今回取り上げる季語は雪兎です。
私の持っている歳時記には「雪兎」は「雪達磨」の傍題として掲載されていましたが、「雪達磨」とは別に「雪兎」の説明も書かれており、「雪達磨」の傍題とはいえ独立した季語の感があります。
雪になじみのない所に住んでいる私は雪兎の実物を見たことは無いのですが、どの歳時記を見ても目は南天の実を使うと書かれています。
どうも、兎の赤い目を模してもののようですが、赤い目に白い毛の兎は日本固有のもののようで、海外の兎の目は黒や茶色が多いようです。
海外の兎の多くは下の写真のものが多いです。
さて、季語として「雪兎」を考える場合に注意したいのが動物の「兎」も冬の季語ということです。
動物の「兎」も「雪兎」もどちらも白くて愛らしいのですが、動物の「兎」は狩猟の対象として冬の季語となっています。
同じ狩りの対象である「熊」、「猪」のように人に立ち向かってくることもなく、ただ逃げるばかりの「兎」には哀れさを感じます。
「雪兎」の例句に盆に置いてあった雪兎が溶けて、盆には南天の実だけが残っているというものがありました。
「雪兎」は人形や愛玩動物のような愛らしさがある反面、溶けて消えてしまうという寂しさ、侘びしさがあります。
これは逃げ回った末に狩られてしまう「兎」の哀れさに通ずるものがあるように思えます。
赤い目の落ち窪みゆく雪兎
(俳句ポスト投句)
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
本年の更新はこれが最後です。
皆様よいお年をお迎えください。