四国霊場八十八ケ所や奥の院、別格霊場等の中には、なぜか横穴や隧道、地下室を造って沢山の仏像を安置し、霊場としている寺があります。
地下だけに、夏は涼しいのでこれからの季節には最適。闇の中に浮かぶ大量の仏像や仏画、一味違う寺巡りは如何。
(1) 郷照寺・万体観音洞(
八十八ヶ所第78番札所。本堂から石段を上
がった大師堂横に、金色に輝く高さ3mほどの観音像があり、その背後の地下へとスロープが下りています。確か扉はなかったように思います。
私が訪れたのは夕方5時を回っており、納経所等、誰も寺関係者はいなかったのですが、この地下の万体観音洞内にはぼんやりと明かりが灯り、異空間と化していました。
地下内は長方形で、通路で一巡するようになっており、通路の両側には夥しい数の、各地の人々によって納められた観音像が並べられています。一体、何万体あるのでしょうか。
尚、境内からは瀬戸大橋を望むことができます。
四国別格二十霊場第4番札所。狭い川を赤い欄干の橋で渡ると護摩堂がありますが、本堂はその先。
本堂右に不動窟の入口がありますが、入口が堂宇の扉のようになっているため、この背後の山を掘りぬいて護摩堂の裏に繋がっていることが想像しにくいかも知れません。
入口には賽銭用の大量の一円玉が200円で「販売」されていますが、正式な参拝法はこれを買う(200円は賽銭箱へ)か、大量の賽銭を持参して入洞し、左壁面に並べられている仏像一体ごとに一円ずつ喜捨して真言を唱えながら奥に進みます。
右手壁面は都道府県別に分けられた寄進者の不動像がガラス戸の奥にずらりと並んでいます。こちらの洞はトンネル風。
終点は護摩堂内で、薄暗い中、不動像が参拝者を睨みつけています。
入口に戻ると、今度は逆方向に続く観音窟を。こちらはトンネル風ではなく、ただの通路のような景観。像ではなく、仏画に喜捨するようになっています。
(3) 石手寺・マントラ洞(
八十八ヶ所第51番札所。元々、境内には距離
が短い「八十八ヶ所洞窟」がありましたが、’89年、その倍以上の長さの隧道を前述洞窟から分岐させる形で背後の山に掘り、裏手を走る車道に貫通させました。
入洞は有料で100円ほど(賽銭箱へ)。
洞窟内部表面はセメントで固めているものの、でこぼことしており、まるで戦時中の陸軍隧道を彷彿させます。
こちらの洞窟は壁面に像を並べるのではなく、道の中央に感覚をおいて石仏を安置しています。
因みに石手寺は、私が四国の寺院の中では一番好きな寺。洞窟以外にも大量の仏像を安置している球形の塔や
その詳細は拙著「四国の戦争遺跡ハイキング」を。石手寺は日露戦争時のロシア兵捕虜も何度か訪れているのです。
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