今回取り上げる季語は薇(ゼンマイ)で春の季語となります。
山生まれの山育ちといいながら蕨(ワラビ)と薇(ゼンマイ)を勘違いした失敗の反省から写真付きの歳時記を昨年購入しました。
薇(ゼンマイ)と蕨(ワラビ)は同じ羊歯植物の一種で成熟する前は形が異なりますが、どちらも先っぽが丸まった形に愛嬌を感じます。
歳時記や辞書で薇(ゼンマイ)を調べるとその多くに川端茅舎の「薇ののの字ばかりの寂光土」という俳句に出会います。
寂光土とは常寂光土のことを言い、辞書には「仏の悟りである真理そのものが具現化している世界」とあります。
俗人である私には仏の悟りが具現化している世界とはどんなものか想像すら出来ませんが、川端茅舎の句にある「のの字」という言葉になんか呑気で気楽な世界なのかな~などと考えてしまいました。
そして、そんなことを考えていると薇(ゼンマイ)が童話の「ムーミン」に出てくる「ニョロニョロ」のように思えてきて、それなら常寂光土はムーミン谷のようなほんわかした世界なのでは、などとこの句からどんどん妄想が広がっていきました。
病に苦しみ、仏道にも通じた川端茅舎がこの句で詠んだ風景は私の妄想にあるようなものとは思えませんが、私には先に書いたとおりの呑気な風景がこの句からは見えます。
私が見る薇(ゼンマイ)の風景は川端茅舎とはかなり違ったもののように思います。
薇や魔女の落とした杖2本
(俳句ポスト投句)
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。