渡り漁夫(春の季語) | 蔵六の雑記帳

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過去にそしていま感じたまま、思うままを記していきたい思っています。
面白くない話かもしれませんが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。

今回取り上げる季語は「渡り漁夫」です。

 

最初この季語を見た時、「渡り漁夫」とはどういう漁師を指すのかさっぱりわかりませんでした。

 

この季語はいまは廃れている北海道の鰊漁に関わる季語です。

 

 

渡り漁夫とはかつて北海道で鰊が大量に獲れた時代に鰊漁が始まる前に本州(主に東北地方)から北海道に渡った雇われ漁師のことを指します。

 

 

それらの多くは東北地方の農民で漁期が終わり農繫期になる夏にはまた故郷へ帰っていきます。

 

かつて空前の賑わいを見せていた北海道の鰊漁も現在では輸入品に押され、細々と続けられています。

 

 

北海道の鰊漁が廃れ、「渡り漁夫」という言葉自体忘れ去られようとしている現在ではこの季語は「絶滅寸前季語辞典」に掲載されてもおかしくないなと思っていました。

 

しかしながら、「渡り漁夫」の例句を捜してみるとここ10年ほどの事柄を詠み込んだ句も見受けられるので、まだまだ現役の季語なのだと認識を新たにしました。

 

聞くところによると、昨今は海外へ渡る漁師、又は海外から来る漁師もいるようなので、こういった渡り漁夫についても詠んでみても面白いのではと考えています。

 

また、渡り漁夫が帰郷する句を作ってみましたが、その句を推敲するため色々調べてみると、渡り漁夫が帰郷する季語として「漁夫帰る」があることを知りました。

 

そして、作った句の中にはこの季語で置き換えた方がよいものもありました。

 

勿論、この推敲で出来た句は「漁夫帰る」の句として作句ノートに書き残しておきました。

 

渡り漁夫荷にマトリョーシカの顔覗く
(俳句ポスト投句)

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。