四国鉱発白木谷鉱山鉄道廃線跡・後編 | 次世代に遺したい自然や史跡

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毎年WEB初公開となる無名伝承地や史跡、マイナーな景勝・奇勝を発表。戦争遺跡や鉄道関連、坂本龍馬等の偉人のマイナー伝承地も。学芸員資格を持つ元高知新聞主管講座講師が解説。

[空中軌道]粗鉱槽建屋

前編で解説した南国市白木谷萩野へ高知市から向かうには、正連寺の小坂峠から県道269号を東進することになるが、次の廃線跡へ向かうには、その県道を西に引き返すことになる。


 

1.5キロほど引き返し、四国鉱発の石灰石運搬専用道路が交差する五差路まで来ると、そこを北の専用道路に折れる。仁井田神社前までは、一般の民家があるので、通行は許されている。その神社の駐車場らしき広場に駐車して、神社前を北天空の線路 西に折れる狭い道路を歩く。


 

右手に二軒過ぎると、尾根が右手に下りてくるので、その尾根を上る。分岐では左折はしないが、ほどなくして左手方向に民家が見える所に出て、そこをまた右手に折り返すように上る。


 

すぐ薄い三叉路が現れる。本来の道は西手に回り込む方だが、その道が藪っぽく見えたため、北の薄い踏み跡を選んでしまった。この道とは呼べないような踏み跡は沢に達すると消える。


 

そこで仕方なく沢沿いを這い上がっていると、何分かして、沢の東側に荒れた未舗装の作業車道が現れた。これを上がるとすぐ鉱山事務所から上がって来た車道のヘアピンカーブに出た。これを2分ほど上がると遂に廃線跡が目の前に現れる。


 

北側にあるのが粗鉱槽建屋で、ディーゼ火薬庫 ル機関車で運搬してきた鉱石を投入していたところである。軌道跡はこの南北に走る道路の東沿いである。建屋の南へ進んで行くと、下草にレールが隠れているのが分かる。更に南へ行くと、そこには何と、兵庫県美方郡香美町のJR山陰本線旧余部鉄橋廃線跡のような光景が広がっていた。


 

粗鉱槽に最後尾の貨車が鉱石を投入する には、連なる車輛の前の方が尾根から南にはみ出ることになる。そこで線路滝の下鉱床方面トンネル が尾根から突き出るような形になっており、それはまさしく「天空の線」、いや、それは言い過ぎだとしても「空中軌道」と言えるだろう。レールと枕木、車止めが完璧な形で残っている。


 

しかし建屋から北には長く連なるコンベヤーが設置されており、軌道跡の路盤等の痕跡はない。平成21年時の業界雑誌には、軌道の運搬からダンプに切り替え られた旨の記載があったが、だとしたらこのコンベアーの役割は何なのだろうか小滝鉱床方面トンネル


 

ホッパーのような施設の手前には軌道跡を横断する歩道の陸橋があるが、恐らく、本来の尾根を上がってくる道はここに繋がっているのだろう。

ホッパーを過ぎると広場に出るが、北の山際にある陸軍要塞の砲台観測所のような半地下施設が火薬庫。その右手北奥に軌道のトンネルが見えている。


 

軌道はここから東にカーブを描き、滝の下鉱小滝方面トンネル内部 床を過ぎると分岐して、北の奈路鉱床と東の中の谷鉱床とに分かれる。前回解説したトンネルは中の谷鉱床地区にあたる。


 

トンネル手前の沢を跨いでいた短い橋梁は撤去されており、トンネルに近づきにくいため、今度は火薬庫の西、小滝鉱床へと向かうトンネルを見に行く。 火薬庫からすぐ先に見えている。そちらのトンネル入口には木の柵が設けられているが、信号や電柱も残っている。


貯鉱槽へと延びるコンベヤー

陸橋下まで引き返すと、東から南に向かう道を下りてみた。この道はクラッシャー等がある粗鉱槽施設の核心部前を過ぎ、そこから貯鉱槽へと延びるコンベヤー沿いを通っていた。

コンベヤー沿いをある程度歩くとクラッシャー等の施設まで引き返し、そこから小径を上がって建屋の北方に出た。


 

車まで引き返すと、今度は機関車展示場所へと移動する。ディーゼル機関車

また県道269号を東進して行き、県道384号の笠の川交差点に出ると右折。次は八幡交差点を右折して384号を西進する。

ファミマが角にある交差点は右折。高速下のトンネルを抜け、長畝古墳公園を東に回り込んで高速沿いの道路に出ると東に折れ、雀が森ギャラリーの看板に従う。


 

看板に従って再び左折したその先、岡崎 農園専用道路入口の門手前を右折して、大山祇神社()前に駐車する。日本重量機関車 その東上の錆びついた黄色い車体が、日本重量社製12トンディーゼル機関車・四国鉱発№110である。枕木とレールがセットで展示されている。

四国鉱発白木谷鉱山ではこの車輌を7台所有しており、廃線後、複数台が会社経営者等に売却された。他に高知市土佐山にもある模様。


 

四国鉱発さんは坑内を含めた鉱山見学会を開いてくれないものだろうか。
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