猛暑日でも寒い!高所の三嶺大滝 | 次世代に遺したい自然や史跡

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毎年WEB初公開となる無名伝承地や史跡、マイナーな景勝・奇勝を発表。戦争遺跡や鉄道関連、坂本龍馬等の偉人のマイナー伝承地も。学芸員資格を持つ元高知新聞主管講座講師が解説。

<標高1270mの別天地>

高知県最高峰、三嶺(高知側での読み方は「さんれい」、徳島側は「みうね」)の北面中腹、菅生谷川支流の上流に「三嶺大滝」(三好市)というマイナーな滝があるのをご存知だろうか。当方は’00年代半ばに存在を知っていたが、これまで訪れる機会がなかった。

 

ネット検索しても10件弱位しか記事がヒットしない滝だが、滝幅・沢幅が狭いにも拘わらず、轟音を轟かせ、滝風が吹きつけている。そして何と言ってもその滝壺周囲は、寒いほどの冷気の空間。

当方が訪れた日の高知市の最高気温は34度で、徳島市でも同等の暑さだったと思うが、この滝壺で当方は寒さに耐えられず、ウィンドブレーカーを着用した。それでも長居はできなかった。これは当方が寒がりのことも影響しているものと思うが、涼しさを通り越した肌寒さがある。

 

四国屈指の人気を誇る三嶺にある滝でありながら、これまで殆ど注目されてこなかったのは、地形図に記載されている破線の登山道が既になくなっており、周辺には造林用キャタピラー作業車道が迷路状に走り、ルートが分かり辛い、という点にあるのかも知れない。

実際、この滝を取り上げたネット記事でも、コースガイドを記したものは皆無。コース図を添付した記事はいくつかあるが、ルートは同一であるにも拘わらず、どれも微妙に図のコースが異なっている。

 

これは前述のキャタピラー作業車道が縦横無尽に、広範囲に走っているせいで、ルートを捉えにくいからかも知れない。そこで、作業車道のヘアピン的急カーブをキーポイントとして解説したい。

詳しいコースガイドとコース図はヤマケイサイトに投稿している(→超クール!高所の三嶺大滝)ので、重複する部分も多いが、念のため解説する。登山口にあたる作業車道入口は、天狗塚登山口がある林道阿佐名頃線(西山林道)にある。破線の起点のやや西方である。駐車できる広場はその更に西方にある。

 

ルートを把握するには、作業車道入口から、次々と現れるヘアピン的左右急カーブの数を数えることが肝要。八つ目の左急カーブで進路は再び東向きに変わるが、そこからほどなくの九つ目の右急カーブは三差路になっている(上の写真)。

滝を探訪した者の中には、このカーブを右に上がった者もいるかも知れないが、東にそのまま直進する作業車道を進んだ方が、後々、ルートが分かり易くなる。その直進道入口の左手の木の幹には、ピンクのマーキングテープが巻かれているので、これが目印になる。

 

この道は左手に岩のある右カーブ(急カーブではない)に来ると、左手一面が開ける。そこからほどなくすると、今度は小刻みに作業車道の左右急カーブが続くようになり、1609.9m三角点峰へ続く尾根を登っていく。

そんな急カーブの上りは、作業車道入口から数えて15個目の左急カーブを過ぎると終わり、起伏は緩くなる。進路は基本的に南東なので、各分岐は無視して本道を進む。

車道終点に来ると、その進路のまま樹林の中に入り、幅広の尾根の東端まで行くと、その尾根を登る。

 

数分で上部の作業車道に出ると左折し、引き続き南東に進む。この車道終点が大滝への上り口となる。終点から続く踏み跡をそのまま進むとすぐ菅生谷川支流に出る。後はその岸を高度に於いて60~70mほど上がるだけ。傾斜も比較的緩く、藪もなく、所々赤い杭やピンクのマーキングテープも設置されているので、登り易い。

ルートは傾斜がややきつくなる手前で一旦、岸を離れるが、再び沢に出ると、既に滝の音が聞こえており、すぐ三嶺大滝が姿を現す。女陰に似た陰石の右側を登ると、目の前が滝壺。

 

滝壺はこじんまりしており、滝幅もそんなに広くはないが、水量が多く、轟音を轟かせている。見た目には落差は二段で20m弱のように思えるが、一段目の滝がやや奥まった所にあるため、実際の落差はもっとありそうな気がする。

どんな暑がりな者も、ここに来ると超ひんやり感に満足することだろう。当方はウィンドブレーカーを着用しても尚、まだ肌寒かった。

ここから1609.9m峰を経由して三嶺に登頂する猛者もたまにいると思うが、等高線をみると、かなりの急勾配になっていることが分かる。

滝からの帰路は往路を帰った方が良い。当方のように上部の作業車道を下ってしまうと、分岐の迷路にはまってしまい、下山ルートを見失ってしまう。

作業車道入口と滝との高度差は280m程度故、体力はそんなに要らないが、作業車道の分岐が多いため、未整備山等の登山経験のある者向きと言える。

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