軽井沢高原文庫

2025.12.1~2026.3.



*冬季休館中











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来年1/15~、パナソニック汐留美術館「美しいユートピア」展へ立原道造資料14点出品

 年の瀬が近づいてまいりました。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

 おととい、軽井沢は2度目の平地での積雪がありました。約2センチ。私はその日、深沢紅子野の花美術館(明治四十四年館/登録有形文化財)にいました。開館前、来館者が歩く道を、今季初めての雪かきをしました。

 ここに載せる写真は、同じ朝、塩沢湖畔を歩いていて、旧朝吹山荘〝睡鳩荘”の方角を撮影した1枚です。地面は真っ白ですが、昼間、よく晴れましたので、雪は夕方までにほぼ融けてしまいました。

 さて、きょうは、来年1月15日から東京のパナソニック汐留美術館でスタートする展覧会、「美しいユートピア 理想の地を夢みた近代日本の群像」のために、軽井沢高原文庫所蔵の立原道造関連資料14点(内、画像5点)を出品しました。上田市立美術館の山極佳子学芸員が美術品輸送の業者の人たちと来館され、お渡ししました。1点1点、丁寧に資料調書を作成しておられるのに驚きました。この展示会はパナソニック汐留美術館の後、上田市立美術館(長野)、高崎市美術館(群馬)を巡回する予定です。

 今回、お貸しした資料の多くは、近年、立原道造記念会および宮本則子同会会長より当館にご寄贈いただいた資料群に含まれる資料です。したがって、今回、立原道造記念会と軽井沢高原文庫の両者で協力した形となります。

 出品資料は、パステル画「御岳の山並み」、「住宅・エッセイ」(『建築』再刊第1号)、自筆原稿「建築衛生学と建築装飾意匠に就ての小さい感想」、絵画「豊田氏山荘」4点、絵画「Lodge and Cottages」、絵画「[部屋のスケッチ]」など。

 今回の展示は、文学では宮澤賢治、美術では竹久夢二や松本竣介、建築ではブルーノ・タウトやアントニン・レーモンドなども取り上げられるようで、そうした中に立原道造も含まれます。

 ここで、若干の説明を加えます。そもそも「ユートピア」とは、イギリスの16世紀の思想家トマス・モアの小説のタイトルに由来します。「どこにもない場所」の意。また、同じくイギリスの19世紀の社会思想家ウィリアム・モリスは自著『ユートピアだより』の中で、暮らしと芸術の総合を唱え、目の前の現実の課題を見つめるとともに、どこにもない理想を夢見ています。その思想が紹介された20世紀の日本においても、「ユートピア」は暮らしをめぐる課題と理想となり、美術、工芸、建築など幅広いジャンルを結ぶ共同体が模索されました。(展覧会チラシ参照)

 今回、こうしたテーマに焦点を当てた展覧会の開催にあたって、歴史の闇のなかから詩人・建築家の立原道造も語り手のひとりとして手繰り寄せられたということでしょうか。うれしい限りです。

 先日、パナソニック汐留美術館のポスター画像を山極さんからお送りいただきましたので、ここに載せます。画面右側、上から3番目画像が「立原道造≪Lodge and Cottages≫1937年、軽井沢高原文庫蔵」です。小さくて見えにくいかもしれませんが、この資料は、立原道造が東京帝国大学工学部建築学科を卒業する際に提出した卒業設計「浅間山麓に位する芸術家コロニイの建築群」に関連する作品です。卒業設計の原本17枚が行方不明の現在、大変貴重な資料と言えます。

 パナソニック汐留美術館での展覧会概要を次に記します。ご関心のある方はどうぞ足をお運びください。 (大藤 記)

 

「美しいユートピア 理想の地を夢みた近代日本の群像」

会期:2026年1月15日ー3月22日

会場:パナソニック汐留美術館(東京都港区東新橋1丁目5番1号 パナソニック東京汐留ビル4階)

https://panasonic.co.jp/ew/museum/exhibition/26/260115/

 

 

軽井沢に初雪が降りました。谷川俊太郎『ひとりでこの世に』

 けさ、全国各地に初雪の便りがあったようですが、軽井沢でも、平地に今シーズン初の降雪がありました。ここに、朝、仕事場に出てきた際、撮影した軽井沢高原文庫の様子を載せます。

