錦繡 宮本輝著 | 青空にTシャツ、片手にビール時々鉛筆

青空にTシャツ、片手にビール時々鉛筆

少し暇な時間が出来たので、何の脈略もない部屋になりそうですが、童心に返って絵日記風に始めてみます

もみじ 錦 繡 あじさい

宮 本  輝

 

今回の小説は全編

別れた夫婦の往復書簡という

構成で書かれています

 

『蔵王のダリア園からドッコ沼へ登るゴンドラリフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした。・・略・・あなたに、こうしてお手紙を差し上げるなんて』

 

別れた夫婦が偶然12年振りの

再会を機にあの頃の

本音や想いを綴ることで

もう一度あの頃を振り返っていきます

 

また、お互いの手紙に

相手の想いを受け取り

思いもよらぬ言葉に

心が動かされていくのです

 

それが全編手紙で書かれているので

一通づつの手紙の量が

半端ではありません

特に物語の最初の手紙は

 

離婚に至った経緯など

読者がわからないので

とんでもない量となっています


離婚に至ったのは

浮気というのでしょうか

かなり話は複雑

夫がその相手の女性の

無理心中に巻き込まれる


相手の女性は亡くなる

夫は身体から自分が抜け出し

亡くなった自分を見ていたという

しかし、夫は死ななかった



妻の父は会社の後継者にと

思っていたが

事件が事件だっただけに

離婚するよう夫に迫り

2人は離婚した


妻はそれから再婚し

 子供を出産

その子供が障がいをもっていた


そんなこんなのことがびっしりと


宮本輝さんの筆致の特徴でもあり

美しい日本語で

びっしりと書き込まれています

 

全編こんな感じでびっしり

1ページの文字数がおおよそ

42×17=714文字

 

最初の手紙は30ページあったので

714×30=21420

400字詰原稿用紙にすると53枚

 

原稿用紙53枚の手紙が届いたら

ビックリしてしまいますね(笑)

 

学生時代親友からの

便箋50枚の手紙

学生時代便箋20~50枚の手紙を

親友から何度か

もらったことがありました

大抵は女の子のことでした(笑)


最後はぼくの元カノと一緒になり

最後の手紙は結婚披露宴の

招待状でした(笑)

 

 

 小説の方に話を戻します


この夫婦は意に反して

離婚したのでしょうね


とても長い手紙ばかりで

切ない気持ちになりました

 

互いの手紙で相手の気持ちを知り

過去の自分を慈しむことで

 

今の自分を見つめ直すことへと

繋がっていきます

 

往復書簡で明らかになっていく過去

ミステリー小説でもあり

そこにじわじわと温かさが

増していくようでした

 

中島みゆきさんの歌では

ありませんが

 

往復書簡が

縦の糸と横の糸のように

交互にふたりで

紡いでいくかのようでした

 

 

この小説の最後の1通

(本の10ページ分)は

京都まで行って読んできました

 

4月に「宝物館」がオープンした

智積院に行ってきました

 

智積院の青もみじの木陰で

最後の1通を読みました


物語はこれからの2人の

人生が充実したものである

そんなことを

予感させるものでした

『この手紙を封筒に入れ、宛名を書いて切手を貼り終えたら、久し振りに、モーツァルトの三十九番シンフォニーに耳を傾けることにします。さようなら。お体、どうかくれぐれもお大切に。さようなら』

 

美しい日本語の宮本輝さんの小説を

読み終えました

小説を読んだというより

人の手紙を読んだ

そんな感じでした💦

 

もうこんな風に

手紙のやり取りする時代は

こないのでしょうね

 

ポストの前、高ぶる心で

手紙を投函しようか止めようか

そんな時代が懐かしく

想い出されました

 

「幸せの黄色いポスト」

 近鉄橿原神宮駅前

長い手紙を書いて

ここから投函してみよう


 

智積院のお話しはまたの機会にします

 

アッ!本を読み終えたあと

智積院境内にあるレストランで

頂いたアップルパイが

めちゃくちゃ美味しく

アイスコーヒーとの

相性も抜群でした

「めちゃくちゃ

美味しかったです

また来ます」

と宣言してきました

 

今日も最後までお付き合い

ありがとうございました