こんにちは。
声と話し方で人生を変えるトレーナーむくもとゆうこです。
私が教えているアナウンススクールでも、声優の専門学校でも、
声のプロを目指す学生たちは「外郎売」の練習をします。
「外郎売」とは、歌舞伎の台詞です。。
そもそも「外郎」とは中国から伝わった薬のこと。
二代目市川團十郎が服用し、持病の咳が止まったことから、
感謝の気持ちを込めて、1718年(享保3)に芝居にしたのが始まりです。
「外郎売」は市川宗家のお家芸「歌舞伎十八番」の一つですが、
早口の台詞に高度なテクニックを要し、長らく上演されていませんでした。
十二代目市川團十郎が1980年に復活させた演目です。
その後、アナウンサーなどが滑舌練習などのために練習するようになったのですが、
私が教えている声優専門学校では、夏休みの宿題の一つに
「外郎売を全部暗記してスラスラ言えるようになる」という課題があります。
滑舌よく、間違えずに発音するだけでも難しいのですが、
それを全部そらんじるのは本当に大変です。
(全部読むと、5分以上はかかります)
でも、毎日毎日、何度も何度も口に出して言っていると、
そのうちに勝手に口が動くようになってきます。
さらに練習すると、早口でも言えるようになってきます。
ですので、すらすらと上手に言える学生がたくさんいます。
そこまで言えるようになったら、
ぜひ今度は歌舞伎役者になった気分で、声を出してほしいのです。
はじめは、物売り口上として、お客さんを引き付けるように力強くゆっくりと、
外郎を舌の上に乗せた後は、どんどん早口になっていきます。
そしてラストは、またゆっくりと粘って。
スピードだけでなく、もう一つ重要なことがあります。
それは、一本調子ではなく、高低差をつけて読むこと。
元々日本語は高低アクセントの言葉ですが、
その高低差を際立たせて型にしたのが、歌舞伎や浄瑠璃、狂言などの伝統芸能です。
ですから、しっかり高低差をつけて読みましょう!
それをすることで、他の文章を読むときにも高低差が付けられるようになり、
メリハリが出てきます。
もちろん、ニュースなどを読むときには、変なクセなど付けず、
「話すように読む」のが基本ですからね。
外郎売を読むときは、ぜひ歌舞伎役者になった気分で読んでみましょう!