音響創造分野修了。卒業時に同声会賞受賞、また大学院修了時に大学院アカンサス音楽受賞。

 作曲家として「弦楽と打楽器のための”Fantasia”](2017)、「ピアノ協奏曲」(2020)、「アイリッシュ・ハープ協奏曲」(2021)が藤岡幸夫指揮、関西フィルハーモニー管弦楽団により世界初演。また奈良県立橿原考古学研究所附属博物館イメージ曲など作編曲作品は多岐にわたる。現在、同志社女子大学、相愛大学各非常勤講師、大阪府箕面市特命大使。

 

そして、プレトークがあり、藤岡さんからこの曲の作曲について紹介がありました。

藤岡さんから木嶋真優さんのためのヴァイオリン協奏曲を作曲して欲しいと、林そよかさんに依頼された作品とのこと。プログラムノートに林さんがその生みの苦しみを、次のように記載されています。

木嶋さんの音色で紡ぎ出される「林そよか」の音楽とは一体どんな音楽なのか?木嶋さんの持つ圧倒的で悪魔的な魅力をどのように表現するか、自問自答を繰り返しました。やっと第1楽章冒頭のソロ旋律が浮かび、銀河と銀河が衝突して無数の爆発が起こり新しい星が生まれるようなイメージでそこから無心で書き続けました。一度書き上げた第2楽章を全く新しく作り変えるなど、今までの私の作曲人生を思い返した中でも一番に生みの苦しみを味わった作品となり、たくさんの山を越え最終的に全3楽章の協奏曲となりました。

第2楽章が書き直しに至った経緯には藤岡さんのダメだしによるところがあったとのこと。但し、書き直し前の曲も、このコンチェルトの第2楽章としては不適と思ったけど、改めて見るとすごくいい曲なので、ヴァイオリン協奏曲第2番に繋がるといいと考えていると、紹介されました。そして、出来上がった曲を木嶋さんはリハの段階から完全に暗譜されているほど気合も入っているので、今日の演奏は素晴らしいものになると思うとのことでした。メインプロの巨人についても紹介がありましたが、ここでは省略します。


オケの編成は前後半とも14-12-10-8-7。
木嶋さんの演奏を聴くのは、22/10にクリスティアン・アルミンク指揮・兵庫芸術文化センター管の定期演奏会()でのハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲以来だったので、ちょっと久しぶり。
林さんがプログラムノートに「圧倒的で悪魔的な魅力」と記載されている通り、インパクトの強いキレのある演奏が特徴のように思います。
 

で、一昨日の演奏ですが、曲も演奏も凄く良かったですOK

変な現代音楽のような難解なところはなく、聴き易いけどカッコいい!!

第1楽章は「銀河と銀河が衝突して無数の爆発が起こり新しい星が生まれるようなイメージ」と書かれている通りスリリングルンルン

第2楽章は美しく、第3楽章は明るくダンサブルな感じチョキ

チェロ客演トップ奏者の宮城健さん、コンミスの木村悦子さんとの掛け合いも美しかったですキラキラ

 

演奏後、大きな拍手喝采とブラボーの嵐拍手の中、カーテンコールで客席からステージに招かれた、林さんの目には万感の涙泣

苦労して作曲されて曲が、こんなにも素晴らしく演奏されたことに感極まったのでしょうニコニコ

 

下にリンクを貼った木嶋さんのXには、以下の記載があり、「このコンチェルトをまた再演し、進化し続けられますように。」と締めくくられています。再演される時があれば、是非、また聴きたいです!音譜

この数ヶ月このコンチェルトの制作にそよかさんと試行錯誤し、来る日も来る日も向き合った日々がすでに懐かしく愛おしいです。マエストロと関西フィルのみなさまには我々に本当に細やかに暖かく寄り添って一緒に作り上げてくださったことに感謝の気持ちでいっぱいです。
私が10代の頃にロストロポーヴィッチに、これからきみと一緒に時代を生きている作曲家と一緒に音楽を作りなさいとずっと言われてきました。そうして今までも何回か小品を一緒に作り初演することはありましたが、これまでの大曲、コンチェルトは初めてでした。こうやって実現できる機会をいただけたことに心から喜びを感じます。
私自身、今、自ら曲を形にしたりすることを始めている中でゼロから創造する産みの苦しさを(喜びも)以前より身に染みて理解できるからこそ最大限の尊敬をそよかさんに込めて!

今日のために、まゆさんに、と苦しんで素晴らしい曲を書いてくれてありがとうございました。
今日みなさまのサポートのおかげで息を吹き込むことができたこのコンチェルトをまた再演し、進化し続けられますように。

 

前半だけでも大満足でしたが、後半の「巨人」も良かったです。

この曲を聴くのは、昨年2月、反田くん率いるJNO奈良公演()での室内オーケストラ版以来でしたか、正直、やっぱりフルオーケストラのほうがいいし、しかも、藤岡さんらしい熱くて音圧の高い演奏だったので、大いに楽しめましたびっくりマーク

前半のことを沢山書いたので、巨人については、この程度にしておきます。

開演14時、休憩20分を挟み、終演16時5分。
事前にチケットは完売になりましたが、関係者席の開放で若干の当日券が出たそうです。
 
以下、関係するXにのリンクを貼っておきます。
一つ目の藤岡さんの投稿でリプログされている木嶋さんの投稿にリハの動画が添付されていて、林さんの曲をほんのちょっとだけ聴くことが出来ます。
 
https://twitter.com/sacchiy0608/status/1784677561878126677?t=HgShF8RmaqUHO4gw_9EpRQ&s=19

 

 

https://twitter.com/sacchiy0608/status/1785027167598076109?t=yYwzIqwuZRoz0JkyspYjwQ&s=19

 

 

 

https://twitter.com/mayukishima/status/1784891083521962100?t=EfhrHdipZ2HPMcm0qBL7PA&s=19

 

 

https://twitter.com/hayashi_soyoka/status/1785267658465980423?t=c4Kj55hZXZAmp2egKu60_Q&s=19

 

 

https://twitter.com/kansaiphil/status/1785298043971174887?t=xRP_de8A9iGWGfnK1dz3PA&s=19