ブログNO.140 8月15日は終戦記念日だった TV、うそと残虐に殺された市民たちに焦点も | うっちゃん先生の「古代史はおもろいで」

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815日は終戦記念日だった

TV、うそと残虐に殺された市民たちに焦点も


815日は第二次世界大戦、日本流では「太平洋戦争」と呼ばれた戦争が終わった記念日だ。76年目のこの日を中心に、マスコミも様々な記念日特集〟を組んだ。多くは戦争の悲惨さを回顧するものだった。筆者は今は新聞を読んでいないので、垣間見たテレビの特集番組の話をしよう。

どの番組からも浮かび上がるのは、洗脳教育の恐ろしさや、天皇制を利用してのし上がり、うそと美辞麗句で市民を騙(だま)して地獄に落とし、自らは平然と生き延びようとした軍部の恐ろしさだった。


15日の日は国主催の戦没者追悼式典が東京で催された。相変わらず美辞麗句を連ねて、戦場や住んでいる場所で阿鼻叫喚の断末魔を残して撃ち殺され、爆殺され、焼き殺された兵士と市民を悼んだ。

「御霊安かれ」「このような惨禍は二度と繰り返さない」「深い反省」など大事な言葉ではある「決まり文句」が述べられた。

しかし、このような「決まり文句」を国が発するとき、本当に心からそう思っているのだろうか。東南アジアのジャングルの中、深い深い海の中に眠る多くの200万人以上の兵士たちの亡骸(なきがら)はほとんど終戦から今日までほったらかしにされている。

捕虜になってシベリアに送られ、過酷な強制労働の末亡くなった多くの兵士の遺骨は、ロシア側でさえ葬ってくれていたのに、日本国はろくすっぽ調べもせず、間違えて隣のロシア人の遺骨を引き取って「帰還」させていた。でたらめもいいところだ。そこには死んでまで「国家に尽くした」市民への尊厳も感謝もない。クズ扱いだ。

この人たちは「大嘘の国家ビジョン」を頭に叩き込まれ、信じ切って死んでいった。国家を構成し、築き上げるのは一人一人の市民であるのに、「天皇の存在こそが国家である」などと教え込まれたのだ。

軍部は、権力に媚びておいしい飯にありつこうとする多くの国史学者を囲い込み、大嘘を広げた。国史学者という「権威」に騙された教師らはさらに市民を騙し続けた。

無知なマスコミもこの大嘘の宣伝に努め、市民を地獄に誘い込むことに協力を惜しまなかった。

軍部と一部の政治家は、天皇と自分ら、国家と自分たちをすり替え、自分たちの政策を「陛下の決定」などと偽った。「天皇陛下のお言葉に反対する奴は非国民だ」と言って、市民の口と行動を封じた。

この「すり替え」は今、共産圏と独裁国家とまったく同じ構造だ。中国の共産党は「共産党への批判は国家への反逆である」として、自分らに都合の良い法律を次々に作り、共産党の政治を批判した市民を牢獄や、「生きては出られない強制思想改造所」に送り込んでいる。

 「終戦記念特別番組」ではフジ系の「奇跡アンビリーバボー」で「特攻隊に反対した男」がいたことを報じた。兵士を人でなく物としか扱わない軍幹部らに航空兵岩本は反対した。このことで岩本は新婚早々、特攻隊の隊長に任命され、結局アメリカ空軍に撃ち落されて死んだ。軍首脳部の作戦に異を唱えた岩本は殺されることになったのだ。

だが、岩本の部下佐々木は、男の教えを固く守り、何回も出撃しては爆弾を投下し、成果を上げて帰還した。軍は「特攻隊員だから出撃したら死ね」と言って佐々木は死んだ、と発表された、という内容だった。

あの時代にそんなすごい男がいたとはまったく驚きだった。あんな状況の中では、小生などとてもできないことだろうと思った。岩本らも大嘘に騙された一人ではあったが、兵士らは「お前らは英雄だ」「死んだら靖国神社に神として祭ってやる」などという美辞麗句〟とは全く反対の、クズ同然の扱いを受けていたのだ。空っぽの遺骨箱しか受け取れなかった妻や家族の嘆きはいかばかりだっただろう。


NHKBSでは沖縄戦で、軍は住民を巻き込んで戦いを仕掛けた。住民の食料を奪い、挙句、一緒に籠ったガマ(自然洞窟)の悲惨な状況から脱しようとした住民を撃ち殺す日本軍の姿を多くの証言を集めて描いていた。一般人の死者は20万人という膨大な数を数えた。首謀者は現地の参謀本部員だったという。

TBS系は「報道特集」で、市民をクズ扱いして地獄に落とし、保身だけを考えて悲惨な戦いを続けたA級戦犯の遺骨が千葉沖に投棄されたこと。さらに海中に遺棄されたままの30万人ともいう兵士の遺骨の問題を取り上げた。そして何とかして遺骨を遺族に返したい、と活動する一般の人たちの姿を描いて見せた。

軍の最高責任者、首相であった東条英機は敗戦直後、「責任を取る」と言って拳銃で自殺を図った。が、「失敗した」と言って生き延びた。拳銃で死のうというのに、何で「失敗」するのか。大本営・参謀本部員らと共謀して、300万人以上という恐ろしい数の市民を地獄に送り込み、殺したのに自分だけは生き延びようとしたのだ。


追悼式の中継を見ていると、述べられる言葉と「日本国の実際の所業」との差に寒々とした思いをした。筆者だけではないのではないか。ともかく一日も早く「大嘘の国家のアイデンティティ」を廃し、「事実に基づいた国家像」を造らなければならない。嘘を作り出すのではなく、「確かな証言」を発掘する考古学研究者に期待したい。(20218月)