2022年の水揚げ量は約23万6000トンで12年連続の日本一(水揚げ金額では4位)。言わずと知れた日本を代表する漁港「銚子」が今回の訪問地。震災前・震災後含めて、これまでに7~8回くらいは来たことがあるかな?

 

 

いつもは銚子駅から歩きかタクシーで向かうことが多いけど、今回は銚子で「銚子電鉄」に乗り換えて、一日乗車券を買って

 

 

「観音駅」から歩いて向かうことに。

 

 

銚子電鉄は最近100周年を迎えて、たくさんのニュースで取り上げられ、一方で「銚子電鉄なんと「新車両」導入“中古の中古でない車両”は30年ぶり”」など、絶えず話題を提供し続けている。

 

こういったなりふり構わぬ「生き残るための奮闘」が町全体でもできていれば、こんなにも銚子が廃れ続けなくてもすんだんじゃないかなというのが、今回の後半のテーマ。

 

 

漁港に向かう通りすがりに「銚子大仏」の看板を見つけて立ち寄り。大仏は思ったより小さかったけど、立派な五重塔が隣にあって、写真を撮ると完全にそちらが主役に。

 

 

銚子漁協直営の食堂「万祝」は、そのすぐ先。漁協の建物の一階。

 

ここは2017年4月の開業で、以前にこの前を通ったことはあるものの入店は初めて。10:38に着くと、すでに受付の名前を書く紙が出ており、さすがに先客はなくて一番乗りゲット。

 

 

待ち時間に市場見学でもできればと思っていたけれど、残念ながら中止のままになっており

 

 

裏手に回り、銚子港周辺をぐるりと。

 

 

「底曳船接岸岸壁」との立て看板があったので

 

 

この作業は底曳網のメンテか何かしているのかなと、通りすがりの関係者に聞いたら「旋網」とのことでした。

 

個人的に、銚子漁港はマグロ・カツオ・サンマの水揚げが多い先入観があったけど、調べてみると数量ベースではマイワシ+サバで全体の9割超と圧倒的。最近では「入梅いわし」「釣りキンメ」が、銚子のブランド魚に育っている様子。

 

 

漁港の向かいの飲食店街の方に向かうと、かつてのイメージは全くなし。。。ずっと長く続いてるお店もまだあるものの、もっといっぱい店舗なかったっけ??という印象以上に、土曜の昼間に観光客が殆ど歩いてないのが衝撃的!!

 

以前の記憶では、この通りはいつも人がいっぱいで、店頭で待たされることもけっこうあったのになあ。

 

 

上写真左側が、震災後に再整備された第1卸売市場。すごくきれいに整備されて、それは間違いなく良いことなんだけど、ただその分、海と完全に遮断され、この通りがあまりにも無機質になってしまった。”漁港街”のイメージがかなり失せてしまってることは否めない。

 

 

そんななか目に入ったのが「朝採りはんぺん」の立て札。はんぺんの朝採りってなに??と「糸川商店」へ。

 

 

「直売所このおく」の看板があるので、一般個人でも売ってもらえるものかな?と脇の小道を入っていく。

 

 

中に入ると作ったばかりの「はんぺん」がいっぱい。個人向けの売店といった設えではないのだけど、聞いてみると一個ずつからでも大丈夫とのことなので、看板っぽいこの「はんぺん」と「小すじ」を購入。

 

 

はんぺんはすぐその場でそのままパクパク。想像を超えてふわふわで、おやつ感覚でいただけます。

 

そして「朝採り」の意味は、(何となく聞きにくかったので)ネットで検索。ホームページに、「季節や温度の関係で、朝一番の新湯で一日一度だけ、手取りの 半ペんを造るので、朝採り半ぺんと言います」との記載がありました。

 

 

開店時間時間に合わせて戻ってくると、名前の記載は9組13名。不思議と1人客が多かった。

 

店頭に置いてあったこの立て看板、左手の「漁食普及応援メニュー」のコンセプトはとても良いなと思ったものの、初めての店だし無難に「一番人気」だという海鮮玉手箱をチョイス。イラストが楽しそう。

 

 

