坂本龍馬の好物は古くから「軍鶏(しゃも)鍋」と言われてきましたが、県立坂本龍馬記念館の学芸員も語っていたように、そういう記録はありません。
軍鶏が好物だという根拠は、坂本龍馬が暗殺される日、下僕に「軍鶏肉を買うてきてくれ。」と言った、ということと、土佐では藩政期、軍鶏肉がよく食され、軍鶏鍋によく料理されていた、ということ位です。
現在、南国市では「龍馬の軍鶏鍋」をブランド化しようと、市内の才谷(龍馬の先祖の墓がある地域)近隣の中山間地で軍鶏を飼育しています(一枚目画像)。
が、龍馬は一度も自分は軍鶏が好物だったとは言っておらず、龍馬が軍鶏鍋が好きだと言っていた、というような記録もありません。たまたま暗殺日に食べようとしただけなのです。
が、最近、私が入手したある古書には、「坂本が好きであるから」とはっきりと記述されているある食べ物があります。
元、朝日新聞高知支局勤務の記者が、高知市出身の小説家、田中貢太郎の執筆物の内容を紙面で紹介しており、それには、龍馬が安田町の高松順蔵邸へ遊びに行った時、高松家では「坂本が好きであるから、鯖(さば)の刺身へ橙(だいだい)の酢をかけたのを御馳走に出した」と記述されているのです。
田中貢太郎は若い頃、船大工をしており、また、出身地近辺には坂本家の知り合いの郷士や、才谷屋の仕事をしていた船頭や船運関係者が何人も居住しており、色々と坂本龍馬の逸話を近隣住民から聞いていたのです。
前述の橙とは、酢橘と夏みかんを合わせたようなもので、苦味が強く、生食には向いていませんが、ポン酢の原料として使用されるほか、「橙酢」として加工されて現在でも全国各地で販売されています。
ですからもし食物関係で坂本龍馬ブランドを売り出そうとする場合は、「橙酢がけの鯖の刺身」として出せばいいでしょう。
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