四国ドリル・四国の夏の花&レア絶景 | 次世代に遺したい自然や史跡

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毎年WEB初公開となる無名伝承地や史跡、マイナーな景勝・奇勝を発表。戦争遺跡や鉄道関連、坂本龍馬等の偉人のマイナー伝承地も。学芸員資格を持つ元高知新聞主管講座講師が解説。

<四国にもあった!?十字峡>

6月14日、「林修のニッポンドリル」~学者が選ぶ!日本の夏絶景ベスト24(種類別絶景ベスト8×3)~を放送していたので、例の如く、「シコクドリル」~郷土文筆家が選ぶ!四国・夏の花絶景ベスト4+レア絶景~をお送りしたい。尚、今回紹介するレア絶景は未整備山登山や沢登り経験者のみ、行くことができる場所。

 

[花絶景]

第4位・ひまわりの里(香川県まんのう町)

番組では「花絶景」で、ひまわりの名所も紹介されたが、四国随一のひまわり名所と言えば、まんのう町の「ひまわりの里」だろう。この名称は「帆山ひまわり団地」を中心にした何ヶ所かのひまわり名所の総称で、6月下旬から7月中旬にかけて約100万本のひまわりが満開になり、7月には「ひまわり祭り」も開催される。→全マップ

入場は無料だったと思うが、駐車料金がかかり、且つ、「帆山ひまわり団地」の一部の遊歩道は、入場料が別途100円か200円位要った。

そのコースや他所には「どこでもドア」の他、チャペルの門のようなものも出現し、皆、記念写真を撮っている。

線路沿いにも沢山のひまわりが咲いているので、撮り鉄にも喜ばれている。

第3位・黒沢湿原(徳島県三好市)

「四国の尾瀬」こと、黒沢(くろぞう)湿原は過去、何度か取り上げたと思うが、黒沢山(614.3m)の山裾に広がる26.7haの湿原で、300種余りの山野草が咲く他、最南端には「たびの尻滝」も懸かる。

山野草の中で人気なのは、花弁が白鷺の飛ぶ姿に似たサギソウ。8月上中旬、これを目当てに訪れる観光客も多い。その時、「白い睡蓮」ヒツジグサも大量に咲くが、その光景はモネの「睡蓮」を彷彿させる。→紹介サイト

他にもサギソウの開花時期には、コオニユリやツルアジサイ等も見られる。

また以前、園内にある岸部一徳似の地蔵も紹介した。

第2位・大川原高原の紫陽花(徳島県佐那河内村)

これも複数回取り上げた、四国随一のあじさい名所で、標高900m前後の大川原高原に約3万本の紫陽花が咲く。駐車場沿いから尾根、谷、斜面等、至る所に咲き乱れる光景は圧巻。満開になるのは7月中旬。

高原には風力発電の風車も建ち並んでいるが、その周囲にもあじさいが咲き、絵になる。

夏場と言えども、ガスが発生した時は、冷気で半袖シャツでは肌寒く感じる位の避暑にもなる。→紹介サイト

高原から不動明王の石仏が建つ不動峠までは、短い回遊ハイキングコースもあり、幼児連れでもハイキングを楽しめる。

第1位・剣山周辺の植物群(徳島県三好市・美馬市・那賀町)

これも以前紹介したが、登山リフトにより、児童でも登れる西日本第二の高峰、剣山(1954.7m)は夏場、沢山の花々が咲く。リフトの下には黄色いウバユリらしき花も列になって咲いているから、乗車中も花を鑑賞できる。

中でもお盆前後に開花する、宮尾登美子の小説「天涯の花」で有名になったキレンゲショウマの群落は一見に値する。

同時期の群落で言えば、キレンゲショウマ群生地を通る剣山・一ノ森(1879.2m)の回遊コースの内、一ノ森ヒュッテ周辺のシコクフウロも見逃せない。この群落もキレンゲショウマ群落地も登山客はまばらなので、じっくり観察しながら撮影できる。→紹介サイト