 積雪は約1㎝。いよいよ本格的な冬の到来です。きょうの軽井沢の予想気温は最低-7℃、最高1℃。一気に冷え込んできました。

 既にお知らせしている通り、軽井沢高原文庫は12月1日から冬季休館に入っています。私は、だいたい平日は高原文庫でこの1年間のやり残した仕事を少しずつ行い、週末は高原文庫から250メートルほど離れた深沢紅子野の花美術館の入る明治四十四年館にいることが多くなります。

 ここに、最近の出来事を記します。 

 12月1日(月)は、軽井沢町の「町勢要覧」の取材・撮影がありました。予想したよりも本格的な取材で、インタビューと撮影で午前中いっぱい、かかりました。

 12月2日(火)は、午前中は町田市民文学館ことばらんどで開催される企画展「「風立ちぬ」から90年 堀辰雄 しあわせのヒント展」への出品要請のあった資料を用意しました。午後は、堀辰雄1412番山荘で11月30日まで開催していた「人文昆虫展『蟲の歌を詠む』」の撤去作業を、蝶やカブトムシなどの昆虫標本が桐箱の中で動かないよう注意を払いながら、行いました。

 きのうの12月3日(水)は、町田市民文学館ことばらんどの神林由貴子学芸員と本松碧学芸員が来館され、堀辰雄、立原道造、室生犀星などの自筆原稿やノート、初版本など計24点を、同館で年明けから開かれる展覧会のためにお貸ししました。長野県以外での堀辰雄展は、昨年春の富山県立の高志の国文学館に続き、連続となります。その後、日光市から昆虫愛好家の新部公亮さんが「人文昆虫展『蟲の歌を詠む』」資料を受け取りに来られました。大きな段ボール箱7箱ほど。貨物軽自動車に積み込む作業を、私も新部さんのご長男と一緒に手伝いました。

 きょうは、立原道造関連商品をたくさんご注文くださった方への発送準備などをしました。梱包を終えると、宅急便の軽井沢営業所へ持っていき、発送しました。

 毎日がこんな感じでございます。

 仕事柄、本をいただくことも多く、きょうは横溝正史の次女の野本瑠美さんから『父、正史 母、孝子』(角川書店刊)をご恵贈賜りました。300頁ほどもある大著です。早速、後半の『仮面舞踏会』の章を興味深く読みました。

 最近、谷川俊太郎さんの遺作を含む最新詩集『ひとりでこの世に』(新潮社刊)を新潮社出版部の須貝利恵子さんからお贈りいただきました。とても素敵な本です。この本には、軽井沢高原文庫から谷川さんにお願いして書いていただいた2編の詩(「高原文庫」36号、同39号掲載)も収録されていて、私は懐かしい気持ちがこみあげてきました。この谷川さんの詩集はこれから話題になるでしょう。 (大藤 記)

 

「軽井沢高原文庫通信」第106号を発行いたしました。

 このたび、「軽井沢高原文庫通信」第106号を発行いたしました(11月25日発行)。A4判12頁。

 内容は、掲載順に次の通りです。堀口すみれ子氏(詩人、堀口大學・長女)「軽井沢と妙高への旅」、野本瑠美氏(横溝正史・次女)「父の創作に弾みをつけた軽井沢」、池辺晋一郎氏(作曲家)「長野県の文化度」、水無田気流氏(詩人、社会学者)「追分に行きたしと思へども」、新部公亮氏(昆虫愛好家)「小泉八雲と北杜夫と『虫』」、一色文枝氏「軽井沢と私」(「会員の声」)、松永はるえ氏「『軽井沢高原文庫』と私の人生観」(「会員の声」)、「生誕100年 辻邦生展 軽井沢と物語の美」出品リスト。

 また、埋め草記事は次の通りです。夏季特別展「生誕100年 辻邦生展 軽井沢と物語の美」終わる、石井桃子『クマのプーさん』資料・壷井栄『二十四の瞳』資料を約600点受贈、感想ノートより、池内輝雄元館長ご逝去。

 1部200円。送料110円。通信販売も承ります。 

 なお、ここで一つ、お詫びと訂正がございます。5Pに掲載の新部公亮氏のエッセイ「小泉八雲と北杜夫と『虫』」(画像)の中で、1か所、6文字が抜けていました。正しくは、3段目の画像のすぐ右の行のあとに、「い、世間に少」が入ります。ここに、画像を載せますので、6文字を補って、どうぞお読みください。

 筆者、および皆さまに深くお詫び申し上げます。軽井沢高原文庫ホームページにもお詫びと訂正を掲載いたしました。 また次号107号にも訂正記事を掲載予定です。 (大藤 記)

