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11/1に発表された、「国家公務員障害者選考試験」の基礎能力試験の試験問題例を見てみました。
正直、数的処理の難易度などは判断しかねるのですが(そこまで簡単な問題でもないようですね)、人文科学や社会科学については、多少の評価はできます。
ものは試し、今回は、社会科学の例題9について見てみましょう。
各国の政治体制に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1 英国は、政府の基盤を議会に求める議院内閣制を採用しており、終身議員からなる下院において、自由党と社会党による2大政党制が維持されている。
2 米国は、行政権が立法権に優越する大統領制を採用しており、直接選挙で選ばれる大統領は、議会を解散する権限や法案提出権を有する。
3 中国は、共産党の指導に基づく社会主義政治体制を採用しており、最高の権力機関は1院制の全国人民代表大会であり、この下に行政を担当する国務院がある。
4 ロシアは、社会主義の理念の下、共産党の1党支配による大統領制を採用しており、各州ごとに住民が大統領選挙人を選び、大統領選挙人が大統領を選出する。
5 フランスは、主権者である国民の代表機関である議会に権力を集中させる制度を採用しており、複数政党制は認められていない。
主要国の政治制度は、高校の政治・経済でも勉強しますし、ニュースや新聞でも関連する記事をしばしば見かけますから、高卒者試験の基礎能力試験問題としては、標準的でしょう。
誤肢のうち、2 アメリカの政治制度は特に知られていますから、やや立ち入った引っかけ2つが用意されています。
アメリカの大統領制は、行政権と立法権が対等であって、行政権が立法権に優越してはいませんね。
また、アメリカの大統領は間接選挙です(これは公務員試験では頻出です)。国民は大統領選挙人を選び、大統領選挙人が大統領を選びます。
ただ、ニュースなどでは大統領の方が議会よりはるかに目立っていますし、大統領選挙人は予めどの大統領候補に投票するか事前に明らかにしているので直接選挙と実質的には変わりません。
きちんとした知識がなく、報道などの印象だけだとどちらかで引っ掛かるかもしれませんね。
他の誤肢は、よく知られた点の間違いと、より細かめの間違いの2つの引っかけが設けてあります。
1 イギリスは議院内閣制であることは確かですが、終身議員で構成されるのは上院(貴族院)で、下院(庶民院)議員は国民から直接選挙で選ばれます。
また、イギリスの2大政党は保守党と労働党ですね。
4 ロシアの分かりやすい方の引っかけは、もちろん「社会主義の理念の下、共産党の1党支配」です。これは旧ソビエト連邦時代の話で、現在では異なりますね。
細かい引っかけは後半で、ロシアの大統領は国民の直接選挙で選ばれます。選択肢の記述はアメリカの大統領選挙ですね。
5 フランスで分かりやすい引っかけは、最後の「複数政党制は認められていない」でしょう。フランスは一党制の国ではありません。
もっとも、ちょこちょこ再編やら改名やらあり、少なくとも基礎能力試験で政党名を覚える必要性は乏しいと思います。
専門的なのは、フランスは(アメリカ的)大統領制と議院内閣制の折衷的な制度で(半大統領制などと呼ばれます)、議会に権力が集中しているわけではありません。
正解肢である3の中国が一番マイナーなので、まずは消去法で解けるか試してみましょう。
【正答は 3】
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