日本の移民政策は「言語」が鍵になる理由

日本は深刻な少子高齢化に直面しています。
2025年と比べて2040年には、労働供給人口が約950万人不足すると予測されています。
このままでは、医療・介護・物流・建設・製造・サービスなど、社会を支える基幹分野を維持することが難しくなり、国家としての機能が徐々に弱体化していきます。

出生率の回復や高齢者・女性の就労促進、AIや自動化の導入は重要ですが、それだけで労働力不足を補うのは現実的ではありません。
そのため日本は、今後、外国人労働者や移民に一定程度依存せざるを得ない段階に入っています。

 

 

移民政策が失敗する本当の理由

移民を受け入れれば問題が解決する、という単純な話ではありません。
EU諸国では、移民を大量に受け入れながら、社会統合を十分に設計しなかった結果、

  • 言語が通じないコミュニティの固定化
  • 地域社会の分断
  • 治安不安や政治的対立

といった深刻な問題が発生しました。

EUの移民政策の失敗は、人種や宗教の問題ではなく、言語取得を制度として位置づけなかったことに大きな原因があります。

 

言語は文化・生活・ルールそのもの

言語は単なる会話の道具ではありません。
その国の法律、価値観、生活習慣、対人距離、摩擦を避ける方法まで含んでいます。

特に日本社会は、

  • 暗黙のルールが多い
  • 空気を読む文化
  • 高文脈なコミュニケーション

という特徴を持っています。
そのため、日本語能力が低いままでは、本人に悪意がなくても誤解や衝突が起きやすくなります。

逆に、日本語能力が高い外国人ほど、日本人の言動や社会の前提を理解しやすく、結果として摩擦が少なくなります。

 

日本語取得は「本人任せ」にしてはいけない

よく「外国人本人が努力すべきだ」と言われますが、現実はそう簡単ではありません。

  • 長時間労働
  • 不安定な雇用
  • 学習環境の不足

こうした条件では、学ぶ意思があっても日本語を十分に習得できないケースが多いのです。

言語取得を個人責任に押し付けることは、長期的には社会全体のコストを増やすだけです。

 

企業と自治体が一緒に支援する必要がある

日本に長期的に仕事を通じて滞在する外国人には、
企業と自治体が連携して日本語取得を支援する仕組みが必要です。

  • 企業は、労働時間内での学習機会の確保や教育費用の一部負担
  • 自治体は、生活日本語、行政・医療・防災に関する言語支援
  • 国は、制度設計と財政支援

この三者が役割を分担することで、外国人労働者は一時的な労働力ではなく、地域と産業を支える人材になります。

 

持続可能な移民政策とは何か

移民政策で本当に問われているのは、「受け入れるかどうか」ではありません。

受け入れる以上、共に生きる条件を最初から明確にし、社会全体で支える覚悟があるかどうかです。

言語取得を中核に据えた移民政策は、排除のためのものではなく、
摩擦を減らし、日本社会を安定させるための現実的な選択です。

日本が人口減少社会を乗り越えるためには、
日本語教育を社会インフラとして位置づけた、持続可能な移民政策が不可欠だと考えます。