ラクロスA1日清食品presents第33回全日本選手権大会を振り返る#2女子編詳細 | 鼓舞 平(こぶ平)のラクロス応援チャンネル

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1月14日(日)に実施された、日清食品presents第33回ラクロス全日本選手権大会A1。A1とういう格付けがされた記念すべき第1回の大会の振り返り編。

女子の詳細について語っていこう。

大学女王 日本体育大学(3回目)

vs

クラブ女王 NeO(6回目)

の組み合わせ。2021年の決勝戦の再現となった。

2021年決勝

現在NeOに所属する藤井選手、山根選手の得点と戸村選手(DF/大会優秀選手)の活躍で、2018年以降最も接近した結果となった2021年大会から2年。2021年の大会を経験した日体大AT4番江森、MF/Draw12番松岡、AT18番花本、G71番三澤選手(2021年大学選手権MVP)が最上級生となりその時の雪辱を期する試合だった事は前回取り上げた。

結果として

日体大OG藤井選手の3得点の活躍により、日体大の懸命の守備を崩してNeOが再び女王の座に返り咲いた。

詳細データを見てみよう。

【試合概要】

結果的には、日体大の懸命の守備にも関わらず、ボールを奪い返すNeOの厚いライドで日体大の攻撃機会を奪い取り、2倍近くの攻撃機会を持ったNeOが試合を決め切った形だ。

ただし、前半と後半では様相が異なった。そのあたりを振り返っていこう。

【先発選手】

日体大 G71番三澤 DF73番森、70番村岸、36番田巻(3年) MF12番松岡、61番細田、88番矢島、 AT4番江森、10番川内(2年)、18番花本、

NeO G40番齋藤(S6) DF28番廣瀬(S8)、34番戸村(S2)、47番菅谷(S4) MF10番藤井(S2)、12番高野(S10)、24番小林(千S5) AT3番山根(S2)、6番多賀(S8)、23番山本(S1)

両チームの先発選手は、シーズン通して不動と言える構成で、NeOが昨年の新旧交代から新旧のバランスの取れた、本来あるべきポジション構成となってきたのに注目をした。

(注)NeOの前年からの変更はMFに高野選手が戻り、山本選手が1年目から抜擢された。昨年は藤井選手と山根選手が1年目から抜擢されていたがSSDMの水野選手を欠いての構成だった。(ゴーリーの66番内田選手も1年目から登用されていたが、今年は51番藤田選手が加わっている)

そしてNeOはこの構成を中心に個性の異なる別動部隊が存在する形でリーグ戦、プレーオフ、全日本クラブ選手権とすべての試合で10得点以上を記録する盤石の強さを発揮してきた。

対する日本体育大学は強力な攻撃陣を持ちながらも、全員守備の強度を高めて、絶対に負けないラクロスを徹底してきた。

しかし、じっくりとポゼッションを獲得して確実に点を取り切る日体大スタイルが、ボールの流動性の高さ、速さで勝るNeOに対して同様の攻め方を取れるとは考えにくく、日体大がどのような形でNeOに対するのかが注目された。

試合前のポイントは

日体大が

① ドローを五分で戦えるか?

② 守備がNeOの速いボール回しに追随できるか?又1オン1への対応は?

③ 攻撃権をどれだけ獲得できるか

にあると見ていた。

【1Q】

ドローを獲得したのは、日体大だった。しかし、NeOはクラブ選手権決勝と異なり、1QからDFのラインを上げ、かなり高い位置から圧力を掛けて日体大にショットの機会を与えない(クラブ選手権では立ち上がりDFラインが低くMISTRALの攻撃陣の侵入を許していた)戦術を取って来た。しかし、開始2分仕掛けてきたNeOのプレスを交わして61番細田選手がブレイクを決める。

白ショットに入る日体大細田選手

1オン1で勝負ができる可能性を見出せた瞬間だった。しかし、NeOは10番藤井選手が切れのある1オン1で日体大のDFを寄せ付けず、フリーショットを高い技術で決めて直ぐに追いつく。

開始5分で1対1となり、日体大の1オン1も可能性を見せ、点の取り合いになりそうな展開となった。

しかし、ここからは守備を修正したNeOが日体大の攻撃を許さず、日体大もゴーリー71番三澤選手の最高のセーブ連発も含めた守備の頑張りで追加点を与えず

至近距離のショットもセーブする白ゴーリー71番三澤選手

同点で1Qを終えた。

【2Q】

1Q同様の攻防が続き、再び日体大61番細田選手の1オン1からのブレイクショットが決まり日体大がリードをしたのが4分。

細田選手のショットがネットに突き刺さる

しかし、2Q6分にはNeO2番鈴木選手の高い技術のフリーショット(FS)が決まり同点。

DF2枚に付かれながらも強烈に決めたNeO鈴木選手のショットには日体大ゴーリー三澤選手も反応できなかった。

しかし、この2Qも日体大の守備が頑張りこのまま終了するかに見えたラスト1分。この試合を決定づけた得点が生まれた。NeO14番岡田選手のDF2枚を交わしてのFSに続き、残り10秒で6番多賀選手からのアシストを引き出した23番山本選手のターンショットで一気に2点差として2Qを終了する。

