ブログNO.113 世界遺産登録の報道ぶりは? 少し前進、だが、相変わらずの無知ぶり露呈も | うっちゃん先生の「古代史はおもろいで」

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ブログNO.113

世界遺産登録の報道ぶりは?

少し前進、だが、相変わらずの無知ぶり露呈も

 

 大阪府の藤井寺、堺、羽曳野市にまたがる古市、百舌鳥(もず)古墳群がこの76日ユネスコによって世界遺産に登録された。申請を志してから約10年ぶりのことだ。確かにこの古墳群はその外形からいえば、世界遺産に登録されても不思議ではないすごいものだ。だが、その中身についてはほとんどわからないというか、うそといかがわしい話で固められていると考えられる。さらに進んで、登録されることによっていかがわしい古代史を糊塗しようとする文化庁や一部の考古学者らの詐欺的意向が見え見えだ

 

小生は以前、この件について文化庁やユネスコにデータを送り「時期早朝」と、注意を喚起した(当ブログNO.28参照)。文化庁のいかがわしい役人は、福岡県の宗像・沖ノ島遺跡群の世界遺産登録に向けた申請書を提出しているが、内容の異なる英文と和文の二種類作り、一般の人の批判をかわそうとしたことがある(当ブログNO.58参照)。今回はどうなのかまだ調べていないが、事実とは関係ないことがはっきりしている「○○天皇陵」「××天皇陵」などの字句を挟み込み、市民を騙し続けようとしている様子が伺える。

新聞各社が今回の世界遺産登録についてのニュースをどう報道しているか調べてみた(大阪版)。ひと昔前までとはちょっと前進してはいるが、明らかな事実を隠すことで文化庁や該当する三市に媚びを売っている、と思える新聞もあった。

新聞各紙には古代遺跡についてのそれまでの報道は「市民、読者に対する裏切り行為である」としてデータを送り、反省を促しているが、まだまだ浸透していないようだ。

まず「読売」だ。一面の書き出し「古代のすぐれた土木技術や墳墓によって、権力を象徴した日本列島独特の文化を示すものとして、世界に認められた古墳群」という登録の評価部分はその通りだ。

しかし、中に「古墳はヤマト王権の政治的秩序と密接な関係があるとされ、前方後円墳を頂点に、墳形や大きさで被葬者の階層を示したと(と)らえられている。奈良県桜井市にある箸墓古墳(3世紀後半、全長280メートル)が最古の前方後円墳といわれ、その後、全国へ広まった」と書く。

解説者として京都橘大の某教授(考古学)を引っ張り出し、事実にほっかむりしたいかがわしい旧説を述べさせている。今時珍しいひとだ。多くの考古学研究者や国史研究者は旧説の間違いに気づき、無知なマスコミに迎合することをよしとしないこともあってあまり表に出たがらない。

この「解説」が「いかがわしいもの」であることは、当ブログの読者ならすぐに気づかれることだろう。

①発掘調査が進む度に、古墳群の中から九州産石製の石棺が見つかり、現在ではすでに30基近くを数えており、被葬者は関西出身の人間ではなく、九州に故郷を持つ人である可能性が高い。

②古墳群中の石室からは数多くの南海産の貝やそれを模した鎮魂具が発見されている。南方や大陸沿岸から海を渡って逃亡、渡来した人々の子孫の墓で、①の想定を裏付けている。

③箸墓古墳では周濠の中から見つかった桃の種について放射性炭素(C14)よる年代測定が行われ、かなり長い年月にわたる墓前祭が行われたらしいことや、最も古い年代値から正しい築造年代が想定されている。だが、九州や関東、東北などの前方後円墳についてはこうした理化学的年代測定はほとんど行われておらず、あるいは意図的に忌避されていて、『日本書紀』の記述に沿った年代をもとに築造年代が想定されている。この古墳が前方後円墳として最古であるというデータは皆無と言ってよい。

④『日本書紀』は、後の8世紀始め(奈良時代)に全国の支配権を得た「大和政権」が作った「政権のPR書」であり、歴史事実をそのまま綴ったものではない。客観性のないこの書物の記述を歴史事実と認定するためには厳しい検証が必要だ。しかし、国史学界はこの努力をせずなおざりにし、国立大学の教授や助教授になるために先輩や文化庁などに媚び、市民を裏切る行為を続けている[t1] 人もいる。

