どもども。

今回は真梨幸子さんの『更年期少女』をご紹介。

以前ご紹介した『殺人鬼フジコの衝動』の作者さんであり、実は更年期少女が真梨先生を読んだ最初の小説です。

図書館でたまたま借りたのがきっかけ。

どうしてかって?タイトルの秀逸さですよね。

本当、何、なんでこんなタイトル考えられるの?っていうようなタイトルが多いんですよ。『ふたり狂い』や『孤虫症』とか。センスが非常に良い。そして、どの小説も最初は緩やかに始まり、けれど不穏で、知らぬ間に世界に引き込まれて、もう二度と出て行くことができないような不安を感じさせます。

更年期少女の場合は、のっけから不穏です笑

 

あらすじを簡単に言うと、とある漫画にハマっていて、その作者さんのファンクラブを運営する幹部達6人が登場します。それぞれ、おばさまと呼ばれる年齢であり、きっとそんなに麗しい容姿ではありません。でも、漫画のファンですから美しいものへの憧れは執拗にあります。

とりあえず、設定としてはオフ会なんです。

でもね、多分もともとそんなに気の合う人達じゃないんですよ。

きっと、漫画という共通点がなければお互いをバカにしていたり視界にも入らないような人生を送っていたのでしょう。そこから波及するそれぞれの家庭の事情なんかも関係してきて、ぞわぞわする。女特有かもしれないですね、この感覚は。

全員なんかよくわかんない呼び名で呼び合ってるんですけど、それだけでも痛々しいのに、全員が家庭に深刻な闇を抱えている。

例えば、お金問題、見栄、家庭不和。身近な問題だけど、自分の身に降りかかっていると考えたらもうなんだろう、心底苦しい。そんな鬱屈した感情のはけぐちとして、ファンクラブが存在していて、その会員の中でもガブリエルという若い会員を取り巻いていいます。取り巻く、というのは、なんでしょう、一目置くと言えば聞こえは良いですけど、色眼鏡で見ている部分が大きくて。

この人と仲良くなれたら自分の地位が上がる、みたいな。

なんでしょう、わかるかな汗

そうこうしていくうちに人が死んでいきます。忘れちゃいけない、これはミステリーなんです。でもね、結果的にちゃんと犯人は露見して、からくりもたくさんあるんです。でもね、腑に落ちないんですよ。言い方が悪いな。なんだろう、全部が解決するわけじゃないんです。だからこそ、本当の犯人はまだ他にもいるんじゃないか、と思わせる。

そして、よくある当事者間で犯人はお前だ!みたいなことにはなりません。その事件を追っている記者の話の中から解決していきます。そして、それが色んな意味で重要な意味を持ちます。これは、読んでみてください。それで、ぞわあああってしてください。

色々複雑に絡み合っている割に読みやすく、スムーズに読むことができます。

 

でね、何が一番怖いって、あんな人殺しとかがあった後だというのに、残ったメンバーは何食わぬ顔で、それこそ最初からそんなことはなかったみたいに、そんな人たちはいなかったみたいにして、またオフ会します。

この神経が一番怖い。

 

そんでもって、ガブリエルは悪い人ですよ!

ぜひ、読んでもらいたいです。

では。

 

 

 

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