これ以上点を与えたくない日体大DFが6番多賀選手に集中する中冷静にパスを受けやすい場所でフリーを取った山本選手の動きも良かったが、DFを3人引き付けた多賀選手の仕掛けが素晴らしかった。

この1分でつかんだ1オン1での得点と、パスからのブレイクの成功でNeOが自分たちのペースで試合を運べるようになり、守備に追われた日体大に、後半攻撃の機会を与えず、勝ち切ることになる。日体大にとっては、「魔の60秒」となった。

☆こぶ平’s Eye

ここでデータを再度見てみよう

結果的には試合前にポイントと考えた①ドローのポイントについて、NeOは24番小林(千)選手がドローを多くコントロールし日体大に反撃の糸口を与えなかった事が最大のポイントとなった。

②の日体大の守備に関しては、非常によく戦ったと言える。

クラブ選手権決勝のMISTRALの倍のCTOを獲得し、NeOの1オン1ブレイクを容易には許さなかった。(藤井選手のキレと、鈴木選手の高速ブレイクにはクラブチームと言えども対応がしにくい。)ただ、NeOの執拗なライドによる守備機会の時間が長く疲弊したと見るのが妥当だろう。

③については、NeOの執拗な高い位置でのライドを抜く機会がなかなか作れなかった。奪ったボールを奪い返され自陣に張り付けられた。立教大学のオールコートのプレスに対応できた日体大攻撃陣もNeO相手にはブレイクスルーを見出せなかった。

それでも、クリアできた時には1オン1でブレイクの可能性を示した点は日体大にとっては成果と考えても良い。しかし、そのチャレンジを61番細田選手以外の選手が見せられなかったのは、課題だったともいえる。大学選手権MVPの10番川内選手にしても、突破力に定評のあった4番江森選手も有効なブレイクができなかった。この辺はもっとチャレンジをしても良かったのではないか。ただ、実際にはこのゲームに備えた新たなセットプレイを見せたのは評価できる。結果的にそのチャレンジで得点を挙げたのが細田選手だった訳だ。

日体大、全日本スペシャル裏2枚センター4枚そこからの仕掛けが何パターンもある。

センターに10番川内選手が飛び込んでいく

結果的に61番細田選手が移動でDFを交わしショットを決めた

NeOの強い、執拗な1オン1DFに対し、マークを絞らせない作戦と考えられる。

ただ、ゴール前での攻撃の機会がなかなか得られなかった。NeOの圧巻のオールコートの守備だった。(60分続けられた)

日体大にとっては、この高い守備力を体験できたことは大きかったと言える。途中ドロワーとしてNeO小林選手に対抗した80番相川選手(2年)やNeOの攻撃陣に相対した36番田巻選手(3年)、そしてDFに阻まれた10番川内選手(2年)らにとっては進化のきっかけをつかんだのではないかと期待している。

☆審判の笛も素晴らしかった

  辻副審   大塚主審   小鹿TO   木村副審

全日本選手権大会は、年間最優秀審判の皆さんが笛を吹くのだが、流石に選ばれた審判による試合。明確で、試合の流れを不用意に切らずに、必要な笛は明確に吹く。素晴らしい試合サポートだと思いました。寒い中お疲れさまでした。

 

【最終結果】

優勝 NeO 2年ぶり4度目 MISTRALに並ぶ優勝回数

MVP

NeO 10番MF 藤井 真由選手 3得点1アシスト

圧巻のキレと、ショット技術は国際レベルを目指している。

NeO 10番藤井選手  日本体育大学 71番三澤選手

VP

日本体育大学 71番G 三澤 聖乃選手 9セーブ

三澤選手は中学生時代(聖ドミニコ学園)からのキャリアを見事に結果に結びつけた。

<番外編>

MVPに匹敵するのは、NeO6番の多賀選手だろう。3アシストは何れも絶妙のパスだった。得点能力も高いが、この試合では得点を引き出す力も魅せた。

<トリビア>

当日のNHKサンデースポーツで、A1公式ナビゲーターの中澤佑二氏がラクロスを取り上げてくれた。その時フォーカスを当てたのが、今回MVPとなったNeOの藤井選手であった。流石の見識。

中澤氏の「こころ」「ねがい」の姉妹は現在アメリカ大学リーグNCAAのディビジョン1最強カンファレンス ACCに所属するルイビル大学に所属している(女子初のNCAA D1選手)

https://gocards.com/sports/womens-lacrosse/roster/kokoro-nakazawa/14481

 

https://gocards.com/sports/womens-lacrosse/roster/negai-nakazawa/14482

2月から始まる彼女たちのチャレンジにも注目して欲しい。

https://gocards.com/sports/womens-lacrosse/schedule

初戦は2月9日。昨年全米ランキング4位のデンバー大学と戦う。

 

最後に全日本選手権大会の歴史

次の歴史のページにはどのチームが描かれるのか?

 

以上 日清食品presents第33回ラクロス全日本選手権大会女子のゲーム振り返りでした。

 

やっぱりラクロスは面白い!!

こぶ平