⑤中国、朝鮮の史書の記述から、7世紀末まで日本列島の権力の中心は九州にあった事、そして九州政権や卑弥呼政権があった事が明確に記されている。46世紀の築造という古市・百舌鳥古墳群は「大和政権」が造った古墳群でないことは火を見るより明らかな事だろう。規模が常識外れにでかいのは、これまで何回も指摘している通り「大和勢力への威喝」が目的である。

⑥『記紀』以外の数多くの史書に「九州年号」と呼ばれる年号が記されていて、7世紀末まで日本を支配していたのは九州政権であったことがわかっている。

 

文化庁は、市民の負託に応えるより自分らの主張を糊塗することが重要だと考えているのだろう。全くとんでもない連中だ。ただ読売は、こうした文化庁の解説は「学術的な裏付けのないものである」ことだけはきちんと書き、宮内庁が管理する「仁徳」「応神」などを冠した古墳には地域名を入れた古墳名を添えている。

 

毎日」は以前からこの方面でもきちんとした報道をしてきた新聞らしく、一面の記事から「学術的な調査」が不十分で、無関係な古墳が「陵墓」とされていることに疑問を投げかけている。社会総合面ではさらに陵墓の存在が「公開・研究」を阻んでいる現実をきちんと指摘し、カビの生えた「万世一系」の神話に利用される危惧も指摘している。さすがだ。

朝日」は相変わらずひどい。が、一方では「社説」(11日付け)で「学術調査が欠かせない。保存の前提として真剣に考えるべきだ」という、きちんとした主張も掲げている。社内で両説が混在しているのであろう。「いかがわしい一派」がまだ力をもっているのだろうか。

「いかがわしい一派」とは、紙面に出てくる「編集委員某」らだ。前書きに「地元住民の声」とごまかして「いにしえの陵墓が世界に認められた」とわざわざ書き、何の証拠もないのに「陵墓」が間違いないもののように描く。読者をだまして口を拭っている。

さらに「視点」で「日本列島での国家形成期の実像を映し出す」と事実に無頓着を装い、あるいはまったく分かっていないことを暴露している。この「某」とは以前一度だけ話したことがあるが、口だけは良く回る男だった。話の途中で読みかじった関係のない話をべらべらしゃべり、相手を煙に巻こうとする。素人相手なら「この人は古代史に詳しい人なんだろう」とつい勘違いする。

その後は「出てこい。話をしよう」と呼びかけても、逃げ回って一切応じない。この「編集委員」の頼りは九州大学の「某」元教授だ。「視点」中でも「保存に努めるべきだ」と強調する。この九大の某教授こそ「通説に反する恐れのある遺跡にはコンクリートで蓋をしてやった」とつい本音を漏らし、聞いていた人たちをあきれさせている男だ。「保存という錦の御旗」を悪用して、発掘調査をして事実がばれるのを防ごうとしている。さらに九州各地の遺跡調査機関に「C14測定など絶対やるな」と圧力をかけていると聞く。

以前、福岡県太宰府市の「水城」について、九州歴史資料館がうっかり14年代測定を実施してしまったことがあった。太宰府の都城はそれまで7世紀後半の築造だとされていた。ところが実は430年前後には完成し、その始源は卑弥呼時代の240年ごろだったことがわかった。恐ろしく貴重なデータを我々に提供してくれたのだ。この時小生が自分の机の引き出しに保管しておいた「測定報告書」が盗まれたことがあった。

「某教授」に言われて発表を記事にしないよう社内で奔走し、残った証拠であり、後々利用されるのを恐れて「報告書」を盗んだのはこの男しか考えられないな、と思ったものだ。こんなインチキ男がまだ社内でうろうろしているらしい。このことこそ「朝日」の評価を下げ、購買数が激減する一つの原因になっていることは否めないだろう。

産経」は何の反省もなく、文化庁の言い分をそのまま字にしているようだ。「陵墓」が世界遺産に指定されたのは「初」と一面で謳う。ただ、登録に力を注いだ一人である藤井寺市の世界遺産登録推進室長は、紙面だけからではあるが、さすがにこの件については何もしゃべっていない。本当は「陵墓」である確証はないということを認識しているのかもしれない。そうであるなら幸いだし、それは市民に対する「誠実さ」であるからだ。(20197月)