2026年1月3日現在、米ドルは1ドル=156円前後で推移している。
日米の金利差が今後縮小したとしても、日本円が必ずしも円高方向に戻るとは限らない。為替相場は金利差のみで決定されるものではなく、各国の財政運営や金融政策の持続性、さらには将来に対する市場の期待といった要因が大きく影響するためである。
現在、日本では金融緩和と積極的な財政出動を重視する政策、いわゆるサナエミクスが志向されている。
こうした政策は短期的には景気を下支えする効果を持つ一方で、国債残高の拡大や財政規律の緩みを通じて、中長期的には日本の国際的な信用力を低下させる懸念を伴う。市場が日本の財政の持続可能性に不安を抱くようになれば、金利差が縮小したとしても円は積極的に買われにくくなり、円安基調が継続する可能性は高い。
円安が定着すれば、エネルギー、食料、原材料、医薬品など、輸入への依存度が高い財の価格は上昇する。
これは需要の拡大によって生じる物価上昇ではなく、コストの増加を価格に転嫁せざるを得ない「コストプッシュ型インフレ」である。日本はエネルギーや食料の多くを海外に依存しているため、この影響を回避することは容易ではない。
一方で、賃金の上昇は必ずしも物価上昇に追いつくとは限らない。
賃上げが進むとしても、それは一部の業種や高付加価値人材に限定され、社会全体では緩やかで不均一な動きにとどまる可能性が高い。
その結果、実質賃金は伸び悩み、多くの国民にとって生活費の負担は一層重くなることが懸念される。
このように、円安の長期化と財政悪化への懸念が重なれば、日本経済はコストプッシュ型インフレが継続する構造に入る。
国民生活は徐々に圧迫されていくことになるだろう。これは急激な通貨危機のような形で表面化するものではなく、生活必需品の値上がりを通じて、「気づかぬうちに生活が苦しくなる」形で進行する可能性が高い。
さらに2026年4月には、食料品をはじめとする生活必需品の値上げが相次ぎ、特に低所得者層の生活は一段と厳しさを増すと考えられる。
円安の長期化や輸入コストの上昇を背景とした価格転嫁は避けがたく、賃金上昇が限定的にとどまる中で、家計に占める食費や光熱費の負担割合はさらに高まる可能性が高い。
その結果、可処分所得の少ない世帯ほど、実質的な生活水準の低下を強く実感する局面が到来するだろう。
以上を踏まえると、金利差の縮小だけで円安やインフレの問題が解消されるとは考えにくい。
日本は今、財政運営の在り方と経済構造そのものへの対応が厳しく問われる局面に差し掛かっていると言える。