遅い初ファンレター | sgtのブログ

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歌うことが好きです。コロナ禍で一度はしぼみかけた合唱への熱が''22年〜むしろ強まっています。クラシック音楽を遅まきながら学び始める一方、嵐の曲はいまも大好きです。


田辺聖子さんの訃報を次女から聞き、
時代の終わりをまたひとつ、痛切に感じます。



『愛してよろしいですか?』から
田辺さんの作品を読むようになり、
やがて古典翻案シリーズにはまって、
結婚前までは追いかけるように読み漁っていました。



中でも枕草子と源氏物語は、
『大鏡』などの歴史物語から抽出した史実や風俗も織り交ぜて、
ただの翻訳ではない、興味深く読みやすい内容に仕立てられているのに感動し、
何度も何度も読み返しました。
そのオリジナリティゆえに古典の先生からは
「現代語訳としてはおすすめできない」と言われていたけれど…



調べるべきところはとことん調べ、
言葉を補わなければならないところは、原文に違わぬように丁寧に言葉を選び、
一方で、描かれていない空白部分では大胆に想像を遊ばせる、
その絶妙なさじ加減がなんともたまらなくて。



教養ある大人のユーモアってこういう文章なんだろうなと、
約30年前の女子高生は唸ったものでした。
それから約30年後、
気がつけば次女も田辺古典ファンになっていました。



今夜は次女と
『むかし・あけぼの』で語り合いたいな…



昭和から平成と文学の世界を駆け抜けて、
令和まで91年もの長い旅をしてこられた
田辺聖子さん、おつかれさまでした。
いちファンとして、
田辺さんの豊かな言葉にたくさん触れさせていただいたことにお礼申し上げます。
どうぞ天国でも自由なおしゃべりを楽しんでください。