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shup 本の日記

本の日記をつけていきます。
本はその時たまたま読んだものになると思うので、
最新作や話題作ではなく、出版されてから時間が経ったものになると思います。
※2012/4/2より美術館の企画展の感想も書きはじめました。

『心を整える。勝利をたぐり寄せるための56の習慣』 長谷部誠
★★★☆☆


読みながらどんどん著者の考え方に慣れてしまうというのもあるかもしれないけど、いいなと思ったところに付箋を貼ったら、前半4章(全9章+最終章)に集中しました。

1冊の本という形をとると、これぐらいの分量が必要になるのだろうけど、後ろのほうは蛇足の部分もあると思いました。だんだん、しっかりものでまじめだけど、普通の若い男の子の話になっていく気がします。いい人だなーとは思うんですけどね。


よかった言葉

●愚痴だけでなく、負の言葉はすべて、現状をとらえる力を鈍らせてしまい、自分で自分の心を乱してしまう。心を正しく整えるためにも愚痴は必要ない。

つい愚痴ってしまうけど非生産的。わかってはいるんだけど甘えで愚痴ってしまうときがある。自分のために愚痴ることはやめたいと思った

●試合当日まではなるべく同じパターンで過ごし、試合直前に心のスイッチを入れるようにしている。具体的にはピッチのタッチラインを跨いだぐらいから……初めてのワールドカップと言う大舞台でも、平常心で臨むことができていたと思う。

私が取材に臨むときの心構えと似ていてびっくり。昔は取材前に変にドキドキして無駄にエネルギーを使っていた。今は準備は万端に、後はなるようにしかならないとリラックスして直前にスイッチを入れるよう心がけています

●旅は計画せずに行くのが僕のスタイル。旅先で仕入れた情報で何をするか決める。ちなみに女将さんはある程度年配の方が知識もあり、話しやすい。

こんどやってみようと思う。おいしいお店とか聞くのいいよね

●誰に対しても視線をフラットに保つ。そうすれば余分な軋轢(あつれき)も生まず、より安心して仕事に打ち込めるのではないだろうか。

これもとても同感できる言葉。私は誰にでも好意的に、必要なときは意見を言うけど後腐れなくがモットーでやっています

●焦らず我慢して継続すれば、いつか「組織の成功」と「自分の成功」が一致する。それを目指しているのであれば、組織のために自分のプレーを変えることは自分を殺すことではなくなる。

含蓄あるお言葉。27歳とは思えない…。今の仕事をがんばろうと思えます


感想を書くために改めて付箋のところを読み直したら、★★★★☆でもいい気がしてきました。やっぱりせっかくいい話なんだから、半分ぐらいの分量のほうがピリッとしまる気がします。


心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣/長谷部誠



『舟を編む』三浦しをん
★★★☆☆


会社の同僚が貸してくれました。三浦しをんを読むのは初めてです。


辞書編集部って独特。採集カードを持って、いつも言葉について考えている感じ。

主人公の馬締(まじめ)が好みでした(笑)
不器用で真剣さが空回りして、でも言葉に関しては誰より鋭くて、他人には優しくて。

馬締を見出した定年を迎える荒木、辞書編集部に引き抜かれた馬締、チャラ男で広告宣伝部に異動になってしまう西岡、と語り手が変わっていくのが特徴。

後半、女性誌から異動してきた岸辺あたりから、まとめに入る感じで予定調和な話になってしまったのが残念。そこまでは少し異様な空気が漂っていて、めちゃめちゃ楽しかったです。


辞書の編集って性に合っている気がしました。コツコツ調べて整合性を出すの好きなもので。


舟を編む/三浦 しをん

『和樂』2月号 

少し番外編ですが。
雰囲気重視の雑誌ってこういうものかしらん。

たまたま読んだら京都を訪れるドナルド・キーンさんのお話がありました。
でも、先日紹介した著書の内容をただ要約した感じ。

びっくりしたのは、キーンさんの記事が「今年こそ日本を学ぼう!Vol.1」で、「今年こそ日本を学ぼう!Vol.2」として完全に記事風に作った京都造形芸術大学の広告(タイアップ記事)が入っていたこと。千住博さんにクローズアップするのはいいけど、扉ページで「京都造形芸術大学 通信教育部」とタイトルまわりをはじめ、3か所も入っているのはやりすぎかと。

