カーストという言葉があります。
インドの伝統的な身分階級制度のことで、転じて学校、職場などの特定のコミュニティ内における格付けのことを指します。
それは家族という最小のコミュニティにおいても適用されるようで、先日実家に帰省をした際、我が家にもちいさなカーストを見つけました。
上から順に、母、猫、父です。
哀しきピラミッドがそびえたっていました。
近々犬を飼うそうですから、そのうち母、猫、犬、父になると思われます。
今回はそんな労働者階級、父の生態をつぶさに観察していきます。
朝。少し遅めの起床です。
起きるとまずは猫にご飯をあげます。
「あぁ~そうだねお腹すいたね」と、決めつけています。
自分よりも猫の食事を優先する姿勢を、
「甲斐甲斐しい」と取るか「労働者階級が染みついている」と取るかは、意見が分かれるところかと思います。
その後、朝食。
労働者の一日は朝食によって作られます。
昆虫のような食事をする母とは対照的に、もりもりと白米を食べる父。
食事というよりは給油と呼ぶべき光景に、「元気いっぱいお外で働くんだ」という強い隷属意識を感じます。
給油を終えると畑に行き、農作業をこなします。
酷暑が叫ばれる現代日本の夏、厚手のつなぎを着用し野菜の収穫にいそしみます。
カゴいっぱいの野菜を採った後は、リビングでひと息つきます。
「暑い暑い」とうわごとのように繰り返しており、セコンドによるタオルの投入が待たれます。
すこし休憩をすると、またお外へ繰り出していきます。
庭の芝刈りの時間です。
リビングの大きな窓の向こうで、機械を巧みに操り芝を刈る父。
ときどき小石を窓に当てるいたずらをし、自分はここにいると、己の存在を主張してきます。
そんなガラス越しに臨む父は、なんだか険しい顔をしています。
それが暑さのせいなのか、己の境遇を嘆いてのものなのか、私には判断がつきません。
芝をあらかた刈り終えると、今度は窓の拭き掃除を始めます。
汚れが気になったみたいです。
上から下から、大きな窓を長い手足を活かして器用に拭いています。
その姿を眺めていると、趣味の時間を終えた母がリビングに戻ってきました。
拭き掃除を手伝うのかなと思っていると、茶菓子とコーヒーを取り出し、ひと息つき始めました。
「この写真にタイトルをつけてください」と言ったとき、100人が100人「格差」と言うであろう絵面です。
父の顔は、依然険しいままです。
午後4時を回り、ようやく刑務作業から解放された父。
お待ちかねの趣味の時間です。
父はインドア・アウトドア問わず様々な趣味を持つ趣味人であるためか、趣味部屋を保有し、治外法権を主張しています。
その自分の城で、今日はゲームをして遊ぶみたいです。
補足として、父の趣味部屋は非常に日当たりが良く、エアコンがありません。
したがって夏場は効率よく蒸し焼きになれます。
そんな部屋で、A4用紙くらいのモニターを見つめてゲームをしています。
日頃の勤勉さを評価されゲーム機を与えられた
囚人にしか見えません。
額に汗を浮かべながら、「レアなモンスターが仲間になった」と嬉しそうに報告してくれる模範囚。
いつか大きくなったらここにエアコンをつけてあげたいと、強く思いました。
以上が父の生態:夏の陣でした。
冬になったらなったで草木の冬囲いや雪かきのほか、不定期でハチの巣駆除に駆り出されるなど、大忙しです。
他にも鈑金、塗装、書道にDIYと、私の指が50本あっても無理な作業を楽々とこなす器用さと要領の良さには驚くばかりです。
世が世なら悪い大人に兵器を作らされていたでしょうから、平和な世の中でよかったです。
こんな平和が、続くといいですね。

