使い込みの返還事案について、原告と被告の主張証明の構造を体系的に考えてみる機会がありました。
その中で、いろいろな主張の証明に役立つ証拠としては、やはり、亡くなった方、預金を使われた方、つまり被相続人について、使い込み当時の能力の資料だということが分かりました。
たとえば、母が施設に入っていたときに、兄が母の預金を下ろしてしまった、というケースでは、兄が、(1)下ろしていない(2)下ろしたが母に渡した(3)下ろしたが母の必要経費に使った(4)下ろしたが母から贈与を受けたのである、と言い訳をした時を参考に解説してみましょう。
いずれも、母に当時多額の金銭を動かして使うような身体的精神的能力がなかったことが証明できれば、兄の言い訳を潰すことができます。
そのとき、有力な証拠としては、介護保険の認定記録や施設の介護記録、医療機関のカルテが挙げられます。
よって、これらが、使い込みの返還を求めるのに、一番ホットな証拠と言えます。
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