児童虐待の原因の一つ【DV】 | 子どもを守る目@関西のブログ

子どもを守る目@関西のブログ

このコミュニティーは、育児不安・育児困難を抱えた方をサポートしたい、そんな思いで生まれました。

「学ぶ会」「セミナー」「お茶会」などを通して、
子育てについて語り合い、学び合い、出会いや繋がりを作っています。

子どもを守る目@関西の辻 由起子です。

児童虐待のニュースで度々見かけるキーワード、

「内縁の夫」
「夫による暴力」

暴力を受けていても、
不思議と別れる選択肢が頭に思い浮かびません。

それどころか、自分がDV被害者だということにも気がつきません。
(私もそうでした)

そのあたりの心理を住田裕子弁護士が講演してくださり、
子どもを守る目@関西のメンバーが、
とてもわかりやすく、詳細にレポートにまとめてくれたので、
是非皆さんにも知っていただきたいです。


★住田裕子弁護士による「DV予防・啓発」講演会★

2011年9月23日(金) 寝屋川市

≪DV防止法(配偶者暴力阻止法)≫

●退去命令
●接近禁止命令
●子供に対する接近禁止命令

この3本柱で暴力から逃げること。

≪DV(ドメスティックバイオレンス)とは≫

配偶者に対する暴力のこと。

海外ではWifebeater(ワイフビーター)=妻を殴る人 と呼ばれて軽蔑されている。

日本には古来の考え方に「男尊女卑」がある。
夫に暴力をふるわれても、
妻が至らないときは夫が妻のしつけの為に暴力をふるうのは構わないという考え方。

★例★

井上ひさし(作家)の妻は、周りから
「作家の憂さ晴らしの為に殴られてくれ。
井上ひさしも殴れば気が晴れて作品がかけるかもしれない」
などと言われている。
井上ひさしが良い作品を書くためには妻は犠牲になるべきだと云う考え方

「男尊女卑」は形を変えると「強い者が弱い者をいじめる。暴力をふるう」ということ。
似ているものに「虐待」がある。

「児童虐待」には夫から妻の連れ子への虐待が多い。
この時、妻は子供を庇うのではなく一緒に加害者になっていることが多い。
また、DV加害者の4人に1人は子供にの暴力を振るっていると云われている。

≪DVは成人している大人同士の問題であるのに、なぜ逃げないのか?≫

「逃げない」のではなく「逃げられない」

怖すぎて動けなくなる。
直接の暴力ではなく、物にあたっているのを見るだけでも怖くなる。
妻は日本人特有の「私が悪い」という考えで自分を責めており、
夫の「お前が悪い」という言葉の繰り返しによってマインドコントロールされている。

「孤立化」している。
昔は大家族で大勢の目があった。
今は核家族でマンションのカギを閉めてしまえば何が起こっているか外からは判らない。

夫に経済的に依存しており、仕事が簡単に見つからないことや、子供の転校などで逃げるふんぎりがつかない。

≪DV加害者のタイプ≫

DVはだれもが納得するような人だけがするのではない。「え?この人が?」という人もする。
ましてや夫が社会的に立派な人であれば尚更妻は言いだせない。
(虐待も同じ。意外な人がしている場合がある)

では、DV加害者のタイプとは

①PDの人
②自己愛の強い人(ナルシスト)

●PD(Personality disorder)とは。

例として宅間守(池田小学校事件の犯人)。
精神鑑定書には「反社会性人格障害」と記載。
いわゆる病気ではなく性格のねじれやゆがみの程度の大きい人のこと。
障害という言葉は差別につながる恐れがある為、テレビなどでは使われない。
1000人に10数人居ると云われている。

●ナルシストとは。

自己中心な人。
目立つのが大好きで、自分を守る為には暴力も構わない人。
自分が少しでも傷つけられたと感じたら、言葉で訴えずに暴力で訴える人。

≪そもそも暴力はなぜいけないのか?≫ → 理不尽だから。

もともとの動物としての人間の本能、DNAには強い者が英雄という考えが刷り込まれている。
原始時代などは強い者が支配していた。

では、人類は力だけで発達したのか?
否。
言葉を使ってコミュニケーションをとることにより、集団生活を可能にした。

集団の中で生きていくには、暴力ではなく言葉で解決していくことが重要。
これを小さい子供の内から教える必要がある。
社会性を育む必要がある。なのに、虐待をしていたら反対のことをしていることになる。

≪社会性を育むとは≫

ストレス解消方法や、我慢の仕方、自分の要求を言葉にする力をつけること。

昔の少年犯罪は「貧しい」「ひとり親」「勉強が出来ない」だったが、
今は親の収入も高く、両親が揃っていて、本人の学力も高かったりする。

しかし、人と話すのが下手であったりしてコミュニケーション能力やEQ(心の知能指数)に欠けている。
最近の少年犯罪者の精神鑑定書によく出てくる言葉は「対人関係能力が無い」「共感性が無い」である。

最近ではデートDVが問題。
勉強さえ出来れば良いで育った男の子(EQが低く、共感性の無い状態)が、
思い通りにいかない・社会で上手くいかないことがあると、恋人に手を挙げるようになる。

EQの高い人は「やる気・熱意・意欲・ガッツ・チャレンジ精神のある人。我慢する心を持っている人」である。
社会には理不尽なことも多いが、我慢してコツコツと頑張ることが重要である。

≪共感性とは≫

他人の痛みを感じられるということ。
感じられない人は犯罪者であり、DV加害者である。

暴力を振るう人は相手の痛みが感じられない、つまり共感性が無い。
差別をする人も同じ。相手が傷つく言葉を平気で言える。

DV加害者にとって、妻や子は支配しているモノ。
そのモノが反抗したり逃げたりすると余計に自尊心が傷ついてキレる。

≪被害者はどう守られるか?≫

家庭内では絶対に解決できない問題であるので「話し合ったら?」とアドバイスをするのは厳禁。
DV加害者は話し合いの出来ない人である


相談された人が、加害者に逆恨みをされる場合があるので、公的機関に相談する。
昔は民事不介入だったが、今は法テラスや警察などで相談を受け付けている

加害者は必ず繰り返す。
離婚しても次の人に同じことをする。なぜか?反省しないから。

ナルシストの人は他人の話を謙虚に聞くことが出来ない。
他人の話を聞けないので、学力が高くても社会では出世できない。
すると他人に認められないので劣等感がうまれる。
自分より立場の弱い者に向かっていく。

どうしてそんな男を見抜けないか?

ナルシストやPDの他人には魅力的な部分もある。
独裁的な部分には強いカリスマ性があったりする。

≪まとめ≫

「共感性」とは真の教養である。

子育ての段階から「暴力はいけない」と教えることが重要。
共感性を養い、言葉で自分の要望を伝えるコミュニケーション能力を鍛えることが必要。

しつけと言って叩いたりして教えていると、言っていることとやっていることが逆になる。
暴力によって教えられた子供は、暴力によって自己の要求を通そうとする。

他人の気持ちが判る。自分も大切。相手も大切。
みんなと、地域とつながりあえる社会
 ⇒ 暴力の無い社会。言葉でコミュニケーションがとれる社会
 ⇒ 住みやすい・生きやすい社会 となる。