今回取り上げる季語は「踊」です。
季語としての「踊」は盆踊りを指します。
では、辞書には「踊」についてどう書かれているのでしょうか?
私が普段使っている国語辞書から抜粋して引用しますと、
一つ目は「音楽に合わせて踊ること。ダンス。舞踊。舞踏。」とあります。
二つ目は「日本の芸能では跳躍の動作を主として、まわりの楽器や音楽に促されて動くのではなく踊り手自身で拍子を作って踊ることを言う」と書かれています。
これについては、越中おわら風の盆や阿波踊りを想像してもらうとよいかと思います。
これらの踊りにはお囃子はあるのですが、それらはあくまでも補助的なもので踊りの拍子や旋律は踊り手の手の動きや足さばきが担っています。
さらに漢和辞典には「踊(ヨウ)す)」の読みの意味として「古くから中国での葬儀において悲しみを表すために足踏みしておどりあがるようすをすること」と書かれています。
直接の言及はありませんが、国語辞典の二つ目の意味にある跳躍の動作と漢和辞典に書かれた「踊す」には関連性があるように思われます。
また、平安前期の空也上人が始めたといわれる踊念仏は鎌倉前期に活躍した一遍上人に引き継がれそれが現在の盆踊りのつながっていると言われています。
以上から「踊」という季語は亡くなった人を送り出すこと、そして活気にあふれた夏を送り出すことの二つの意味を含んだ季語ではないかと考えています。
祭服の神父飛び入り盆踊
(俳句ポスト投句)
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。