前回の続きです。
甘い見通しのままハイキングコースの入り口を見つけるため、まずは除雪が済んでいるアルペンルートの車道を登り始めた。
登り始めて少しすると道の両側に残雪が見え始め、さらに登り続けると徐々に残雪が多くなってくることが気になり始めた。
そして、登る前の甘い見通しが徐々に不安へと変わっていった。
それでも、まだ甘い考えを持ったままハイキングコース入り口にある案内板を見つけるため車道を登り続けた。
そして、地図上ではハイキングコースの入り口に着いているはずであるが、案内板が見つからない。
ハイキングコースの入り口と思われるあたりを行ったり来たりして、やっと見つけたのが次の画像である。
昨年来たときに見た案内板は高さ2メートルほどだったと記憶しているので、残
雪は1メートル50センチほどあることになる。
これを見て引き返せばよいものを、せっかく来たのだから、そしていつまでも直
らない見通しの甘さでこの残雪の中踏み込んでいった。
もちろん、アイゼンやピッケルなどの雪山装備は持っていない。
普通の運動靴(登山用の靴も履いていないという甘さ)のまま踏み込むという
暴挙にでた。
残雪は締まっていたので歩くのはそれほど難しくなかったが、進んでいくうちに周りが真っ白になり、自分がどちらから来たのか方角がわからなくなってきた。
えっ
このままだと遭難・・・・・・・
登山届けも出してないし、
見つかるまで時間かかるから
見つかったときは凍死体かな~
なんて考えがよぎってきて、見通しの甘い楽観主義が音をたてて崩れてきた。
いままでの甘い考えを嘆きつつ、先ほどの案内板をめざして踵を返した。
しかし、白一色の雪面にいま来た足跡を見つけるのは難しく、来る途中の木に印(知識としてはあったのですが、そんなことが必要であるとはまったく思っていなかった)もつけてもいなかったので、帰るルートを見失ってしまった。
やむなく耳を澄ませて車道を通る車の音を頼りになんとか雪の中から脱出に成功した。
車道に戻ってすぐに持参した水筒のお茶を飲んでしばらく座り込んでしまった。
思ったのは喉の渇きも忘れるほど緊張して歩いていたんだと。
その後は車道をとぼとぼ美女平駅を目指して下っていった。
帰りながら立山の雪をなめていたのを深く後悔した。
立山の 雪の深さを 甘く見て
足取り重く 下山の途へと
次回は車道を歩いているときに見かけた植物と日本一の落差といわれている称名滝をご紹介したい。