ミンキシの祈りと願い・医療呪術・共感呪術（類感呪術・感染呪術）

アフリカのコンゴのヨンベ族の医療呪術で、
『ミンキシ』という人形です。

先日、大阪の国立民族学博物館に行った時の写真です。

お腹のちょうど中脘のツボあたりに大きな釘が刺さってます。

集合体恐怖症の人には、直視しづらいものかもしれませんが、これは呪術用人形であり、病気平癒を願った祈りの像でもあります。

人形の全身が針、釘だらけです。

人形の体の中に悩む病に効く薬草を詰めて、薬草がよく効くようにと願いをこめて、針、釘を刺し、体に薬草を染み渡らせます。

病気平癒を願ったもので、類感呪術といわれるものです。

頭には釘がなさそうだと思ったけど、眉毛のところは釘に見えなくもないです。

カバンやカラフルなアクセサリーが不思議な違和感がありますが、もしかしたら病気の人が持っている物かもしれません。

背中にもびっしりと釘。

アジア、アフリカには今でも呪医といわれる医療呪術をする人がいます。

西洋医学が浸透してくるとともに、病気によって西洋医学とその土地の民間医療、呪術などを使い分けたり、経済的な問題で西洋医学ではなく呪術を選択せざるを得ない地域もありようです。

人形によって顔も表情も違います。

日本も、奈良時代、平安時代には人形(ひとがた)などに針責め、釘責めで病気平癒を願った遺跡が残っています。

どの時代にも、自分や家族の痛み、苦しみ、病気の悩みと願いは深刻で切実です。

2月のブログのコピーです。

こんなに釘だらけではありませんが、日本にもあります。
去年、異界彷徨展に行った時に見た医療呪術

木簡転用人形（複製・飛鳥時代）

頭に釘が５本打ち込まれています。
この人形（ひとがた）は、呪いをかけるのではなく、頭部の病を人形に移して、釘で打ち消そうと願ったものと考えられます。

人類学者フレイザーによると、
呪術は、類感呪術と感染呪術の２つに分類されるそうです。

例えば、山頂で火を焚いて、黒煙で雨雲を呼ぼうとする雨乞いは、「類は類を呼ぶ」という類似の法則の呪術で、『類感呪術』というそうです。
雨乞いや豊作祈願に見られる祈祷が類感呪術の性質を持っています。

もう一つは『感染呪術』
一度接触したものは離れても影響を与えるという考え方。
呪いをかける対象の髪の毛や身につけていた衣服を使うものです。