今回取り上げる季語はは赤潮で、多くの歳時記では夏の潮の傍題として取り扱われています。
赤潮はミクロン単位の植物性水生生物である、珪藻、鞭毛藻が水面で急激に繁殖することにより海水(もしくは湖水)が変色し、それが赤褐色に見える現象です。
急速に繁殖した藻類の呼吸やその藻類が死んだ後の有機物が水中の酸素を大量に消費するため、酸欠状態となった魚介類が水面近くまで浮き上がってきたり、死んだりする被害がでます。
さらに死んだ魚介類が放置されたままだと、高い水温で死骸が急速に腐敗して水質が悪化します。
それを食い止めるため、漁業関係の皆さんは死んだ魚の回収に追われます。
また、魚介類の養殖に携わっている方々は養殖生け簀を赤潮がない沖合に移動したり、移動が間に合わず死んでしまった養殖魚の回収に追われたりと、赤潮の対策に奔走されます。
赤潮の別名として苦潮、厄水があります。
特に厄水は東北地方の太平洋側を流れる親潮で発生し、こちらは赤褐色ではなく緑褐色をしていますので、今回取り上げる赤潮とは別物と考えるべきかと思います。
さて、赤潮の句を探してみると、やはりというか、数がとても少なく、季語として赤潮はどのようなものか、あまり多くの手がかりがつかめませんでした。
今回は例句に頼らず、いままでここで書いてきたことについての景を言葉にして、句作りしてみることにします。
赤潮を真一文字に連絡船
(俳句ポスト投句)
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。