日常生活:妊娠を目指す女性ができること~石鹸で注意したい成分 | クイズで学ぶ不妊診療最前線~愛/AIなんだ

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これまで着床不全やPGT-A(胚染色体解析)の問題を取り上げてきました。時代は流れ、今や人工知能が診療に取り入れられるようになってきました。この大きな変革の中で、生殖医療専門医の立場から不妊症・生殖医療全般にわたって自身悩み考えながら学習していく記録です。

出典:Mínguez-Alarcón L et al.,

Urinary triclosan concentrations and diminished ovarian reserve among women undergoing treatment in a fertility clinic. Fertil Steril. 2017 Aug;108(2):312-319.

 

抗菌剤・トリクロサン(triclosan)は長年医薬部外品の薬用石鹸・食器用洗剤・歯磨き、脱臭消毒剤、化粧品などに用いられてきましたが、

最近の動物研究から内分泌かく乱物質(いわゆる環境ホルモン)の可能性が指摘されました。

 

2016年には米国食品医薬品局(FDA)は、トリクロサンには免疫系に影響するリスクがあり、

通常の石鹸と比べて優れた殺菌効果はないと報告し、販売停止措置を取っています。

 

厚生労働省もこれを受けて素早く同様の声明→http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000138223.html 

を出したことは評価できますが、FDAのように禁止ではなく、自主規制レヴェルのもので懸念が残ります。

 

EARTH Study Teamがボストンの不妊クリニックにおいて

トリクロサンと月経周期3日目の胞状卵胞数(antral follicle count, AFC)の関係を調べたところ、

尿中トリクロサン濃度が高いほどAFCが少なく、逆相関関係にあったこと、

若年女性、標準体重以下の女性ほど、この影響を受けたこと、を報告しています。

 

また尿中トリクロサン高濃度の女性では、低濃度の女性に比べて良好胚到達率と着床率が低いことが

すでに示されています(Hua R et al., Reproduction. 2017;153:319-325.)

 

国内でもトリクロサンを使用した製品は減ってきているとは思われますが、

皆さんもお使いの石鹸、洗剤、歯磨き粉、化粧品などの成分をいま一度確認してみることをお勧めします。

 

今日の一曲:The Futures / Superlove 

フィラデルフィア最高のヴォーカル・グループと力説するファンも多い男声5人組。

なぜかデトロイトのドン・デイヴィスが製作したブッダからのアルバムより。

バリトン&ファルセット&コーラスすべて完璧なスウィート・ソウル。必聴!!!