現在、日本の医療現場では65歳以上の高齢者が患者の約6割から7割を占めており、その中心にあるのが生活習慣病です。健康寿命を延ばすことは、個人の生活の質を守るだけでなく、国の財政を維持する上でも極めて重要な課題となっています。
1. 膨大な患者数と高齢者の特徴
厚生労働省の最新の調査(2023年〜2026年動向)によると、主な生活習慣病の患者数は以下の通りです。
- 高血圧性疾患: 約1,609万人(高齢者の通院理由で最も多い)
- 糖尿病: 約552万人(高齢者の4人に1人に疑いがある)
- 脂質異常症: 約401万人(特に高齢女性に多い)
- 心疾患・脳血管疾患: 合わせて約540万人(介護が必要になる大きな要因)

高齢者の多くは、これらの中から複数の疾患を併せ持っている(多併存)のが特徴です。そのため、単一の病気の数値を下げるだけでなく、体全体のバランスを考えた管理が求められています。
2. 国家財政を支える「公費(税金)」の重み
日本の年間医療費は約48兆円に達しており、その財源の約37%にあたる約18兆円が、国や自治体による「公費(税金)」で賄われています。
生活習慣病に絞ってみると、高血圧・糖尿病・脂質異常症の3疾患だけで年間約4兆円の医療費がかかっており、そのうち約1.5兆円が税金負担です。さらに、がんや心筋梗塞などを含めた広い意味での生活習慣病では、税金投入額は年間約6兆円という巨額にのぼります。

3. 高齢化が負担に与える影響
特に75歳以上の「後期高齢者医療制度」では、窓口負担が原則1割(所得により2割・3割)に抑えられている反面、医療費の約半分が公費で賄われる仕組みになっています。
そのため、生活習慣病が放置されて重症化し、人工透析(年間約450万円)や脳梗塞による長期入院・リハビリ(1入院約580万円)が必要な高齢者が増えるほど、国や自治体の財政負担はダイレクトに増大します。

結論:予防が「個人の幸せ」と「国の未来」をつなぐ
国が特定健診や健康づくりを推奨している背景には、こうした数兆円単位の税金負担を抑え、次世代に医療制度を引き継ぎたいという切実な願いがあります。
一人ひとりが適度な運動や食事管理を心がけることは、自分自身の健康寿命を延ばすだけでなく、日本の社会保障を守るという大きな貢献にもつながっています。