こういう広告の入れ方って編集がものすごく嫌がるし、読者の信頼度も落ちるのでやらないことが多いけれど、よほど広告収入が厳しいのだろうかと推測してしまう。

その他のページも中身は薄いような気がします。ビジュアル重視の雑誌ですから、こういうものなのかもしれませんが、肌に合わないと思ってしまいました。
最近、編集したいと思える雑誌がないのが悩み。どこへ行ったらいいのやら。

http://www.waraku-an.com/new/index.html

和樂 2012年 02月号 [雑誌]/著者不明
「古典を楽しむ 私の日本文学」ドナルド・キーン
★★★★☆
「古典の愉しみ」ドナルド・キーン
★★★☆☆

同じ筆者が同じテーマについて書いた本を、何冊か読むことが多くなりました。
2冊目、3冊目もそれなりに楽しいけれど、1冊目と重複していることが多いので、ワクワク感は減ります。やはりエッセイってこういうものなのでしょうか。

さて、ドナルド・キーンさんの日本の古典の分析はとても鋭くおもしろいです。日本文学への強い愛情も感じます。
源氏とドン・ジョヴァンニの比較とか、日本の外側からの視点が新鮮。恋愛の名手、ドン・ジョヴァンニが関係を持った相手を召使いに手帳に書かせておしまいなのに対し、源氏はあらゆる女性をずっと愛し続け、忘れないという人物だといいます。だから、女性の読者でも源氏に好感を抱けるんですね。

能については、夢の中のようなその独特の空気感について、何度も語られています。私は、文楽に出てくる女性(人形ですが)の美しさに感動したことがあるのですが、この2冊を読んで、能も見にいこうか迷いはじめています。

「おくのほそ道」の分析からは、俳句をつくる心構えのようなものを学びました。本歌取りなどをして、伝統的テーマやイメージを共有したうえで、新しい歌を詠むのが日本人だとか。それを踏まえて、先日、先例に習って俳句を作り2度目の句会にのぞんだら、イメージが共有しやすかったらしく、初めて特選に選んでもらえました。下手な俳句とはいえ、思わぬ成果です。
ちなみに、ヨーロッパでは、自分が一番先に頂上に登って優越感を覚えるのが好きと、真逆なのだとか。いまだにその精神構造って、どちらにもありますよね。

ほかにも、日本人ってそういうところ多分にあるな、という思える記述がたくさん出てきます。自分の考え方や発想が、どれだけ日本の文化から影響を受けているか、客観的に見るのにも役立つ本でした。


古典を楽しむ―私の日本文学 (朝日選書)/ドナルド キーン


古典の愉しみ (宝島社文庫)/ドナルド・キーン
『ビギナーズ・クラシックス 和泉式部日記』 川村裕子編
★★★★☆


親王(天皇の子供)と受領(地方官)の娘・式部の恋は、身分の違いから責められ続けます。それを真実の愛だったと証明するために、書かれたとも言える本です。


そもそも、恋多き女として有名な和泉式部は、他にも男がいる悪女だと敦道親王に何度も疑われ(周りも言い立てます)、恋のはじめは接近したかと思えば離れ、の繰り返し。もともとは敦道親王の亡くなったお兄さんと付き合っていたわけですしね。

その細い糸を紡いでいく手紙と歌のやりとりがスリリング。両者に同等の知性と繊細な心があって、はじめて成立している世界です。今より当時のほうが人が簡単に亡くなることもあり、孤独を感じることが多かったようで、その分恋に心を燃やしたのかもしれません。

だんだんと疑いが晴れて親王の愛情を得て、最後には同等で自由な恋を捨てて、親王の家に召人として入る式部。当時としては身分が下の愛人を召使いとして家に入れることはよくあったようですが、夫婦仲が冷え切っていた北の方(正妻)は怒って家を出てしまいます。

ここでストーリーは終わりますが、親王は数年後に病気で亡くなり、式部は喪に服すなかでこの日記をしたため、宮仕えする身となります。36歳でまた結婚をしており、まさに波乱万丈の人生ですね。


和泉式部日記を原文と現代語訳で読める本をいくつか見比べたのですが、この本はとてもわかりやすかったです。現代語訳+原文+解説が段ごと、もしくは段をいくつかに分けてまとまっているので、すぐに照らし合わせることができます。それぞれの段にキャッチもついていて、とっつきやすいです。


和泉式部日記 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)/著者不明