同回遊コースで同時期に見られた花は記憶にあるものでは他に、ツルギハナウド、カニコウモリ等。

回遊コースのラストの剣山の頂上ヒュッテでは、酒を飲みながら花鑑賞の余韻に浸りたい。

 

尚、本来なら「花絶景」の第3位は天狗高原のハンカイソウ群落なのだが、これは去年と今年、2回も紹介したので、割愛した。

[レア絶景]

『ナゴゼ十字谷とナゴゼの滝』(愛媛県久万高原町)

愛媛県随一のツルギミツバツツジ群生地、大川嶺が載った地形図「笠取山」を持っている方なら、ウバホド山(この山にもミツバツツジ群生)南方の標高1130m地点の城山谷川上流部が十字の谷になっていることに気付いていることと思う。

 

本流の谷に対して左右から支流が流れ込み、十字の谷になっているものでは、以前紹介した黒部峡谷下ノ廊下の「十字峡」が全国的に知られているが、城山谷川のものは完全な十字ではなく、西の支流と東の支流が本流に合流する地点が数メートルずれている。それでも一枚の写真に東西南北の谷が写ることから、「見做し十字谷」と言ってもいいだろう。地形図では完全な十字になっていることでもあるし。

この付近から上流の城山谷川本流はナゴゼ谷というようだが、すぐ上流には無名の名瀑「ナゴゼの滝」が懸かっている。ネット検索してもこの滝の写真はヒットしないので、かなりのマイナー滝であることが分かる。

 

探訪の起点は現在、大川嶺東部から南方が通行止め(復旧未定)になっている県道328号から西に分岐する林道ナゴゼ線終点。故に大川嶺東部に設置されている通行止めパイロンを路肩に移動して県道を南下する。

 

林道ナゴゼ線分岐には小さな白い標柱と造林関係の地図板が二基、建っているから分かる。但し、この林道は近年整備されておらず、後半部は路面の雑草や倒木等で、車では終点まで行けない。だから雑草が繁茂してきたら、路肩に駐車して歩いた方が無難。

林道終点から西下に踏み跡が続いているのでこれを下りる。かなりの急勾配で踏み跡も薄いことから、一般観光客は不可。すぐ三差路に到るが、当方は左折して南東に進んだ。

 

ほどなく南に延びる尾根に乗るが、そこからある程度手前、往路に於いては気づき難い三差路があり、帰路、高い確率で道を誤り、標高1160m前後で見覚えのない作業道に出るものと思う。が、その際は少し引き返すとすぐその三差路が現れるから問題はない。

 

踏み跡は城山谷川の手前で途切れたように見えるが、川を遡るように並行して獣道のようなものが西に延びているのが分かる。この踏み跡も薄いことから、整備された山しか登ったことがない登山愛好家やハイカーには、見分けがつかないと思う。尚、この地点にはマーキングテープを付けておいた方がいい。それは帰路、ルートが分からなくなる可能性があるから。

少し記憶が曖昧だが、踏み跡は十字谷の東の谷に出るから、渡渉して北岸に渡った後、すぐナゴゼ谷を西に渡渉して西岸に渡ったと思う。その手前から既にナゴゼの滝は見えている。

 

西岸に渡渉後、十字谷の西側の沢が本流に注ぎ込む地点から、四方向の谷を一枚の写真に収めることができる。写真の左寄り奥に小さく写る滝状の流れが、十字谷の東側の沢の合流部、手前左側の沢がナゴゼ谷、右側の岩の下の流れが十字谷西側の沢である。

 

指呼の距離にあるナゴゼの滝へは簡単に行ける。ネットでは落差50mとなっていたが、これは滝から下流にある、一定の水深のある箇所を滝壺と見做した場合の落差だと思われる。

 

しかし実際には滝壺は形成されていないから、本当の落差は20数メートル位ではないかと思われる。瀑布はやや緩やかな傾斜の岩盤を二条になって落下している。

滝の上流部沿いへは右岸(西岸)から登って行けるが、すぐ上流には落差3mほどの滝が懸かっている。

 

是非、梅雨明けのお楽しみに。

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