今回取り上げる季語は「蓑虫」で秋の季語になります。
蓑虫は蛾の一種であるミノガの幼虫で雄は羽化して成虫になりますが、雌は羽化せず我々が蓑と呼んでいる中で成虫となり、繁殖期になるとフェロモンを放出して雄を呼び寄せて交尾し、卵を産むとそのまま死んでしまい一生を蓑虫の状態で終えます。
蓑虫の形が蝶や蛾の蛹に似ていますが、枯葉などで覆われた下に蓑虫の本体があり、枯葉で覆われている隙間からよく見ると顔や体のようなものが見えることがあります。
また、蛹と思われているので木の枝にぶら下がったままずっと過ごしているように思われていますが、餌となる葉っぱや体を覆う枯葉を探すため、樹上や地上を移動することがあります。
蓑虫は蛾の一種ですが、我々がよく知る蝶や蛾の生態とは少し違っています。
そういう生態の違いからか、蓑虫は鬼の子、みなし子というはぐれものを示す言葉が充てられており、季語としての蓑虫の傍題にも鬼の子、みなし子が当てられています。
そんなはぐれものと秋のもの悲しさに共通する感覚があるのでしょうか?
蓑虫には多くの例句が歳時記には掲載されています。
いつものように歳時記の例句を見ながら蓑虫という季語について考えてみたいと思います。
蓑虫の句は大きく分けて二つに分類されると私は思いました。
一つは風景を題材にした写生句、もう一つは空想的なものを詠んだ句です。
写生句は俳句の主流をなすもので、この種類の句があるのは常識と言っていいと思います。
そして、もう一つの空想的なものはそう多くの季語で詠まれる句ではないようで、私見ではありますが動物、昆虫の季語に多いように思います。
私自身は空想的なものを詠むのは苦手ですが、この季語で挑戦してみたいと思います。
蓑虫の糸ほど細き命かな
(俳句ポスト投句)
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。