 

軽井沢高原文庫は本日をもちまして本年度の営業を終了いたしました。一年間ありがとうございました。

 軽井沢高原文庫は本日11月30日をもちまして本年度の営業を終了いたしました。一年間ありがとうございました。来年度は令和8年3月上旬のオープンを予定しております。

 冬季休館中のお問い合わせや通信販売等のご連絡は、メール(e-mail:kogenbunko@yahoo.co.jp)、FAX(0267-45-6626)、郵便(〒389-0111 長野県北佐久郡軽井沢町長倉202-3)のいずれかにて、お受けいたします。

 きょうは、ショップの書籍やポストカード・一筆箋などの商品の棚卸し(全アイテムの数量を数えること)、当館の定期刊行物の棚卸し作業に一日、忙殺されていました。数日前から行ってはいましたが、なんとか終えることができました。

 次に載せる写真は、今年10月8日の軽井沢高原文庫の外観と前庭の様子です。「生誕100年 辻邦生展―軽井沢と物語の美ー」が終わる5日前です。わずか2か月前にはこんなに緑におおわれていたのですね。自然の千変万化にはいつも驚かされます。 (大藤 記)

  

2025.10.8

カワセミ

 きのう、朝8時ごろ、軽井沢タリアセン内のレストラン湖水にいると、何かが建物にぶつかる音がしたので、外に出てみると、カワセミが地面に落ちて死んでいました。塩沢湖畔を低空飛行していて、慌てたのか、よそ見していたのか、あるいは、ガラスに映る湖面を現実の湖面と思い違いしてしまったのか、建物に衝突してしまったようです。ここに写真を載せます。

 カワセミは、コバルト色の背と橙色の下面を持った、クチバシの大きな美しい小鳥です。 スズメくらいの大きさ。光線の具合により青にも緑にも輝くことから、〝水辺の宝石”とも呼ばれています。私も軽井沢で年数回の頻度で、ごくたまに見かけます。

 

2025.11.27

 

 さて、最近の出来事をここに記しておきます。

 3日前、私は来年のある行事に関する件で、東京銀座に行ってきました。東京は、パラパラと少し雨が降っていましたが、軽井沢に比べればだいぶ暖かい感じがしました。外国人観光客の姿を多く見ました。

 一昨日、「軽井沢高原文庫通信」第106号が納品されました。A4判12頁。三つ折りにする作業と封筒詰めをする作業を、一昨日と昨日、集中的に行いました。そして、けさ、軽井沢郵便局に持ち込んで、発送してきました。会員の皆さま、もうしばらくお待ちください。

 同じく一昨日、軽井沢美術館協議会の今年最後の例会を軽井沢タリアセンで行いました。事務局・会長館は軽井沢高原文庫。加盟8館の内、3館はすでに冬季休館中で、ルヴァン美術館副館長、田崎美術館館長は東京からお見えになりました。

 昨晩、雨が降ったようで、けさ、浅間山を見上げると、上部は雪に覆われていました(写真)。今季3回目くらいの積雪。浅間山に3回雪が降ると平地にも雪が降る、という古言があるようですから、遠からず平地にも雪が降るでしょう。

 12月4日前後から日本列島に寒波が南下してくるという気象予報が出ています。早くも流行の兆しを見せているインフルエンザとともに(人込みの場所へ出かける際はマスク着用をお勧めします)、皆さまもくれぐれも寒暖の変化にお気をつけください。 (大藤 記)

 

 

2025.11.28

 

 

 

