感傷的になりたいわけじゃない。

だけど少しだけ。
目を閉じてみる。
ベランダから、星を探してみる。

ただのひとつも、光は見えないけれど。
この雲の向こうに瞬く、数多の光を知っている。

だからね、
同じように。
ただのひとつの、噂も届かないけれど。
この空の下のどこかで、今日もきっと笑っている。
だいすきだったあの笑窪で。

どうか、どうぞしあわせでいてね。
今日の日を、何十年先も笑顔で迎えられることを祈っているよ。


いつか、届けられたらいいな。
向日葵の花束と、
そしてひと言。
あの日言えなかった、Happy birthday .

Happy birthday.
わたしの小さな隠しトビラ。
ひさしぶりに開いてみたら、そこはまるでタイムカプセル。
たくさんの歌や言葉、ものがたりが綴られた古いノートたち。



そして、懐かしい手紙。


あの日。

泣いて泣いて、泣いて。
心折れるどころかビリビリに引き裂かれて。
疲弊しきったわたしたちがいた。
お互いの悪夢のような日々。
束の間の休息に語らって、ともに泣いて。
それでも笑顔で手を振って、お互いにエールを送りながらまた苦しい日々に戻っていった。
飛行機の中で読んだ手紙に、止まらなかった涙。

でもね、ちゃんと過去になったよ。
過去になったね。

わたしも、君も、あの頃は思いもしなかった場所で、今を精一杯に生きられている。


ツマラナイ人生?
ノン。

こうして振り返ると、詰まりすぎているね。
詰まって進めなくて、
つかえすぎて窒息しそうになって。

それでも、幾度ももうダメだ、本当に無理って思いながら。
すべてを終わらせたくて自棄になったこともあった。
それでも、今、また生かされている。



ある時期に紡がれた歌は、悲痛なものばかりで。
ある時期は、なにひとつ紡ぐことすらできなくて。

ずっと、わたしはわたしに、希望をもつことを赦さなかった。
夢や恋は、選ばれしものに与えられるもの。
でも、いつだって微かな希望を見ていた。
それ故にくるしかった。

タイムカプセルの中のわたし。
がんばったね。
すこし、認めてあげよう。
自分で自分を受容して、愛してあげられなきゃ、人のことだって愛せないのかもしれない。
優しくあろうとした。
強くなりたかった。
でも、自分を常に否定するわたしでは、いつもどこかに歪み(ひずみ)が生まれる。

必死で考えて、気を遣っても、そもそもの感じ方の違い、パーソナリティーは変えられない。
合わせたくても、同じものを好きになりたくても。
積み重なる齟齬が苦しくて苦しくて。


今でも変われずにもがいているよ。
一生わたしはこうなのかも。
わたしは、どんなに頑張ってもわたし以外になれない。


でも、
でもね。
いいんだよ、わたしはわたし。
神様がわたしを創ってくれた。
すべてがgift。

そんなふうに、誰かに言われたかった、安心したかったんだよね。
誰かにも言ってあげたかった。


うん。
まず、自分で言ってあげよう。

人がどうじゃない。
あなたはあなたとしてがんばった。
だから、もういいよ。
もう、いいんだよ。


タイムカプセルの中のわたしを、解放してあげたいな。


貴方も、貴女も。
もう、いいんだよ。
大丈夫だよ。
大丈夫。

君は大丈夫でしょ。
どうして?
「心の中に、何を抱えているかわからないのに
決めつけちゃ、だめだよ。」
あの子のことばが、木霊する。

強い人なんて、この世にいるのかな。
見えない痛みを、捨てられない十字架を、
あなたも背負っているように。

大丈夫に見せているけれど、
本当は、すべてから逃れたくて、縋りたくて。
大丈夫なんかじゃないよ、全然。

とっくに壊れているココロ。
元に戻すなんて膨大なエネルギーはどこにもないから
空っぽのまんま。
バラバラの欠片を、
ガランガラン、引き摺って。
ゴロンゴロン、蹴飛ばして。

なんにも、大丈夫、なんかでない。




大丈夫。
その言葉に救われたよ、幾度も。
温かく包んでくれた。
大丈夫、そんな気持ちになれたんだ。

弱さをぜんぶ、受け止めて。
痛む傷には手をあてて。
そっと側にいてくれる。

大丈夫なんかじゃなかったよね。
よく、がんばったね。
泣いていいんだよ。
大丈夫。

バラバラに壊れたココロ。
もう、どうだってよい気分でいたのに。
そっと、ひとつ、拾い上げて。
そっと戻してくれたみたい。
ココロを少し、取り戻せた。
そんな気がしたの。

大丈夫、は魔法のことば、おまじない。

大丈夫、
大丈夫。

大丈夫?
大丈夫。

なんだか、大丈夫、になれる気がするよ。

遠い遠い、彼方の魔法使いさん。
わたしに会いにきて。
そっと魔法をかけてほしい。


大丈夫、は魔法のことば。
わたしも誰かに、
大丈夫の魔法を、かけられるかな。