甘いしょうゆの旅 | 蔵六の雑記帳

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過去にそしていま感じたまま、思うままを記していきたい思っています。
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島根県を旅する機会があり、そこで甘口のしょうゆを口にしました。

 

そこで今回は日本の醤油についてのお話ししたいと思います。

 

さて、旅と言えばその地の名所、旧跡を巡って観光するのが、大きな楽しみですが、それに勝るとも劣らぬことは、その地の産品や珍味、名物料理をいただくのも楽しみの一つです。

 

そして、日本の料理に欠かすことができない調味料と言えば、やはり醤油ではないでしょうか。

 

 

近年、醤油は和食と言われる日本の伝統料理だけではなく、欧米料理の味付けにも使われ始めています。

 

醤油は世界に通用する調味料になり、日本の醤油メーカーが世界各地で日本式の醤油の生産しています。

 

 

話を日本国内に戻して、一口に醤油といっても日本各地で作られ、または使われるものには様々なものがあります。

 

ここで、簡単に醤油の地域性について見て行きたいと思います。

 

大きく分けると、醤油には濃口と淡口(うすくち)があり、濃口醤油は主に北海道、東北、関東、甲信越で使用されており、これらの地方より西は濃口と淡口両方を使用しています。

 

濃口、淡口以外には中部地方(主に愛知県)でよく使われているのが、溜り醤油と白醤油です。

 

また、中国地方(主に広島、山口県)で使われているものに再仕込み醤油があります。

 

 

 

 

さらにこれらの分類とは別に、今回のテーマにもなっている甘い醤油という分類も存在しています。

 

ご存知の方も多いと思いますが、九州、特に鹿児島、宮崎県の南部で使われている醤油が特に甘いです。

 

しかし、今回旅をした島根県の松江、出雲では甘い醤油を使っていることを初めて知りました。

 

宿泊した旅館の仲居さんに聞いてみたのですが、昔からこの地域では甘い醤油を使っているとのことでした。

 

これが鹿児島、宮崎の醤油に比べて甘さが強いのかは、実際に九州の醤油を使ったことが無いので比較できませんでしたが、私の個人的味覚からすると、かなり甘い醤油でした。

 

そこで、甘い醤油を使っている地域をもう少し詳しく調べてみました。

 

そうすると、甘い醤油を使っているのは九州だけと思い込んでいたのですが、四国西部(主に愛媛県の西部)、山口県、島根県、広島県の一部でも甘い醤油が使われていることを知りました。

 

さらに調べてみると、島根から日本海側を北上した石川県金沢市でも甘い醤油を使う地域があり、さらに日本海を北に行くと山形県、秋田県の日本海側にも甘い醤油を使う地域があるそうです。

 

山形県の秋の風物詩である芋煮にも甘い醤油を使っただし醤油が使われているそうです。

 

これらの分布を見ていると甘い醤油は海上交易などで九州から北へ広がっていったという仮説が成り立つのではないでしょうか。

 

今回の旅では松江から出雲、石見と移動していきました。

 

そこで同じ島根県の石見で甘いしょうゆを使うか聞いてみると、ここでは甘い醤油を使う習慣は無いそうです。

 

石見は海から車で一時間以上かかる内陸なので、海から離れた地域では甘い醤油は使われないとすると、先の仮説を裏付けるものではないかと思います。

 

こうしてみてくると九州が発祥(と推察される)の甘い醤油は大分県の関崎と愛媛県の佐多岬の間の豊予海峡を渡って四国に渡って四国西部に広まり、そしてその広まりの一部は瀬戸内海を通って中国地方各地に伝播して行ったのではないかと考えられます。

 

また一方では黒潮の分流である対馬海流に乗って日本海側の中国地方、さらには北陸、東北へと甘い醤油が伝播していったのではと考えられます。

 

いままで甘い醤油には縁が無かった私ですが、こうした旅路での出会いから色々と調べてみると、日本の醤油文化がどのように伝わり、広まっていったのかということに考えをめぐらせるきっかけとなりました。

 

島根県での甘い醤油との出会いが、甘い醤油文化の広がりを知るきっかけになったのも旅に楽しみなのかななどと思いつつ今回のお話を終わらせていただきたいと思います。

 

さらに機会があれば日本の甘い醤油文化は独自のものか、または海の向こうの中国、東南アジアから伝わったものなのかを調べてみるのも面白いなと思っています。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。