それでは前回の続きから始めさせていただきたいと思います。
それでは次に外壁に目を移してみると、表面にひっかき傷がついたような煉瓦で外壁が覆われていることに気づきました。
この煉瓦のように見えていたものは手掻き線入りの特注のタイルだそうです。
私は長年の風雨などで平らな表面に傷がついてしまったものと思っていましたが、意図的な意匠だったのですね。
現在はもう同じものを作る技術が廃れてしまったので、外壁を補修する時はこのビルの裏側の目立たないところのタイルをはがして張り替えをしているそうです。
100年にも満たない間に技術が廃れてしまったことに驚きです。
しかし、目立たないところにあるタイルにも限りがあるので、この先いつかは張り替えでの補修も出来なくなってくるのであろうことが想像されます。
遠い将来には生駒ビルヂングの外壁タイルは虫食いの状態が当たり前のなる時が来るのかもしれません。
これは私見ですが、同じタイルが作れないならば、いままでとは意匠の異なるタイルで補修して、また新しい外壁に生まれ変わるのもよいのではないかと思います。
例えが適切かわかりませんが、古い茶碗の中には割れたものを金継ぎ(金繕い)して新たな価値が見いだされたものがたくさん存在します。
上の画像は割れた茶碗を漆で接着し、接着した部分を金粉で装飾して修復したものです。
修復した箇所がはっきりわかりますが、修復した部分の文様がまた新たな景色を生み出していると思います。
それと同じように補修の仕方によっては新たな魅力が生まれるのではないかと私は考えています。
しかしながら、先のような補修方法を採らざるを得ないのには、文化財に登録されているため、お堅い役人を説得して新たな補修方法で挑戦をするのは難しいのだろうなとも思います。
さて、夜も更けてきましたので、今回はこのあたりにして次回も外壁について見ていきたいと思います。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。