先週の土曜日に行った京都市交響楽団 第683回 定期演奏会のことを書きます。

指揮は太田弦くんでソリストにアレクサンドル・タローを迎え、プログラムは前プロがラヴェルのスペイン狂詩曲とピアノ協奏曲、メインプロが、武満徹の波の盆と尾高尚忠の交響曲第1番でした。

 

  出演

指揮:太田 弦

ピアノ:アレクサンドル・タロー

管弦楽:京都市交響楽団

 コンサートマスター:泉原隆志

 

  プログラム

 

前半

ラヴェル:スペイン狂詩曲

 第1曲 夜への前奏曲
 第2曲 ラゲーニャ

 第3曲 ハバネラ

 第4曲 祭り

ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調

 第1楽章 アレグラメンテ

 第2楽章 アダージョ・アッサイ

 第3楽章 プレスト

後半

武満徹:波の盆

 Ⅰ.波の盆

 Ⅱ.美沙のテーマ

 Ⅲ.色褪せた手紙

 Ⅳ.夜の影

 Ⅴ.ミサと公作

 Ⅵ.終曲

尾高尚忠:交響曲 第1番 作品35

 第1楽章 マエストーソ

 第2楽章 アダージョ・アッサイ・ソスヌート、モルト・エスプレッシヴォ

 

ソリストアンコール

ノルベルト・グランズベルグ:パダン・パダン(エディット・ピアフ)

エリック・サティ:グノシエンヌ 第1番

前半は、ラヴェルの作品が2曲。

最初のスペイン狂詩曲は、’21/3に齋籐ダンシング一郎さん指揮の大フィル定演()で聴いて以来、2度目。19世紀後半以降、欧州ではスペインブームがありラヴェルもエキゾチックなこの曲を作曲したとのこと。先ず、1907年に2台ピアノ版を書き上げ、翌年2月にオーケストレーションが完成して3月にパリで初演されたそうです。

オケの編成は14-12-10-8-7。ちょっと神秘的な曲で、第1楽章で美しいクラリネット・ソロを聴かせてくれた副首席の筒井さんが演奏後、賞賛を受けていましたOK

続いて、オケの編成が10-8-6-6-4に縮小され、アレクサンドル・タローさんによるピアノコンチェルト。

僕は、タローさんのお名前も存じ上げなかったので、勿論、聴くのも初めて。

曲自体も、’21/8の「生で聴くのだめカンタービレの音楽会」()で、もぎぎ指揮によるPACと原由莉子さんが演奏されたのを聴いて以来とちょっと久しぶり。その前は上述の大フィル定演での菊池洋子さんの演奏だったんですが、このように同じ年に2回も聴くこともあったのに、その後、今回まで長い期間、聴く機会がありませんでした。

鞭を打つ音から始まる面白い第1楽章はとても楽しく、第2楽章冒頭のタローさんのソロはとても美しかったですキラキラ

そして、第3楽章は快活に盛り上げってフィナーレ!!

ソリストアンコールは、前日の日本センチュリー響の定演に続いて、またしても2曲びっくり

1曲目のパダン・パダンという曲、初めて聞きましたが情熱的でメチャクチャかっこ良かったですグッ

これで終わるかなと思っていたら、2曲目はサティのグノシエンヌ 第1番。これは、以前に何回も聴いている曲ですが、しっとりして、とても綺麗ルンルン

タローさんピアノは音色が美しく、また聴いてみたいと思うピアニストになりました。

丁度、タローさんが手を降ろそうとしている時に、上手側前方で、きっと咳エチケットなんて考えもしなかったと思われるほどの大きな咳をしたじじい(多分)がいたのは、腹立たしかったですプンプン

 

休憩を挟んで、1曲目は武満の波の盆。

武満には苦手と思ってしまう変な曲も沢山あるけど、これはいいチョキ

テレビドラマのために書いた曲を演奏会組曲にしたものなので、美しくて聴き易いニコニコ

プレトークで太田弦くんが高額でDVDを購入したのに、YouTubeにあるらしいと聞いてショックを受けたと言ってたので、今もあるのなら、今度、観てやろうと思っています。

 

最後の曲は尾高尚忠さんの交響曲第1番。演奏機会も少ないので、勿論、初めて。

尾高尚忠さん(1911-51)はあの渋沢栄一さんの孫で戦中・戦後を通じて作曲家・指揮者として日本の楽壇の発展に大きく貢献されたとのこと。長男は同じく作曲家で一昨年亡くなられた惇忠さん、次男は今も指揮者として活躍されている忠明さんです。

東京藝大の指揮科で忠明さんから教えを受けた太田弦くんが、忠明さん指揮によるこの曲の演奏を聴いて、自分もいつかやってみたいと思っていたので、この定演で京響に打診したところ、快諾されて演奏することになったとプレトークで話していました。

僕は、広上淳一さん指揮の京響の定演で、広上さんの恩師だった長男・惇忠さんのヴァイオリン・コンチェルト()と女声合唱曲集「春の岬に来て」の一部()を聴いたことはありますが、お父様の尚忠さんの作品は初めてでした。

2楽章の曲で、第2楽章の終りにはアタッカで続いて演奏するようにとの指示が楽譜に記載されているそうで構想はあったけど続きの作曲は出来ず、亡くなられたとのこと。
第1楽章は、太鼓やシンバルの轟音で始まるんですが、この曲を作曲された当時、尚忠さんは頭痛に悩まされていたので、その心境を音楽で表現したのではないかと思っていると、次男の忠明さんが太田くんに言っていたそう。
第1楽章がかなり長く、太田くんがプレトークで、ブルックナーの影響を受けているかのような曲と言っていた通りの壮大な感じがしました。
多分、会場でも聴いたことがある人は殆どいなかったと思うんですが、第1楽章の演奏後、今度は下手側前方から「ブラボー!良かったぞ」と叫ぶじじいがいました。太田くんやオケの様子を見て、続きがあると悟ると、今度は「よし、続きも頑張って行こう!」と大声で言いやがるプンプン
会場かは失笑が漏れました。前半のじじいといい、このじじいと言い、自分はこれからもっと歳をとっても、こうはなりたくないなと強く思った次第です。
 
第2楽章は緩徐楽章だったので、やや静かで哀愁のあるメロディが流れ、最後はコンマス泉原くんのソロで静かに終わりました拍手
聴いたことの無い曲で、とっつきにくい感じもかなりありました。
太田くんは6月の日本センチュリー響豊中名曲シリーズ()でも坂東祐大さんという現代音楽作曲家のギター協奏曲を世界初演したし、今回の尾高尚忠さんの交響曲といい、かなり挑戦的な演奏をしてくれましたがどちらも難解だったので、もうちょっと、マニアックでない選曲をしてくれるほうが、僕としては正直、ありがたいです。
 
開演14時30分、休憩20分を挟み、終演16時50分。
ここのところ、大入りが続いていた京響の定演ですが、今回の客入りは50~60%程度。
やっぱり、プログラムの受けが、もう一つだったのでは、と思います。
 
 
終焉後の楽団公式X(旧Twitter)の投稿のリンクを貼っておきます。

https://twitter.com/kyotosymphony/status/1713124897264922728?t=xL1CPs61-TgX5-FqJg5WCA&s=19