老鶯(夏の季語) | 蔵六の雑記帳

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過去にそしていま感じたまま、思うままを記していきたい思っています。
面白くない話かもしれませんが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。

今回取り上げる季語は老鶯で、夏の季語となります。

 

鶯だと春の季語ですが、老鶯となると夏の季語になります。

 

 

この画像を見ると羽色が鶯色ではないと感じたかたもおられるでしょうが、皆さんが鶯として認識されているものの多くはメジロだと思います。

 

 

言わずもがなですが、老鶯は年老いた鶯ではなく、春が過ぎ夏の山岳地帯や高原で泣き続けている鶯を言います。

 

 

春告鳥と言われる鶯ですが、実は冬、晩冬から平地の薮などでチャッチャッと鳴き始めています。

 

これは笹鳴といい冬の季語となっています。

 

 

この時期の鶯は雌雄共に鳴きます。

 

早春からは平地や低山で鶯本来の鳴き声に変わってゆきます。

 

この時期から雌は鳴かなくなり雄だけが鳴きます。

 

最初はまだ上手く鳴けなくて最初のホーが小さくケキョと聞こえますが、徐々に本来のホーホケキョと力強い鳴き声になってゆきます。

 

 

春の終わりから初夏にかけて平地から高原や山岳地帯に移動して子育てを始めます。

 

この時期は雛のいる巣がある自分の縄張りに外敵が侵入したときの警戒のために平地の時よりより強く、そしてより遠くまで届くように美しく澄んだ音色で鳴くようになります。

 

 

では、なぜ夏の鶯を老鶯と呼ぶのか考えてみると、「老」という時にその解答の糸口があります。

 

「老」には年をとっているという意味だけではなく、長い経験を積んでいる、長く慣れ親しんでいるという意味もあります。

 

老鶯とは冬から春、夏と鳴き続けることで経験を積み、鳴くことに巧みであるということを連想させる季語であると私は理解しました。

 

歳時記には老鶯の傍題として夏鶯がありますが、夏鶯では先に申し上げた老鶯の老練な鳴き声ではなく、山野や山を抜ける爽やかな風を連想します。

 

 

夏鶯は老鶯の傍題ですが、私個人としては別の季語として扱ってもよいのではないかと思います。

 

老鶯の声匂い立つ吉野山
(俳句ポスト投句)

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。