店内はこんな感じで、かなり余白多め。1人客が多かったこともあって、オープン直後にはもうテーブルはいっぱい。(食べ終わった11:55には10名待ちになってた)

 

 

そして出てきた「海鮮玉手箱」がこちら。

 

 

蓋を取ると、お刺身がずらっと。・・・で、ここだけ見れば確かに玉手箱かもしれないけど、もう一度さっきの写真を出してみる

 

 

このビジュアルは、格安の仕出し弁当か寂れた社員食堂の数百円メニューだよね。1,790円出してこのお膳渡されると、その時点でかなりテンションが下がると思うんだけどなあ。

 

例えばこれが二段重で、上の段に刺身の盛り合わせが入ってたら、ふたを開ける前の(何が出てくるか分からない)ワクワク感も、開けた瞬間の高揚感もどちらも演出できる。でも白い丼とご飯がどでーんと最初に目に入っっちゃったら、「玉手箱」らしさは微塵も無くなっちゃう。

 

ネット色々見てたら"それっぽい"お重でもけっこう安いものがあった。仮に、それっぽい二段重にこの内容と同じものを入れたら、お客さんの印象は500円以上、控えめに見ても300円は変わるんじゃないかな。であれば、1,000円以上高い容器使っても元をとるのに2~3日のレベルなんだよね。。。せっかく「玉手箱」というネーミング選んだのだから、そこでもう一歩踏み込んでほしかったな。

 

 

ちなみにこちらが全ネタを使った、自作の海鮮丼。途中まできれいにいったんだけど、イワシの位置に困り、海老はどこに置いても美しくない。最後の詰めで完成度が下がりました。。。

 

 

帰りは歩いて銚子駅まで。工場見学を週末にしていないのは知っていたけど「しょうゆ味わい体験館」まで、平日のみの営業だとは思わなかった。

 

この前後、あちこちで古くからの銚子を知っている方たちと話してみると、みな誰もが街の将来に悲観的。「人が減る一方で、何も期待できない」みたいな嘆きの言葉だらけだった。

 

自分は見たことが無かったのだけど、かつてTBSの「噂の東京マガジン」でも、銚子の苦境を特集していたみたい。ホームページにも、「千葉県の銚子は魚の水揚げ日本一。農業も盛んで、醤油も有名…名産、名物、名所がたくさんあり、千葉県でも屈指の賑わいだと誰もが思っています。ところが今、銚子市は破綻寸前。財政危機に陥り、人口流出が止まりません」という紹介があるように、"名と実"が見事にかけ離れている。★このブログに番組の内容をもとにした、かなり詳しい解説がある

 

聞きかじりレベルでは単なる憶測になってしまうけど、でもなんか見えてくるものはある。今回の訪問でいえば、例えば銚子漁港。知る限りもう「コロナ禍のため見学中止」などと謳ってる大きな魚市場はない。

 

そしてこの体験館。工場見学は業務管理的に仕方ない面があるにせよ、展示施設や売店すら週末に営業しないというのは相当に稀有。。町の観光シンボルとなる場所がみな「銚子には来なくていいよ」と言っている。。。

 

 

そう考えると、銚子電鉄は本当に頑張ってるなと思う。ベースは自社への強烈な危機感ではあるけど、でもその結果がしっかりと町や沿線を盛り上げてる。

 

 

その後は、次の目的地へ向かうすがら「犬吠埼」へ。

 

 

先日訪れた「野島埼灯台」同様、全国に16カ所しかない「のぼれる灯台」の一つ。※千葉県は、犬吠埼灯台と野島埼灯台の二つ

 

 

人は多いし狭いし・・・の窮屈な階段ながら、展望台に上がるとぐるりと雄大な大海原を眺めることができます。

 

 

犬吠駅の隣、銚子電鉄終点の「外川駅」から外川港に歩き、目的地の食堂に向かうと

 

 

目に飛び込んできたのはこの貼り紙。。。この結末は予想の範疇にあったので、前日に電話で確認して「明日は十分用意しているから、夕方に来ても大丈夫」との言質は取っていたんだけどなあ。

 

・・・と嘆いたところで、何かが変わるでもなく。すごすごとまた次回の出直しを誓いました。ということで、ここがどの店だったのかは再訪時に。