★★★★☆
友達のお母さんが有名ホテルに勤めていて、来たときに困った老人そのものの横暴な振る舞いだったと聞いていたため、印象が良くなかった筆者。
確かに従業員にいばり散らして当たり前と思っていそうな、自己主張の強い内容だけど、的を射ているし面白い。
中でも「冷静な意見は、最初、皆を驚かせるし、愚かにさえ聞こえる」というのは、先日の大震災にダブって、とても説得力がある。
震災後、なぜ逃げ遅れたかを検証した番組を見た時、のんびりと校庭に待機している人たちに「津波が来るから今すぐ高いところに避難しろ!」と言った少数の人々はことごとく「全然話を信じてもらえなかった。むしろ何を言っているのかときょとんとされた」という趣旨のことを話していた。
多勢だと安心してしまうのが人の常だが、それが正解ではない可能性もあるのだ。KYという言葉を唾棄すべきことだと思っている点も親近感を覚える。私も正しいと信じる意見を言うためには、空気をあえて読まないことが必要だと思っているクチなので。。。
「人はそれぞれ事情をかかえ、平然と生きている。」
という一文もかっこいい。
で、仙台に15年住んで影響を受けていることはないと思うが、銀座のクラブで「伊集院さん疲れていませんか」と聞かれて「うんだが」と答えたらしい。
というエピソードがかわいい。
夏目雅子さんの死について客観的に書かれた文章からは、抑えたトーンから哀しみが立ちのぼる。この文章は、「あなたはまだ若いから知らないでしょうが、哀しみにも終わりはあるのよ」とチェチェンのおばあさんの言葉で締めくくられる。
大人の流儀/伊集院 静