今年の営業は残り一週間となります。落ち葉集め終了。信濃毎日新聞「辻邦生への序章」5回連載

 しばらくご無沙汰いたしました。皆さま、お変わりございませんか。

 軽井沢は木々が落葉し、すでに初冬の様相を呈しています。朝、仕事場に出てくる時、地面には霜が降りていて、サクッ、サクッと踏んできます。

 4日ほど前、軽井沢高原文庫の周囲の落ち葉を車のライトエースに数回、積み込んで、腐葉土をつくる場所へ運びました。これで今年の落ち葉集めは終了となります。

 きのうの軽井沢の気温は最低-2.2℃、最高9.5℃。きょうの予想は最低-1℃、最高13℃です。軽井沢は平地にまだ雪は降っていませんが、そろそろでしょうか。

 さて、軽井沢高原文庫の今年の営業は残り一週間となりました。11月30日で今年度が終了します。1年というのは本当にあっという間ですね。

 ここで、最近の出来事を思い出すままにいくつか、記しておきます。

 数日前、「軽井沢高原文庫通信」第106号がようやく校了となりました。数日後には納品されます。

 同じく数日前、ある短歌雑誌から頼まれていたエッセイ原稿を書いて、送りました。

 10日ほど前、全国文学館協議会第10回展示情報部会が前橋文学館で行われ、参加してきました。発表者は、調布市武者小路実篤記念館の伊藤陽子さん、世田谷文学館の竹田由美さん、前橋文学館の高坂麻子さん。テーマは「地域と文学館」。全文協の集まりに私は忙しくてなかなか参加できないのですが、今回、各館の様々な取り組みを聞くことができて、大変勉強になりました。北は北海道から南は鹿児島まで、現場担当者が参加されていました。

 なお、すでに1か月以上が経過していますが、信濃毎日新聞が「辻邦生への序章 生誕100年 信州で培った文学世界」と題して5回シリーズの記事を文化面に掲載しました。信州にゆかりの深い作家とはいえ、辻邦生生誕100年の機会を捉えて、このように地元紙が大きく特集してくださったことに対し、深甚なる感謝を申し上げたいと思います。執筆は文化部の塚田岳さん。塚田さんは学生時代、辻さんの講演を聞いた経験があり、その際、辻さんと言葉を交わしたそうです。ここに辻邦生と軽井沢の関係を扱った初回記事を載せます。ご興味のある方は他の記事もどうぞご覧ください。丁寧な取材で辻文学の普遍性や今日性を探っていて、一読に値します。①2025.10.9。②同10.15。③同10.22。④同10.23。⑤同10.24。 

  

 さて、あすは、軽井沢町追分宿郷土館の「浅間根腰三宿のビスタ」展へ貸していた資料の返却があります。3日後に、「通信」第106号が納品されると、その発送作業が待っています。いま、ショップ等の商品の棚卸し作業も進めています。11月30日には堀辰雄山荘で開催中の「人文昆虫展 『蟲の歌を詠む』」が終了しますので、その後、撤去作業を行います。

 皆さま、日に日に気温が下がってきております。どうぞお身体を大切にお過ごしください。 (大藤 記)

 

軽井沢の紅葉はそろそろ終わりに近づいています。

 きょう、開館前、本館2階展示室の外を箒で掃いていて、針のような落葉松の黄葉がたくさん落ちているのに気づきました。軽井沢の紅葉はそろそろ終わりに近づいているようです。

 先日、軽井沢高原文庫の紅葉の写真を載せましたので、きょうは、当館から徒歩2分ほどのところにある、軽井沢タリアセンの様子を2枚、載せます。中央ゲートを入った付近と、旧朝吹山荘”睡鳩荘”を遠目で見た塩沢湖の一部です。3日前の撮影。

 きょうは、軽井沢高原文庫に、長野市から文章講座の団体13名が中型バスで訪れました。講師は元信濃毎日新聞論説委員の三島利徳さん。三島さんはかつて文化部にもおられて、私は以前から存じ上げています。皆さん、熱心にご覧になっていました。そのうちの一人の男性は、「よくこれだけ充実した施設を40年も維持されてこられましたね」と驚いていました。

 なお、最近、「軽井沢高原文庫通信」第106号の原稿をお願いしていた7人の方から原稿が届きましたので、きのう、印刷会社へ入稿しました。今回は12ページ立て。発行は11月25日です。執筆者は、詩人や作曲家など、さまざまです。どうぞ楽しみにしていてください。 (大藤 記)

 

 

浅間山、初冠雪か

 きょうは11月3日。文化の日。

 きのう、軽井沢は好天に恵まれましたが、きょうの未明は雨が降っていました。

 さきほど、開館の準備で外に出ていると、空が急に明るくなり、ふと山のほうを見ると浅間山の上部が真っ白になっているのが見えました。今年の初冠雪でしょう。撮影時間は9時17分、撮影場所は当館敷地内の有島武郎別荘の2階の窓からです。

 皆さま、これから軽井沢へお越しになる方は、どうぞ暖かい服装でお出かけください。 (大藤 記)

 

