ブログ171
「古都大宰府」と「プーチン」の大ウソ
市民はいつまでだまされ続けるのか
いよいよプーチンによるウクライナ侵略が収束を迎えそうな気配が漂ってきた。5月3日の夜、ロシア政府は「ウクライナのドローン2機が大統領府を狙って飛来してきた。が、当方の電子防御システムが働いて、2機とも討ち落とした。大統領の命を狙ったものとみられる。大統領は府内におらず、無事だった」と発表した。
しかし、公表された「ドローン2機が大統領府のアーチ屋根で討ち落とされた瞬間」という写真は実に奇妙だった。火柱が上がり、アーチ屋根は炎に包まれ、飛び散った火が屋根を伝って落ちている。(写真=いずれも読売テレビから)
だが炎が収まると、アーチ屋根もアーチ屋根のてっぺんに掲げられていた国旗も、何事もなかったように傷ひとつなく、はためいている。
打ち落としたというドローンの残骸の映像もない。
見ていた多くの人は変だなと思ったはずだ。
プーチンはこれまで、びっくりするほど様々なウソ情報を用意し、さらに次々と作らせて国内や国際社会に流してきた。ウクライナ侵略を正当化し、侵略戦争を有利にしようとする試みとみられる。
だが最近、国内では列車が爆破されて転覆する事故が相次ぎ、不法占拠しているクリミア半島の石油備蓄基地などで火災発生、丸焼けになったりしている。
プーチンは事前に、政府の政策に異を唱える人々を牢屋に放り込んだり、毒殺したりした。最近その刑罰を懲役刑から終身刑に格上げするなどの大統領令を出したという。
国内の戦死者は1万人を超えているとの報告もあり、国内の厭戦気分は押さえ
きれなくなりつつありそうだ。プーチンの焦り具合も相当なところまで達しているとみられる。
大統領府が〝攻撃される〟映像を見た人の多くは、ロシア政府による「えせ製作映像」ではないかと疑ったはずだ。プーチンや北朝鮮が得意とする「フェイク映像」だ。ただ、急いで作ったのだろう、余りにも出来がよくない。小生のごとき素人が見ても、すぐに「変だ」と気づくほどだ。
多くのマスコミ報道も米戦略研究所などの見解でもある「プーチンの自作自演説」を打ち出していた。もちろん、ゼレンスキー・ウクライナ大統領は攻撃を否定している。そのうち「フェイク画像説」も出て来るだろう。
いずれにせよ今月半ばから、ウクライナは西欧諸国の援助や兵器の提供を受けて反転攻勢に突入するとみられている。これまで侵略の最前線を担っていたロシアの「雇い兵集団」ワグネルも、ロシア政府を見限る姿勢をあらわにしているようだ。本気なのかどうかはわからないが、彼らは「金の切れ目が縁の切れ目」だから、別の稼ぎ場を求めてウクライナを去ることもあろう。
そんなこんなで、プーチンはウクライナ侵略に膨大な国費と、さらに新たな国軍を派遣しなければならない羽目に陥りそうだ。当然、反対の声は盛り上がろう。何とか国内を戦いに向かわせようとして一計をたくらんだ。そのために作ったえせ報道「大統領府攻撃」だろう。
どこまで「プーチンのうそ」が通用するだろうか。そして、いくら政治に関心が低いロシア国民だといっても、直接自分や身内に命の危険が迫ればこのままおさまりが着くとは考えにくい。
ともかくこの世にウソ情報を垂れ流して利得を得ようとする輩(やから)はあとを絶たない。しかし、ウソは一時的には通用するが、いずれはばれて「ウソつき」は一生を棒に振り、姿を消すことになる。
ウソ情報は日本でも横行している。小生が今のうちに何とかしたいと思っている「日本の古代史の世界」にも「大ウソ」がまかり通っている。国のアイデンティ、市民の未来に大きな災厄をもとらす恐れのある「大ウソ」だ。
「日本列島には有史以来、大和の政権しかなかった」、「別な政権の存在を意味する九州年号などなかった」、「日本人と言うのは単一民族であり、中国大陸から多くの渡来人が来たなんてうそだ」、「九州、特に南九州には蛮族だけが住んでいた。渡来人による政権などなかった」、「日本書紀は国家が作った史書であり、正しく、間違いのない歴史を綴っている」などなど。
こうした「大ウソ」が市民にばれないように、国史学者や考古学者の多くが「談合」を繰り返し、ウソがばれそうな遺物、遺跡は徹底的に隠し、頬かむりを通そうとしている。
