今回取り上げる季語は鰯雲で秋の季語となります。
鰯雲と呼ばれるものは巻積雲で高度5000メートルから13000メートルのところに浮かんでいます。
鰯雲に似たものに羊雲があります。羊雲は鰯雲よりやや低い高度3000メートルから7000メートルに浮かんでいる高積雲で、鰯雲と同じ秋によく見られる雲です。
しかしながら、羊雲は季語にはなっていないようです。
いままでこういう違いを知らずにいたので鰯雲も羊雲も同じものを指していると思っていました。
こういう違いを知っても見かけが似ていて、大きな違いと言えば浮かんでいる高さだけなのでやはり見分けるのは少々難しそうです。
ウェザーニュースに羊雲と鰯雲の簡単な見分け方を紹介していますので、興味のある方はアクセスしてみてください。(https://weathernews.jp/s/topics/201709/140195/)
さて、季語としての鰯雲について見てみたいと思います。
歳時記を開いて見て気になったのは鰯雲の傍題に鯖雲、うろこ雲という魚に関する季語が挙がっていたことです。
鰯雲は雲の季語なので魚には直接関係ないと思いますが、なぜか傍題には魚関係だけ、先程話題に挙げた羊雲も秋によく見られる雲なので傍題として挙がっていても良さそうなのになぜ羊雲は無いのだろう?
鰯雲がとのような経緯で季語として定着したのか調べきれませんでしたが、この季語は漁師や漁労関係の人々の中から生まれたのではないだろうかと考えています。
次に鰯雲を季語として詠むことについて述べたいと思います。
皆さんも経験されたことがあると思いますが、雲は少し目を離すとその形が変わってしまい、先ほど見ていた雲がどれだったかわからないほど形を変えていることもあります。
鰯雲もその例に漏れず、なんとかの心と秋の空というように、あっという間に縞模様が崩れて鰯雲とは別物の雲になってしまいます。
このすぐに崩れてしまうはかなさと秋というもの悲しさのある季節感が季語としての鰯雲の本質の一つではないかとなのかと思います。
雲は触れることも、食べることもできませんし、雲自身が音を出すこともありません。風景以外はなんとも捉えがたい季語に思えます。
まさに句作りは雲を掴むようなものとなりそうです。
高飛びの横木揺らつく鰯雲
鷺にやる釣果も無くて鰯雲
(俳句ポスト投句)
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。