痛みについて | あべこう一(阿部浩一) Official Blog

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シンガーソングライター

 多かれ少なかれこの世を生きることには痛みが伴うものです。そうした痛みをそれぞれの立場や方法でやり過ごしながら、人は自分なりの生を全うしようとします。私は以前から、明確な宗教や何か信仰を持っているわけではありませんが、人間は何かの罰でこの世に人間として生を受けたのだと考えています。幸福の追求もその前提に立った上で行われるべきだし、罰であることから目を逸らしながら幸せになろうなんて欺瞞だと信じてきました。


 今の日本社会には正面切ってぶん殴られる痛みよりも、針で少しずつ刺されるような痛みがまん延しています。針が少し当たっても、最初はそれを痛みだとはなかなか気付きません。多少の不快感や「これって痛みなのかも」という感覚があっても、誰もみんな同じだとか世の中そういうものだとか理由を付けて受け入れてしまいます。


 これは痛みなのだ、怒っていいのだと気付いたときにはすでに満身創痍。うつ病や自死といういわば自分へのテロ行為はそうした思考の展開による一つの結果でもあります。いきなり顔面を殴られれば大概の人は怒りを覚えるものですが、少しずつ休み休み与えられる痛みのほうは、それが痛みだとわかったときには怒る力と方法すら奪い取られてしまっています。


 自分の痛みに敏感になること。つらく苦しいことだけれども、社会構造や仕組みといった得体のしれないものに絡めとられてしまわないためには、そうした神経をむき出しに生きていかなくてはなりません。人間としてこの世にあることが罰だからこそ、人は幸福を追求し続けなければならない。それは決して矛盾する概念とは言えないのです。5月3日、憲法記念日にこのようなことを考えていました。

 

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 いつもありがとうございます。現在、資格試験の勉強等々のため、音楽(ライブ)活動を休止しています。例外は発生するかもしれませんが、年内の出演のご依頼につきましては、基本的に辞退させていただいております。来年は再開したいと考えていますが、まだ未定です。ご理解のほど、よろしくお願いいたします。