こちらの記事の続きです。
例えば,学校の先生が生徒の問題行動を見つけて,
厳しく注意したとします。
そしてそのことを生徒が保護者に話したとします。
子どもに限らず人間は誰でも
自分に都合が良いように話す傾向があります。
ですから,多くの場合はこんな感じで
話すことが多いのではないでしょうか。
「自分だけがやったわけじゃないのに,
自分だけが叱られた」とか,
「自分はそれほど悪いことをしていないのに,
先生からものすごく怒られた」
というような感じでです。
そして私が子どものころだったら,
保護者の反応はだいたいこんな感じでした。
「何言ってんの!
あんたが悪いことしたんでしょ。
学校の先生が理由もなく
怒るわけがないんだから,
もう怒られないようにちゃんとしなきゃダメよ!」
それも、私の親だけがそうだったという訳ではなく,
ほとんどの親がそうだったと思います。
ところが今は違うのです。
「うちの子だけが怒られるのは
おかしいんじゃないでしょうか?」
というようなクレームが
学校に入ることが珍しくないのです。
もちろん悪いことをした子たち全員を
しっかりと叱るのが理想ではあります。
ただ,学校の先生も生徒の一部始終を
監視しているわけではありませんから,
全てを把握できるはずがありません。
しかも,目の前で何か問題行動があったら,
それは厳しく叱るしかありませんから,
「悪いことをした子たちのうちの
一部だけが叱られた」
としても,非難されるようなことではないと思います。
保護者のクレームはそんなパターンだけではありません。
こんなパターンもあります。
「うちの子が悪かったのだとは思いますが,
もう少し言い方を考えるべきではないでしょうか」
「うちの子が先生に叱られて
学校に行きたくないと言っていますが,
どうしてくれるんですか?」
もちろん全ての保護者が
そんな対応を取っていると
言っているわけではありません。
ただ,生徒数十人のクラスの中に
このような保護者が1人いただけで,
もう学校は大変なことになります。
もう今の先生には,生徒を厳しく注意する権限すら
与えられていないのです。
それでいて学級崩壊でもしようものなら,
先生の責任だとされ,徹底的に非難されます。
責任とは権限に付随するものだと思うのですが,
今の先生は権限がなく,責任だけが課されているのです。
しかも非難されるのは,
学級崩壊した場合だけではありません。
例えば「いじめ」が発覚したとき。
普通に考えれば,
「いじめ」は加害者の生徒が一番悪いのです。
まだ子供だということを考えれば,
「加害者の保護者」の責任も大きいでしょう。
ところが多くの場合,
加害者の生徒やその保護者は,
プライバシー保護の観点からあまり非難されません。
そして学校と学校の先生だけが,
「いじめに気づかなかったのか?」
などと非難されたりするのです。
そもそも学校の先生は生徒を監視する役目ではありません。
「いじめがあったときにそれに気づかなかったら,
それは100%先生に責任がある」
と言われたら,もう学校の先生なんて
やっていられないでしょう。
次回に続く