中四国の巨大仏三景+α | 次世代に遺したい自然や史跡

次世代に遺したい自然や史跡

毎年WEB初公開となる無名伝承地や史跡、マイナーな景勝・奇勝を発表。戦争遺跡や鉄道関連、坂本龍馬等の偉人のマイナー伝承地も。学芸員資格を持つ元高知新聞主管講座講師が解説。

<総高7.5~15m>

これまで「巨大石像遺産」記事を始め、各種記事でいくつか巨大仏像を取り上げてきたが、今回、当ブログでは未公開の愛媛、徳島、広島及び、現在撤去中のお騒がせの巨大仏を、総高の低い順から取り上げたい。

 

(1) 除災招福大観音・総高7.5m(愛媛県宇和島市)

平成2年、龍光院の裏山の山頂に中国から除災招福大観音が勧請され、建立された。

この中国で製作された像高5.5m、総高7.5mの像は、一石彫としては西日本随一の大きさを誇る。その巨大さから、宇和島城からも視認することができる。

万民の平和と利福を祈念したもので、毎年5月20日、鎮座地一帯で新四国百八霊場のお山開きが行われる。→四国別格二十霊場会公式サイト

尚、当方は摩崖仏やそれに似た像を除き、巨大仏を目当てに観光することはない。この像は龍馬の宇和島の伝承地探訪のついでに寄ったもの。

(2)橘観音・総高約8m(徳島県阿南市)

橘湾を見下ろす大谷山山頂に昭和55年8月、像高6.28m、総高8mの白亜の橘観音が建立された。

海上安全、阿南市民の幸福と繁栄を願い、個人が建立したもの。そのためか、道標は直前の分岐まで現れない。

最近はやや寂れた観があり、トイレも使用不可になっているが、「阿波の松島」こと、橘湾の展望はまだ楽しめる。この展望を楽しむため、ここに寄った。→公式サイト

(3)救世観音大尊像・総高15m(広島県尾道市)

しまなみ海道の生口島にある耕三寺は以前触れたが、全国の有名な寺社を模して、原寸大で再現・建立している驚異のテーマパーク的施設。

以前紹介した人工洞窟「千仏洞地獄峡」の出口に昭和40年、4年の歳月を費やし、像高10m、総高15mの救世観音大尊像が完成した。台座の上に鉄心を組み、コンクリートと漆喰で肉付けしたもので、奈良県の法隆寺夢殿の秘仏、救世観音を模して造顕された。

他にも京都の平等院鳳凰堂を模した耕三寺本堂の西翼廊正面には、昭和20年代塑造の像高3.5mの不空羂索観音像が祭られている。→公式サイト

耕三寺には隣の大三島のエンジェルロード探訪ついでに寄った。

その他、土佐市の胎内巡りができる仏像や、大分県の総高20m以上の巨大仏も紹介したかったが、画像を探し出すことができなかったり、SD自体の障害で画像が見られなくなる等で断念した。が、後者の施設にある龍の像は、画像を取り出していたため、添付しておく。

(番外)世界平和大観音・総高約100m(兵庫県淡路市)

この観音像については近年、関西地区では解体のニュースが何度も流れたことにより、悪い意味で有名になった。

が、かつては世界一高い像として、いい意味で有名だった。像高80m、総高は100mにも及ぶ圧巻の大きさ。造形は粗雑だが、昭和57年7月、開眼法要が執り行われている。

像内部は施設になっており、地下1階はクラシックカー・コレクション、1階は平和観音寺、2階は奥内近代美術館分館、3階はレストラン、4階は宴会場、5階は武具や柱時計コレクション、6階はビル展望台、屋上は大観音展望台だった。

以前は観光バスも寄るほどだったが、オーナーの死去により、2006年閉館、廃墟となった。この施設の遺産相続は放棄されており、倒壊等の危険や飛び降り自殺等もあり、去年から国が8億8000万円をかけて解体工事を行っている。

 

現在、足場等の解体設備に覆われているため、像を拝むことはできない。今年6月には解体作業が終了する予定。

今後も巨大仏を紹介して欲しい、という方は下のバナーを是非。