先週の金曜日に行った日本センチュリー交響楽団 第275回 定期演奏会のことを書きます。

指揮は楽団首席指揮者の飯森範親さん、ソリストにヴァイオリニストの神尾真由子さんとピアニストの高橋優介さんと言う方を迎え、プログラムは前プロが、カンチュリという作曲者の『タンゴの代わりに』という曲とヴィトマンという方のヴァイオリン協奏曲 第1番、メインプロが、再びカンチュリの『弦楽オーケストラ、ピアノとパーカッションのための「SIO」』という曲とシベリウスの交響曲 第7番でした。

  出演

指揮:飯森 範親(首席指揮者)

ヴァイオリン:神尾 真由子★

ピアノ:高橋 優介◆

管弦楽;日本センチュリー交響楽団

 コンサートマスター:荒井英治(首席客演コンサートマスター)

 

  プログラム

前半

カンチェリ:タンゴの代わりに(オーケストラ編成版)◆

ヴィトマン:ヴァイオリン協奏曲 第1番★

後半

カンチェリ:弦楽オーケストラ、ピアノとパーカッションのための「SIO」◆

シベリウス:交響曲 第7番 ハ長調 作品105

 

ソリストアンコール

パガニーニ:24のカプリースOp.1より第24番

 

フライヤーに「現代音楽への誘い」と記載されている通り、今回の演奏会は、最後のシベリウス以外は、曲どころか作曲者の名前も知らないプログラムで、とても不安で一杯でした。
 
 
オケの編成は前後半とも、14-12-10-8-6。
最初の曲を作曲したギア・カンチュリ(1935-2019)という方は、ジョージアのトビリシ出身。トビリシのルスタヴェリ劇場の音楽監督を務め、舞台作品を多数作曲したほか、映画音楽も数多く手がけたとのこと。
1曲目の「タンゴの代わりに」は1996年にヴァイオリン、バンドネオン、ピアノ、コントラバスの四重奏で作曲され、今回演奏されたオケ版は2017年に作られたもので、タンゴのようでタンゴでない、タンゴでないようで明確にタンゴガ浮かび上がる不思議な浮遊感がある」とプログラムノートに小味渕彦之さんが記載されています。
聴いてみた感じは、正に小味渕さんが記載されている通り、タンゴをちゃんと感じさせるものでしたルンルン
但し、曲の強弱緩急の変化が極端に大きく、僕としては決して心地よいものではありませんでしたショボーン
 
続いて、神尾真由子さんがソリストを務めたヴィトマンのヴァイオリン協奏曲 第1番。
ヴィトマン(1973-)は現在活躍中の作曲家。クラリネット奏者や指揮者としても世界の第一線で活動されているらしい。
ヴァイオリン協奏曲 第1番は、ユンゲ・ドイツ・フィルハーモニーの委嘱作品であり、ヴァイオリニストのクリスチャン・テツラフのために2007年に掛かれた作品とのこと。
単一楽章で描かれ、音とテンポの極端なニュアンスを探求する作品として構成され、「テンポの妙、管弦楽の色彩感、閉ざされた空間における雰囲気の急激な変化」という言葉をヴィトマンが自作の解説として使っているそう。
 
ほとんどメロディがなく、僕には難解で苦痛にも感じられました…
神尾さんの技巧の凄さや増し増しのヴィブラートがそれなりに楽しめただけの曲で、正直、この日の神尾さんの演奏で最も満足したのは、アンコールのパガニーニ音譜
 
後半の最初は再び、カンチュリ。弦楽オーケストラ、ピアノとパーカッションのための「SIO」のタイトル通り、管楽器はなし。
1998年、ドレスデン・シュッターツカペレの創立450周年委嘱作品。「SIO」はそよ風の意味とのこと。カンチュリを魅了してきた「音色の出現に先立つ神秘的な沈黙」という言葉が感じられる、神秘的でありつつ、抒情性も盛り込まれた作品とプログラムノートに記載されています。
メロディは比較的わかったけど、神秘的というより不気味さを感じる曲にしか聴こえず、これも楽しめませんでしたえーん
 
ということで、この日の演奏会で僕にとってよかったのは、神尾さんのアンコールと昨年2月・井上ミッキー指揮・京響の定演()以来、久しぶりに聴いた、シベリウスの交響曲第7番だけ。
この曲では壮大なイメージを心地よく感じられたので、まぁ、最後がこれで本当に良かったですグッ
 
開演19時、休憩20分を挟み、終演21時10分。
客入りは70~80%。プログラムがマニアックで最近の定演にしては空席が多かったように思います。
 
 
楽団・公式Xの終演後のツイート貼っておきます。