Cintia 1 | sgtのブログ

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歌うことが好きです。コロナ禍で一度はしぼみかけた合唱への熱が''22年〜むしろ強まっています。クラシック音楽を遅まきながら学び始める一方、嵐の曲はいまも大好きです。


先日の投稿「vaga luna」、
師匠衆に厳しい評価をいただきました。

反省を踏まえて、リバースサイドに挑戦しようと思います、が、
反省できてるのかしらコレ…













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Cintia









アラームじゃない…着信だ。
携帯の鳴る音に起こされて、画面を見ると彼女の名前。
時刻は…真夜中かよ。


「…どした?」

「ごめん、寝てた?よね…
あのね、月が綺麗なの…今からそっち行ってもいい?」

「なにそれ…いまバイトの帰り?」

「うん」

「仕事でなんかあった?」

「ううん、嫌なことがあったわけじゃないけど…
電話だとうまく言えない…」

「じゃあ、来なよ。明日休みだから、別に構わないし」

「うん」


初め不安そうだった声が少しだけ上向いて、通話が切れた。
月、か…。
身体をベッドから引きずり出してカーテンを開けると、南の空高く、心なしか大きく見える月が晧々と光っていた。
しかし満月とはちょっと違うような…その不安定な形は却って心をざわつかせる。

バイト先で彼女と知り合ってそろそろ2年。
だが俺がこの春大学を卒業し、就職を機にバイトも卒業してからほとんど会えなくなってしまっていた。
なかなかお互いの都合がつかず、このままフェイドアウトしてしまうんだろうか、と俺も寂しさを感じていたところだった。

たまたま今日は、新人同士の飲み会に誘われていたのを断わって帰った。
革靴を脱いだらどっと疲れが出て、ビールひと缶で危うく寝落ちしかけ、ごそごそとベッドに移動して…そして今の電話に起こされた。

気づいたら歯も磨いていない。

洗面台に向かうと、鏡の中にはぶっ飛んだ頭の俺。
久しぶりに会う彼女に起きたまんまの姿ってどうなんだ?と思ったが、さっきの電話で寝てたのはわかったろうし、今さら着替えて張り切って出迎えるのもなんかおかしいし…

そうか、あいつ、ここに来るんだ。

歯を磨いたら目がはっきりと覚めて、やっと嬉しさを実感し始めた。
今からそっち行ってもいい?だなんて、
俺に会いたがってくれてたんだ。

やっぱりちょっとだけ寝癖を押さえた。
大して変わり映えしなかったが。
着替えは…しないことにした(この方が脱ぎやすいから)。

部屋のカーテンを全部開けると、学生の頃から使っててガタがきてるベッドに、青白い月の光がやわらかく降り注いだ。
思いがけず今夜会えるなんて。
月の導き、ってのがあるのかな。
柄にもなく感謝したくなった。

あいつはどんな風に来るんだろう。
どんな風に迎えよう。
どんな風に、抱きしめよう。

顔がにやつくのを抑えることもせず、脱ぎっぱなしのスーツやらビールの缶やらを片付けて回った。











インターホンが鳴り、モニター画面に映る変わらない姿に嬉しくなってドアを開けると、
思いつめたような表情のおまえが立っていた。
久しぶりに会うから緊張してる?と思ったら、
いきなり抱きつかれ首に唇が飛んできた。


わわわ
嬉しいけど これはどうした?


酒の匂いはしてないよな…
それだけ確認できたと思ったら今度は顔ごとぶつかってきて、かなり手荒なキス。
そのさなかにも、靴を脱ぐのももどかしげに体ごとずんずん凭れかかってくるから、俺はそれを支えながら後ずさりし、ともかく室内に上がらせた。

懐かしい匂い
でもなんか少し軽くなったような…

玄関に荷物を振り落とし、なおも飛びかかってきそうな勢いのおまえを、
遅れをとるまいと俺は力任せに抱きすくめた。

やっぱり、腰、細くなってる。

やっとまともに目を合わせてくれた。
仕事終わりで疲れきっているかと思ったのに、瞳の中に見たことのないような光が宿っている。


「久しぶり。元気そうで良かった。
でもちょっと痩せた?」

「よくわかんない…」


話してる間も、まるで何かに憑かれたような目つき。
今度は俺から顔を傾けて、掬い上げるように唇を塞いだ。
さっきのがっつくようなキスではなく、優しく、包むように。

何があったか知らないが、
こんな不安そうな時に真っ先に俺を頼ってくれた。
それが単純に嬉しい。

おまえは再びスイッチが入ったのか、小さな薄い舌で精一杯俺に呼びかけるので、つい それにつられてしまう。

お互いに呼吸が荒くなる。

両腕が首に絡みつき、やわらかい胸が薄っぺらいTシャツ越しに押し当てられると、
俺の躰も遠慮なく、おまえが欲しいと主張し始めた。
おまえは敏くそれに気づいて、短パンの中に手を挿し入れてくる。

うわ…今日やたら積極的だな
俺的には大歓迎だけど

こんなとこで、こんな状態になってることにもテンション上がるが、
この、いつもと…いや今までと違うおまえに、戸惑いながらも巻き込まれたがっている俺。

急降下して短パンと下着を一緒にずらし、無邪気に飛び出た 俺 をふわりと熱い唇で捉えたおまえが、
ぴくりと反応する俺に、
遥か下から目で笑ったような。

その視線を合図に、俺の中で何かが弾けた。
















…長くなってきたので分けます。
なんかもう、つじつまとか関係なく全然別のお話みたくなっててイタい。
この際だから別物としてお読みください。今更?