軽井沢高原文庫の営業は11/30まで。有島武郎別荘カフェ「一房の葡萄」の営業は11/18まで。

 11月に入りました。3連休の初日。きょうの軽井沢の気温は最低7℃、最高15℃。

 秋が深まり、軽井沢は紅葉の見ごろを迎えています。

 きょうの軽井沢高原文庫の本館および前庭の様子を撮影しましたので、ここに載せます。

 さて、お知らせです。

 軽井沢高原文庫の今年度の営業は、例年通り、11月30日までとなります。現在、軽井沢高原文庫では「軽井沢の文豪たちに逢いにゆく<続>」を開催しております。明治期から昭和期にかけ、軽井沢ゆかりの文学者約50人が創作した詩・小説・随筆等を、自筆資料等約200点によって紹介しています。また中庭にある堀辰雄山荘において、歌人が詠んだ「蟲」たちを芋版画と共に実物標本で表現した「蟲の歌を詠む」を開催中。あわせてお楽しみください。

 きょうは、立原道造を数十年来、愛読しているという女性が熊本県からお見えになりました。

 もう一つ、お知らせがあります。軽井沢高原文庫敷地内の有島武郎別荘〝浄月庵”のカフェ「一房の葡萄」の今年度の営業は、11月18日(火)までとなります(水・木は休み)。「一房の葡萄」の次年度の営業開始は2026年4月11日でございます。

 ここへきて、朝晩の気温が一段と下がってきているように感じます。これから軽井沢へお越しになる方は、どうぞ冬の服装でお出かけください。 (大藤 記)

 

 

 

今年の軽井沢高原文庫主催イベントがすべて終わりました。

 秋が深まり、軽井沢は寒さが厳しくなってきました。けさの最低気温は3度。紅葉が一段と進み、見ごろを迎えつつあります。

 ここに載せる軽井沢高原文庫前庭で撮影した赤い実は、イチゴではありません。マムシグサの実です。サトイモ科テンナンショウ属の植物。マムシグサの実には毒性があり、食べられません。

 さて、3日前、10月25日、軽井沢高原文庫主催の最後のイベント「晩秋の信濃追分を歩く~追分ゆかりの文学者たちの足跡を歩く~」が開かれました。片山廣子を研究している東京都在住の女性や、8年前から軽井沢に移住しているというご夫妻などが参加されていました。

 旧追分宿の東の端から西へ向かってゆっくり歩きながら、約2時間かけて、曹洞宗の寺のあたりまで、今も残る文学ゆかりの建物や痕跡を辿りました。今回、追分宿郷土館では企画展「浅間根腰三宿のビスタ」を野巻花帆学芸員に、ギャラリー小灯では「吾輩はMONEY=KEI猫である」展を内山舞さんに、堀辰雄文学記念館では企画展「『美しい村』の幻像(イマアジュ)」を東崎悠乃学芸員に、信濃追分文化磁場油やでは旧油屋旅館内を斎藤祐子さんに、それぞれ短時間ながら、丁寧にご説明いただきました。

 ここには、堀辰雄文学記念館の敷地内で見つけた、かわいらしいキノコの写真を載せます。これは地元では「りこぼう」(または、じこぼう)と呼ばれているキノコで、食べられます。和名のハナイグチは花のように可憐なイグチ科のキノコの意味だそうです。

 

 泉洞寺の本堂の裏手にたたずんでいる堀辰雄が愛した石仏も訪れました。堀辰雄「樹下」に印象的に描かれています。堀さんは石仏の姿を「無心な姿勢」と表現しています。写真を載せます。

 

 このように、軽井沢高原文庫の今年最後のイベントが無事に終わり、ほっと胸をなでおろしています。今年の様々なイベントにご参加いただいたすべての皆さまに、心よりお礼申し上げます。

 ついでながら、もう一つ。 

 おととい、私は東京で開催された岸田國士「動員挿話」と井上ひさし「父と暮せば」の演劇を見に行ってきました。終戦から80年という節目に企画された反戦戯曲の2本立て一挙上演。文学座の高橋耕次郎さんが中心となった企画です。岸田國士の孫・岸田未知さんからお誘いをいただきました。

 日露戦争と広島原爆をそれぞれ主題としたこの2本立て公演は、今年、軽井沢高原文庫で「戦後80年 戦後文学を拓いたひとびと~荒正人宛サイン入り献呈本約五〇〇冊一挙公開~」と「戦後80年 壷井栄『二十四の瞳』~図書館情報学の世界から~」に携わった私には、間髪を入れずに、戦争について改めて考える機会を与えてくれました。ちなみに、「父と暮せば」は井上ひさしさんの代表作の一つです。 (大藤 記)

 

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