もちろんこれらの「大ウソ」で狙われるのは市民の命である。市民の口を封じ、政府のやり方に異を唱える者、戦争反対論者を「国家に対する反逆だ」と偽って逮捕し、拷問して殺す。300万人以上という恐ろしい数の市民が命を奪われた。 あの第二次世界大戦(太平洋戦争)の教訓を忘れてはいけない。長い時間をかけて、じわじわと国民を締め上げ、国史学界は「大ウソの古代史」で市民をだまし、戦端を開いた軍部の精神的支柱、後ろ盾になっていたのだ。
この間、資料集めのために大阪のある資料館を尋ねた。偶然、置かれていたパンフレットのなかに「大宰府アカデミー 令和編」というのが目についた。「財団法人古都大宰府保存協会」なる団体の主催で、福岡県太宰府市でこの4月から講演会を開いているらしい。令和7年3月まで24講座を設けるという。
この協会は、ほったらかしで遺跡自体が破壊されようとしていた太宰府の都城遺跡を守るために、市民の会として1974年に発足した団体である。68年から始まった発掘調査によって都城の本当の姿が明らかになりつつあったことにも触発されてできた。
現在太宰府の都城遺跡は、放射性炭素(14Ⅽ)年代測定によって築城は卑弥呼時代の240年ごろから始まり、5世紀の「倭の五王」時代に大規模な改築がおこなわれ、660年ごろ、対唐、新羅大戦争を前に修復工事が行われていたことがはっきりしている。
さらに古田武彦ら「市民の古代」グループなどによって、「九州年号の実在」が明らかにされた。さらに奈良・大和には懸命で膨大な発掘作業にもかかわらず、7世紀中ごろ以前では、首都と考えられる規模の大きい都城遺跡は発見できていない。
首都を守る山城など防御施設は大和には全くなく、逆に太宰府や豊前には山城や水城など大規模で堅固な防御施設が数多く造られていることなども分かってきた。
太宰府は首都にふさわしい都城であることが分かってきたのだ。
だが国史学界や福岡県教委はこうした「新たに判明した事実」に目をつぶり、あるいは頬かむりをして、『日本書紀』で作られた「事実ではない古代史」、言い換えれば「権力を正当化しようとしたいかがわしい古代史」を市民に植え付け続けようとしている。
例を「九州年号」にとっても、旧来の国史学界の主張は常識外れだ。「九州年号は鎌倉時代に僧侶のだれかがでっちあげた私年号だ」と言いつのり、この年号が広く実際に使われていたことが平安時代の『続日本紀』にも記されていることなどにもひたすら頬かむりを続けようとしている。
東アジアの古代国家は中国をはじめとして、年号を制定する権限を政権の最も重要な政策としてきた。「九州年号の存在=九州倭(いぃ)政権の存在」なのである。
国史学界や福岡県教委の役目は、市民に事実を伝えることである。市民は税金をを払い、その仕事を両者に負託している。両者には誠実に事実を市民に伝える、そんな気持ちもなければ良心もないのだろうか。
大体点のない「大」を使う「大宰府」という名称は、九州大学の某元教授らが使うように指示していたものだ。元教授は、「大和政権一元論」といういかがわしい古代史をかたくなに標榜している京都大学考古学教室から派遣され、福岡県を含む九州各県の「発掘調査指導委員」を長年勤めていた。九州歴史資料館の館長も務めた。
元教授は講演後の酒席で「定説に反しそうな遺跡にはコンクリートで蓋をしてやった」ととんでもない〝業績〟をうっかりもらし、聞いた人たちをあきれさせた人である。その影響も大きい。
「大宰府アカデミー」の企画には、福岡県教委や太宰府市、九州歴史資料館、西日本新聞、NHK福岡放送局、朝日新聞などマスコミ各社などが企画後援団体として名を連ねている。市民を騙し続けようとする面々なのだろうか。
講師の面々をみると、これまで「大宰府都城」について様々な事実を明らかにしてきた面々ではある。小生もいろいろ勉強させてもらった。しかし、「最近明らかになったとんでもない事実」について話をしようという人がいるのかどうか。市民にウソを伝えない「事実に頬かむりしない話」が求められる。
福岡県教委の文化財担当部局は、市民の税金を使いながら負託を裏切る「詐欺集団になりはてている」という一部の批判をどう改善していくのか。「大ウソ」は必ず、プーチン同様、ついた人間にも災厄をもたらすだろう。(2023年5月)