公務員試験「防災対策」に関するいくつかの補充的視点 | 彼の西山に登り

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公務員試験講師があれこれ綴るブログ。

【本文】

 

あけましておめでとうございます、

というには遅まきながらですが、本年も当ブログを宜しくお願い致します。

今年はせめて週1くらいのペースで更新できれば、と思っています(苦笑)。

 

 

さて、

 

既に周知のことですが、令和6年(2024年)は元日から地震、翌日には空港事故と、おちつかない年明けでした。

 

私自身、元日は帰省先で親戚と飲食しながら談笑していたのですが、一斉にスマートフォンがけたたましい警報を鳴らしたかと思うと、ややあって家が横揺れに結構揺れました。

発生直後は震度4、その後震度3に修正される程度の、そこそこの揺れでした。

関西居住で、インフラ系企業勤務の親族は、来たばかりでしたが会社と連絡をとりその日のうちにトンボ返り、市役所職員の親族も、震度4以上が出ると強制出勤とのことで、一時出勤して、対応に当たりました。

身辺ではもちろん北陸の方々のような大変な被害はなかったのですが、一気に慌ただしくなり、とても正月気分というわけにはいきませんでした。

 

 

地震にせよ事故にせよ、時間の経過により詳細な情報が判明してきて、様々な立場の方が様々な視点から様々な論を発信しています。

したがって、知識も見識もないことに口を出すことは避け、公務員試験との関係で、考えたことを書くことにします。

 

地震を含めた災害の対策「防災」は、官公庁でないと総合的にやりにくい分野であることから、公務員試験の面接で、「志望動機」や「やりたい仕事」によく挙げられます。

まず、その際、特に地方自治体の場合は、一般論にとどまるか、その自治体の実情に応じた内容を挙げられるかが、評価の分かれるところでしょう。

その自治体の防災計画・防災施策はもちろん、地形、交通手段等から、過去の事例なども考慮し、その地域にとって脆弱な災害や特徴的な問題点等を把握した上で述べられるといいですね。

 

次に、技術系の方は防災施設等についてもかなり具体的なことが述べられると思いますが、事務・行政系の方は、当然ながら施設面のことはよく分からないこと等もあり、話が「広報」に向きがちです。

その際、内容が単に「SNSを活用する」で止まるか、その先を言えるかが、評価に差がつくところでしょう。

現在では、自治体がX(旧Twitter)やFacebook を広報に利用するのは普通になってきていますし、 公共施設の利用申請等をLINEでもできるようにしている自治体もあります。

このように既に多くの自治体が多かれ少なかれSNSを利用している現状では、「どのような種類のSNSを使って、どのような発信をするのか」まで話して初めて印象に残る水準でしょう。

単に「SNSを使って」だけでは、ほとんど面接官の心に残らないと思います。

 

さらに、災害時の端末はスマートフォンになるでしょうが、その活用法として、当然ながら「どのような内容のアプリを作るか」に話が集中しがちです。

もちろんそれも大切ですが、従来模擬面接等をしていて見失われがちだな、と感じているのは、もう少し形而下的な問題です。

 

例えば、充電用の電気をどう確保するかです。

周知のように、スマートフォンに限らず充電型の電池の電気は、y=-axのような直線で減少していきません。

バッテリーの新しさにもよりますが、ある特定の時点で一気に減少しだしますから、どんなに周到な人でも、災害時点で充電率がおぼつかない場合もあるでしょう。

コスト面はもちろん、技術的に電気をためることが難しい現状、災害時の電源確保策は意外に難しいです。

 

また、特に高齢者について「スマートフォンをもっていない場合」に関心が集中しがちです。

しかし、個人レベルの情報の発・受信手段がスマートフォンに集中していきがちな現在、高齢者がスマートフォンをもっていても「操作できない、理解できない」場合の対応も重要です。

年をとると筋肉が弱りますから、「ダブルタップ」だの、「ドラッグ」だのが正確にできない方がいくらも出てきます。

卑近な例で恐縮ですが、私の親族の後期高齢者で、手指の筋肉が衰えて、片手で箸を使って物が挟めない(両手を添えてようやく挟める)状態の人がいます。

このような場合、災害時に限りませんが、スマートフォンの小さな画面で複雑な操作は難しいですし、特に独居の場合、必要な情報にたどり着けないかもしれません。

これについては、スマートフォンやアプリ自体を人間工学的な観点から改善を図るか、スマートフォン以外の手段を模索するか、考えどころですが、その場合、「役所・自治体ができることはどこまでか」の視点が必要でしょう。