今回の取り上げる季語は虹で夏の季語となります。
虹は古くから俳句や和歌のなかでよく詠まれている題材と思っていたのですが、調べてみると虹という言葉が含まれている和歌は数えるほどしかないそうで、芭蕉、蕪村、一茶の代表句でも見かけた記憶がありません。
調べてみると季語となったのが比較的新しいというのも納得しました。
しかしながら虹は雨の多い日本ではよく見られる気象現象で、雨上がりに見られる鮮やかな色彩の虹はとても印象的なので、和歌に詠み込まれているのが少数というのは少し意外でした。
さて、気象現象である虹という漢字がどうして虫偏なのか気になったので、漢和辞典で調べてみると、古代中国では虹は天空を貫く大蛇に見立てていたためと書かれていました。
虹の解字の説明では虫は蛇を表し、工は貫くという意味を持つ音(符)が合体してできたと記されています。
確かに蛇と同じ爬虫類の蜥蜴では光の当たりようで虹のような色彩を見せてくれるものを見かけたことがありますが、神の使いと言われる白蛇以外はよい印象を持たれていない蛇を虹に見立てるというのは中々日本人では思い至らない発想だと思います。
所変われば品変わるといいますが、古代中国の人々には虹が空に浮かんでいる蛇に見えたのでしょう。
私も古代中国の人々が虹を蛇と見立てたように歳時記の例句にあげられているものとは違う発想を求めてみたいと思います。
雨垂れはほのあたたかく夕の虹
(俳句ポスト投句)
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。