大自然遺産(1)究極の断崖絶壁三景 | 次世代に遺したい自然や史跡

次世代に遺したい自然や史跡

毎年WEB初公開となる無名伝承地や史跡、マイナーな景勝・奇勝を発表。戦争遺跡や鉄道関連、坂本龍馬等の偉人のマイナー伝承地も。学芸員資格を持つ元高知新聞主管講座講師が解説。

全国的に名の知られている断崖は東尋坊等各所にありますが、自然探訪をする際にはあまり自殺名所は訪れたくないもの。そこでハイカーのみが訪れ、自然の驚異を間近に楽しむことができる「断崖名所」を紹介します。

 

(1)鎌倉峡・百丈岩(兵庫県神戸市北区)自然、戦跡、ときどき龍馬-鎌倉峡・百丈岩

神戸のハイカーに人気の鎌倉峡(船坂川上流)と「太陽と緑の道」。この鎌倉峡沿いには屏風岩等の断崖が続いていますが、その中に一際目を引く、垂直に切り立った岩塔があります。

 

それが高さ60m、頂上が百畳敷きもの広さを誇る百丈岩です。

画像で見る限りでは、とても登頂は無理ではないかと思われるかも知れませんが、実は幼児でも登れるコースがあり、休日にはハイカーらで賑わっています。

 

三方が断崖になっているため、展望は抜群。ここで皆、弁当を食べます。

 

JR宝塚線(福知山線)道場駅南から二種類のハイキング・コースがありますが、西側のコースを南下し、平田配水場、青石古墳を経て船坂川河原に出て、そこから鎌倉峡を下り、百丈岩に登って駅へ戻るコースがお勧め。

コースタイムは2時間40分から3時間弱ほど。

 

(2)大堂海岸・お万の滝(高知県大月町)

これは見知ランシリーズで何度も取り上げた、「四国一の絶景ハイキングコース」沿いにある断崖。四国では崖のことを「滝」と呼ぶ地域が各地にあります。

 

お万の滝は海面からの高さは120m。昔、盲自然、戦跡、ときどき龍馬-お万の滝 目の美女「お万」が、恋した島守の役目を祈って投身自殺したことから、名づけられています。

 

しかしこの岩、天辺の手前には幅1mほどの岩の裂け目があるため、投身するには尾根道から助走をつけて、ホップ、ステップでその裂け目を跳び越え、その勢いのまま飛び込まなくてはなりません。

流石に後世では、そこまでして自殺する者はいません。

 

因みに私は11年前訪れた時、遊歩道の柵を乗り越え、岩の裂け目手前から滝の頂上の写真を撮っています。頂上には海軍水路部(戦後、陸軍陸地測量部と合併して国土地理院になる)の水準点のような石標があります。

頂上の写真は拙著「土佐の静寂峰(土佐のマイナー山part1)」のカラーページを。

 

(3)千羽海崖(徳島県美波町)

四国最大級の断崖は、美波町の日和佐から南西に2キロ続く千羽海崖にあります。地形図(図名=日和佐)を見ると、高い所では海岸から標高230mの地点まで崖マークが続いています。まさに全国屈指の大断崖

 

ここも大堂海岸のように、海岸上の痩せ尾根に道があり、四国のみちに指定されているのですが、起伏が激しく、距離も長いので、一般観光客が全コースを辿るのは不可。

 

画像の絶景ポイントは千羽富士(128.6m)の嵐自然、戦跡、ときどき龍馬-千羽海崖 瀬休憩所と通り岩休憩所(230mピーク)との間の鞍部周辺にあるのですが、そこへの最短コースは、日和佐総合体育館西方の櫛ケ谷を南下するルート。登山口へはJR日和佐駅からも歩いて行ける距離。

 

最奥の正木ガラス・日和佐工務店を過ぎ、谷の出合(二つの谷の合流地)に来ると、道は二手に分かれていると思うのですが、四国のみちの道標は西側の道の方に建てられているものと思われます(未確認)。

 

その二つの道共、高度に於いて50mほど登ると海崖上を走る四国のみちに出るのですが、どちらに絶景ポイントがあったのかは忘れました。

しかし四国のみちへ出た二つの地点間の距離はごく僅かなので、もし絶景がなければ数分四国のみちを移動すれば、必ずポイントに出会えます。

 

画像の奥に少しだけ見えている断崖の左下の海面には、小さな海蝕洞が見えると思いますが、これは「通り岩」と呼ばれる岩で、実際の大きさは高さ、長さとも20mもある巨大なもので、かつては遊覧船が洞穴を通り抜けていました。それと比較しても、いかに千羽海崖が大断崖であるかが分かるでしょう。

 

因みに私は日和佐城のある北の起点からコースを辿り、千羽トンネル上の十字路まで四国のみちを歩き、そこからは道標に表示がない北の道を下り、車道に出て、日和佐城へと戻りました。ほぼ一日コースです。

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